40才からの成り上がり 第2話

1 / 11 ページ

「上京」


19才になった僕は故郷を捨て、彼女を連れて、横浜の地下鉄弘明寺駅のホームに降り立った

滴り落ちる汗を拭いながら、僕らはこれから始まる新生活を想像していた


給料がよくて住み込みで働けるところ


求人雑誌を買ってきては、仕事の内容もろくに見ないで、片っ端から電話をかけて履歴書を送った



仲間とつるんで悪さばかりしていた僕は、なんとなく時間ばかりが過ぎて、このまま小さくまとまってしまうことが怖くて、彼女を連れて逃げるように田舎を飛び出した



住み込みで働けるところが決まり、金も頼れるような人も何もなかったが、2人で始める新しい生活に不安はなく、若い僕らは希望に満ちあふれていた



どこか僕らは似ていて、彼女も今の現実から連れ出してくれる人を待っていたのかもしれない


そして、2人とも両親が離婚していて、何か普通の家庭に憧れがあったような気がする


いつも僕らは何をするときも一緒で、お互いがお互いを必要としていた


そして横浜での仕事が決まり、19才の僕らは誰にも相談せずに婚姻届を提出した



「新しい家族」

仕事が忙しく、かまってあげられないことへの苛立ちか、知らない街で1人部屋で待っていることの寂しさなのか、彼女はいつもイライラしている



そして若い2人はつまらないことで、いつも喧嘩ばかりしていた



まだ知り合って間もない10代の男女が、紙の上では夫婦になったとはいえ、すぐには家族になれないのである


そして相手の気持ちを受け止めてあげられるほどの器量を、まだクソガキの僕は持ち合わせていなかった



そんなときだった、あるとき休みの日に、2人で商店街を歩いていると、電柱に「子猫飼い主募集、去勢、ワクチン接種済み」の張り紙を見つけた


ボクは「これだ!」


みんなの読んで良かった!