口下手童貞少年、ナンバーワンホストになる ⑰ ボケる!2 編

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その中をN美と二人で歩いた。


年始の深夜・・

視界に入る範囲に人影はなく、本当に二人だけだった。


大通りの積雪には、私達二人以外の足跡もたくさんついていたが、

N美の家の近くの細路地を曲がった時には、

歩くのが躊躇われる様なキレイな白に覆われていた。


まだ誰も歩いていない積雪に、

振り返った後、

二人だけの足跡が残ったのを見ると、

そんなくだらない事でも胸が締め付けられるぐらい幸せだった。




音も無い、


世界に二人だけを感じる時間だった・・・。



私は完全にN美にはまっていた。

若かったのか・・・


「女にボケる」

というのは、ホスト業界では・・・

ダメホストを意味していた・・・。



次第に私は、N美の事を詮索するようになっていた。


私がN美と会っていない日に、

N美はたびたび連絡が取れない時があった。


何時間後かに連絡はかかってくるのだが、私は不安になって、


私「何やってたの?」

N美「ごめんね、寝てたよ。」

私「本当に?」


というやり取りがたびたび起きる様になっていた。


私の想像にすぎないが、

N美に愛人などがいて、

愛人などと会っていたのかもしれない。

まる1日近くも折り返しが無い時もあったからだ。



付き合う前は彼氏とソフトな言い方をしていたが、

彼氏が結局愛人だったのかもしれない。

その愛人とまだ連絡をとっていたのかも知れない。


しかし、

もしそうだとしても・・・

それを隠しているという事も一つの愛情である。

隠すという愛情だ。





まだ先の話になるが

ホスト時代に直面した経験だが、


ソープで働いている女の子と付き合った。

その彼女は自分の事をちゃんと好きでいてくれているが、

仕事として他の男性と交わっている。


クラブ(ラウンジ)で働いている女の子と付き合った。

仕事として男と交わる事は無いが、

自分以外にも好きな男性がいて、

その男性と体の関係もありの浮気をしていた。



どちらの方が、あなたは許せないであろうか?



ソープの彼女の場合は、

好きだという感情は無いが複数の男性を相手にしている。


クラブの彼女の場合は、

体の関係は一人だが、

その自分以外の男性に、

好きだという感情を持って抱かれている。


もちろんどちらも嫌であろう。


もしそうなった場合、

どちらの方があなたは我慢できますか?


私は後者・・・

気持ちを抱かれている方が嫉妬した記憶がある。



ほんとすいません!

そんな状況はなかなかないと思いますけどね!(笑)




知らない方がいい事、

知らない振りをした方がうまくいく事もあるのだ。


だが21歳の私が、

そんな余裕もあるわけがなかった・・・・・。


夢は所詮夢だったのか・・・・

夢みたいだと自分が思っている時点で釣り合っていない相手だったのか、

終わりは早かった。


N美「やっぱり、私達、一旦距離置こう・・・・。」


1月の中旬。

降った雪がまだ残る頃、早すぎる終わりを告げられた。


男女の距離感を学んだつもりだったが・・・

所詮、つもりだった。

悲しくてしょうがなかった。


無理に泣こうとしたが、泣けなかった。

泣けない分、酒で紛らわす生活が2週間程続いた。


この時ばかりは女性とお酒を飲むという、

ホストという仕事に助けられていた。



だが、

その年までの人生の、

人生最大の傷心期間にも関わらず、

頭にネクタイを巻き付け歌っている時もあった・・・

と記憶している・・・・。




その後もお互いたまに連絡を取る様な状態が3年程続いた。

その期間に電話だけでなく、

ご飯も食べに行ったり、家にも行った時もあった。


その期間の中で、N美はとてつもなくハングリーな女性だと知った。

私の想像を超える経験値の高さ・自らの才覚で優雅な暮らしをしていた。

愛人に囲われているとか、親がお金持ちとかではもちろんない。


それはまた別の機会に書こうと思います。




その期間の間、常にN美に好きだという気持ちはあったが、

自分の経験値では釣り合わない様に感じ、

最後まで口に出せずに終わった。


その時ばかりは、少し大人の失恋を経験し、

確実に一歩大人になったと感じた私だった。


いい男とはどういう男を指すのであろうか?


N美の様な女性がまた現れたとしても対等に付き合える男になりたい。

本当にモテる男になりたい。


以前よりは確実に成長はしていたが、

目標は入店当初の振り出しに戻っていた。


その頃に、自分を納得させる為の言葉を思いついた。


「物事は螺旋である」と・・


一見振出に戻ったように思えても、位置は同じでも高さは違う

という風に思う様にした。


頑張って物事を進めても、

同じ位置に戻った様に思える時は、

自信を無くし、むなしさを覚えるが、

そうではないと思う。


同じ位置でも確実に、以前の自分よりは高い位置にいる、

成長していると考えるようにした。


・・・どうですかね?



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