最愛のビッチな妻が死んだ 第22章

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「なぜ気が狂うほど、会うために自殺するほど、あげはを愛しているのか」


 先日、この原稿を読んでもらっている旧友の1人に聞かれた。


「言っちゃ悪いけど、前の奥さんや他のヤリ捨てた女とどこが違ってたわけ?」


 この人は二丁目のママ(♀)でもう10年近く通っているせいか、色々と過去の僕も知っている。一度あげはを連れて行ったこともあり、お別れ会にも参加してくれた。 前の嫁は連れて行ったことはないが、なんとなく顔やタイプはあげはと似ているママに紹介したかった。珍しく泥酔して眠ったあげはの横で僕はポツリポツリで現在の心境を語り出した。


 前妻の死、友人たちとの別離、僕は幸せになっていいのか…他のお客さんには迷惑だっただろうが、僕の話と涙は止まらなかった。


 その後、あげはの「仕事以外で私以外の女に会いに行くのはイヤ」と言われてしまい、店にはいかなくなってしまった。


 2年間、つまりお別れ会までその人とは会っていなかった。


「…恥かしい話ですが恋に落ちたとしか言いようがないです」  


「恋はするもんじゃなくて、やはり落ちるもんなんだね。好きになったのは一瞬で。だもんね。その落ちたポインツも描いて欲しいな~」


「僕は完全に落ちましたからね。初めて」


「そう。何で落ちたかなんて早々文章にはしづらいと思うんだけど、そこは敢えて文章にすると決めたからには独自のボキャブラリーを使って書き留めることをして欲しいな」


 大人になる前の子ども時代を含めても、生まれて初めて「恋に落ちた理由」、それは一緒にいて、「面白かった」ことだと思う。


 職業柄、様々な人に会ってきた。ヤクザ、ギャングや暴走族、シャブ中に風俗嬢、殺人犯やジャンキー、ラッパー、バンドマンに芸能人、どんな取材対象者や友人より、あげはは面白く、一緒にいて楽しかったからだ。


 あげはと一緒にいる時が一番心地よく、最高に気持ちいい。これに尽きると思う。


「激しい妻のどのセリフにいちいちドキューンときた。とか。やっぱり、ストレートな愛の表現にキョウスケはヤラれたのかな?」


「なんだか、気づいたら夢中になってましたね。その『何か』を言語化しなきゃいけないですね」


「やはり刺激の女王にやられたのかな?アゲハのオシャレなセリフは?」


「シャレた言葉遣いですよね。刺激と平穏、両方与えてくれるところかな。やり取りや言葉だけじゃなく、愛情や生活で期待以上に応えてくれますからね」


「他の女にされたらウザイと思うこともあった?」


「束縛も激しかったですな」


「もちろん、あげはが好きって気持ちから、何でも許せる様になってったんだろうけど」


「好きだから、しかないですね」


「その好きを文章にこれからたっぷり詰め込んで!」


 もちろんリクエストにお応えして、いいところも悪いと引っくるめて記したい。尋常じゃない束縛の全貌もゆっくりと説明していくつもりだ。


僕たちはこういう風にしか愛し合えなかったから。


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