純情ホスト① 立て直し編

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(名古屋市にもあるのだが、ソープ街とまではいかない。点在しているのが多い)





私は行った事がないので比較出来ないが、

金津園は全国でも屈指の接客の厳しさだと聞いた。


実際、金津園で働いているお客さんの席に着くと大体厳しかった!


普段金津園で働いている自分たちが、性サービスも含めた上で非常に厳しい接客を要求されていたとしたら、ホストたちに厳しくなるのも無理はない。


ソープの女性の席に着いて相手が会話をする気がない時は地獄だった。


(お嬢さん、会話がない方が気まずくないかい?さぁ、その重い扉を開いてこっちにおいでよ!!)


と心の中では叫んでいた。

ソープ嬢の中でも、特に厳しいお客さんになると自分が認めていないホストとは意地でも話さないという感じだ。


私「お酒、結構飲まれるんですか?」

ソープ嬢「・・・・・・・・・・・・・・。」


私「あまり強くはないんですかね?」

ソープ嬢「・・・・・・・・・・・・・・。」


私「お酒飲むと、どうなります?」

ソープ嬢「・・・・・・・・・・・・。」


私「酔うとラテン系になったりします?」

ソープ嬢「あぁ!もう!うるさいな!!」


という具合だ。



(なんでこんなにディフェンスが硬いんだ!!!!!)

と何度も思った・・・。


だが、めげずに何度も率先して席に着く事によって、徐々に認めてくれてくれるのが嬉しかった。


仮に、もし自分がキャバクラやクラブに飲みに行って、最初にキツイ態度で対応した女性がめげずに何度も自分の席に着いて来たら


(この女、なかなか根性あるな・・・)

(嫌なはずなのに、この席を避けないのは偉いな・・・)


と思って、確かに私でも好感を持つようになる気がする・・。



風俗は絶対に無ければならない仕事だと今はわかる。


綺麗事は言うつもりはない。

風俗の女性を別に尊敬はしない。

かといって、下に見ることもない。


たくさんある仕事の中の一つだ。

私は風俗の女性とも真剣に付き合っていたりしたので、それを証明としたい。


ただ、ひょっとしたら風俗で実際に働いている子は自分自身に


「体を売っている商売」


という意識があったのかもしれない。


心の奥底では負い目があったのだろうか?

自身を卑下したりしている子も多かった・・・

そんな感情があったと仮定すると


「ホストに舐められない様に」


という理由で、ひょっとしたらホストに厳しい態度をとっていたのかもしれない。


まぁ、ソープ嬢という事で逆にホストにチヤホヤされて単純に横柄になっている子もいたが・・・。

(もちろんあっけらかんとして明るく、負い目など感じさせない女の子もいましたけどね)


話をUさんに戻すと、


Uさんは頭も切れた。


一番の核心である、

「なぜそんな状況のBに来たのか?」

という理由だ。


細かい話はまったく知らないが、

Uさんは独立して、自分の店(ホストクラブ)を持とうと考えていた。

だが、老舗ホストから独立の許可がでない。

その老舗ホストにもどこかの怖い団体のお守りがあったのであろう。


それで、

老舗ホストをやめて一旦「B」に入店する。


U「短期間(2ヶ月程度)だけですよ」


とBのグループのトップに前もって話を通し了承を得る。

Bのグループのバックが了承して入店。

Bに入店した時点で老舗ホストとは話がついているだろう。

以前の章の

「口下手童貞少年、ナンバーワンホストになる⑤崖っぷち編」

でも書いたがBのグループのバックが一番力があり、

Bのグループが名古屋の風俗業界で一番バックにお金を払っていたので、

恐らく老舗ホストは

「分かりました」

としか返答できなかったと思う。


Bへの入店の時点で老舗ホストとは話がついているので、

それ以降、老舗ホストのバッグが口出しできなくなる・・・。

Bで短期間働き、

Bを退店した後、連れてきたホストたちと一緒に晴れて堂々と自分の店を出す。


前店を黙らせる為にBに入店・・・

Bを経由して自分の店を出すという事だ。


その時、アダルティな世界を垣間見た少年だった。



Uさんは、売上の締め日には、


U「今月いくらでナンバーワンになれるの?」


とキャッシャーに聞き、


U「これ、売上につけといて。」


と言い、現金で100万円をポンと置いたらしい。

期限付きとはいえ、Bに在籍している間それなりに売上を上げるという条件もあったのだろう。

後は、そんな腰掛けの状況だとしても、

ナンバーワンを維持するというプロ意識の高さ故だろう。




そうだとしても100万を現金で置くのには驚いた。

・・捨てる様なお金なのだから。

歩合など、あってないようなものだし、

私・S君・新人の状況の中では、100万も出せば余裕でナンバーワンだった・・・。

その時が、

プロとしてのホストを見たのは初めてだったかもしれない。




S君から後で聞いたが、

S君はUさんの事を心酔するようになり、

持ち前の行動力でUさんに電話をして、ホストとしての自分の悩みを打ち明け

アドバイスを求めたらしい。


U「騙したとしても、最後の最後の別れるまで、相手に騙されたと思わせないのがプロだ。
騙されたと相手が思わなければ、それは騙していない。」



とS君が教わったと言っていた。


カッコ良すぎて私も一度はホストをやっている内に言ってみたかった・・・(笑)


S君はその他にも具体的な事なども色々Uさんに教えてもらい、

そんな事がきっかけだったのかはわからないが、

S君は徐々にプロとしてのホストへと変貌を遂げていく・・・。


元々ホストとしての素質が十分にあったS君だ。

少し進むべき方向を教えてもらっただけで、持ち前の行動力で急激にホストとして成長していく事になる。


それが、まさかあんな事件に繋がるとは・・・・。

それはまだまだ先の話である。



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