口下手童貞少年、ナンバーワンホストになる ⑭ 謎の深まる女 編



それから何日かしてから、N美が電話をくれた。


本当にたわいもない話をしていた気がする。

運が良かった事に、

Yには着信が気付かれなかったので、

私の方が、後から折り返したのだ。


Yの前ではほぼ、お客さんの電話はしないのが習慣になっていた。

それでもYには店の状況などを聞かれたりはしたが、

Yのいる所でお客さんと話すと、電話を切った後、

一方的なケンカになるのはわかりきっていたので、

Yには店に行ってからまとめて連絡してると伝えていた。


……まぁ、営業前に連絡を入れるだけで売上が上がるわけがないが。


営業時間と全く関係ない時間に電話をかけるから…

相手は嬉しいのに……



いつもの営業だった。


K野専務「K君、キャッシャーまで。」


着信画面はN美からだった。


N美「今から一人なんだけど、行っても大丈夫?」


私「本当に?全然大丈夫だよ!」


……大丈夫ではなかった。

……緊張していた。

もともとピュアボーイだったという事実は、そんなに早く改善はされていなかったのであろう。


キレイだと思う子には緊張するのだ……


ナンバー1という肩書は、

所詮ハリボテだった。


前回店に来たときの、

N美が身に着けていた物などの高級さが、さらにハリボテの男の緊張を加速させていた。


キャバクラの子でも、

トップクラスじゃないと

あのブランド品は無理だろう・・・。

風俗の子にしては

身に付けているもの、持っているものが派手すぎる。

その得体の知れない財力が

余計に緊張を加速させていたのだ。




N美が店に来店した。


自分以外のホストに対するあたりも柔らかい子だったので助かった。

ヘルプも交えて話す事によってなんとか会話が続く。

売上を上げたい為ではなく、

緊張をごまかす為に酒を飲んでいた。

ハイペースであった。

とにかく酔いたかった。

飲んでいる最中に、


N美
「ちょっと!そんな飲んで大丈夫!?
そんなにこの席に居たくないの?(笑)」


と冗談ぽく突っ込まれるぐらいだった。


その日もN美は、

以前のロレックスとは違うカルティエの腕時計。

Tシャツも良く見るとエルメス……。

また以前とは違うエルメスのブランドバッグに、

今度の指輪はダイヤ入りのブルガリ…


ホストにとって職業を聞くのはタブーとされていたが…

みんな、間違いなく何をしている子なのかは気になっていたはずだ。


N美の場合には聞かないのが
逆に不自然なぐらいであった。


キャバクラの子だと仮定して

それだけの高級品を身に着けていたら、

夜の情報誌などで見た事があっても不思議じゃない。

だが、誰も情報誌などで見た事はなかった。


N美は

空気を察して自分で、


N美「私、何にも仕事してないよ!」


と言ってはいたが、

みんなが「?」だった。


それだとやはり身に着けている物の説明はつかなかった。


次第にそんな事も忘れ、

しっかりと酔っぱらった。

酔おうとしてハイペースで飲んでいたので当然だ。


酔ってからは大丈夫だった。


いつも通りのくだらない会話を勝手に話していた。


エルメスの長袖Tシャツの柄が、
事件現場のキープアウトのテープみたいな柄だったので、
そこを指摘したりなどしていた。


通常より、長い時間N美の席に着いていたので、少し他の席を周った。


他の席に着いて接客をするという事はヘルプ(自分以外のホスト)

がN美の席に着いている事になる。

他の席に着いている時もN美の席が気になっていた。


(大丈夫かな?ちゃんと他の人、

N美を楽しませてくれてるかな?)


ふと、我に返り、


(やばいな、これは……。)


お客さんとしての気になり方とは違うのに、自分でも気付きつつあった。


3時間程度Bで飲んだ後、N美はそろそろ帰るといい、

N美を送る時


N美「ありがとう!
今日は楽しかったよ!」


と言ってくれて私はとても安心した。



楽しんでくれたかどうか…


実はそれ以外に気になる事がもう一つあったからだ。


それは何か?


自分が緊張をなくそうとして飲んだばかりに、会計が6万ぐらいいっていたのだ。


(N美、すまん・・・。)


私は心の中では頭を下げていた。

自分のダサい理由で高いお金を払わせてしまった……。


しかし、6万の会計をサラッと払うN美に謎は深まる。

仕事もしてないと言っているのに……


やはり5万ぐらいの会計を超えてくると、接客の質によってお客さんに

高いと思われる率が高くなったように思う・・・。



それよりもそんな事を……

心の中で謝罪している事がすでに……

見せかけのナンバー1だったのかもしれない。


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