もう40年も前の、学生運動の話 第三回

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31日の朝日が昇ってきた

工務店のおじさんたちは帰ったが、4回生はもちろん、1回生の僕たちでも安心はしていなかった。

なにせ相手は、夜中に工務店のおじさんを仕込んで来るヤツだ。学生が帰ったと見るや、また仕掛けてくるかもしれない。それくらいは、わかる。

その理由が「目ざわりだから」らしいというのも、どうにも納得いかなかったし。

 

とにかく、役割を分担して警戒態勢をとることになった。

さすがに1回生は、思考ではなく行動を求められる。特に僕のように高校で闘争経験の無い1回生は、外回りの見張り要員が振られてくる。

 

前にも書いたが、学舎は坂の上にある。何本かある学舎への坂道を一番上から見張っていれば、誰が上がってくるかすぐわかる。

見張担当はそれぞれパイプイスを持ち出し、自分たちがベストポイントだと考えた場所に陣取ることにした。


落ち着いて周りを見渡せば、とにかく暗い。

向こうの方に見える工学部は、さすがに夜中にも実験をしていると見えてポツポツ明りもともっているが、ここは文学部。渦中の控室以外は、明りがついているところはない。


お~い。工務店のおっちゃんでもいいから、誰か上がって来い!

とか勝手なことを思いながらタバコ吸って時間をつぶしているうちに、少しずつ明るくなってくる。

全学。いや他大学まで巻き込むことになる5月31日の朝日が昇ってきたのだ。



話は、いきなり全学に広がっていた

ただの見張り役だった僕たちの知らないところで、いろいろ連絡と根回しが行われていたようだった。


ちょうど始発電車が大学前に着く頃から、こんなに朝早くに学生が上がってきたことは今までなかったろうと思われる人数が、文学部の坂を上がってきたのだ。


おいおい。なんか棒持ってるやつとか、近づいて来てからヘルメットを出してかぶり始めるやつとか・・・。絶対ウチの学科じゃない連中も多く上がってくる。


当事者であるウチの学科の人数は少ない。各回生40人もいない。当然応援は多い方が心強い。


でも・・・この連中は、テレビで見た「活動家」というやつじゃないのか?

そいつらが、管理棟前の広場にいくつかの固まりになって集まっている。


各所にいた頼りない見張り役は、すごすごと控室に退散である。


騒然した空気も、女子が出てくると少し柔らかになる。

「はい。朝ごはん」と、おにぎりを持ってきてくれる子とか、インスタントだけどみんなにコーヒーを入れてくれる子とか。

タコさんウインナと卵焼きには、思わず歓声があがった。


実は飯を炊いて炊飯器ごと持ってきてくれた男子もいたが・・・、女子ごはんがあっては誰も手を出さないわな。優しい気遣いだけはもらっておこう。


とにかくウチの学科だけでなく、さらにウチの学部だけでなく、全学+αが、ウチの控室に起こったことを聞き、控室を目指して集まってきたのだった。


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