子どもの日本語上達のために私がやったこと② 小4以降

通信教育をきっぱりとやめて、日本語の教科書やドリルも納屋に片付けました。視界に入らなようにしたわけです。これで鉛筆を持って勉強する時間は一切なくなりました。

だからといって日本語に触れる機会が減ったわけではありませんでした。


日本語動画


お勉強を止めた代わりDVDは好きなだけ見せました。日本のアニメのDVDは他の友人達と頻繁に貸し借りしていました。


14歳になると県からノートパソコンが11台支給されました。サイトも動画も見放題という状態です。が、我が家では閲覧制限などは一切せず、見たいものを見たいときに見たいだけ見させていました。日本のドラマを大事な試験の直前に夜中まで見ていることもありましたが、放っておきました。「見て楽しかった~って気分のままのほうが勉強がはかどる!」というのを信じてあげていました。


なので「これ見たほうがいいよ」などと親の下心丸出しの提案は極力避けていました。面白いことにそのほうが良い動画を自発的に見つけられるようになり、私や私の友人にそれを話す機会が増えていったのです。


子どもって新しい発見をすると「こんなの見つけたよ!知ってる?」と自分から話したくなるものなんだと言うことを私が学びました。


そのうち主人公の名前を漢字で書いたり、名セリフを書き写したりし始めました。何度も何度も、何時間も書き続けているではありませんか!


日本で暮らしている方々にはわからないかもしれませんが、外国で教育を受けている自分の子供が自発的に漢字を書きたいと言い出すなんて、涙がでるほど嬉しいことなんです。



筆記用具を持って日本語を書くときが再び来るなんて!と私は感動するとともに、これこそ「楽勉だ!」と思いました。



マンガ本


友人から少女漫画を譲ってもらうことが増えました。行きつけの美容室さんからも不要になった本をたくさんいただきました。この時も私は動画閲覧と同じスタンス。読みたいものを読みたい時に読みたいだけ読ませました。宿題がたくさんあっても、テスト直前の夜中でも、テスト当日の朝でも。


学習まんがの伝記シリーズに興味があったようなので欲しいものは買ってあげていました。


ひとつでも面白いと思えたら次が欲しくなるようで、後ろの方のシリーズ紹介のページを見ながら、


「これ誰?読んでみたい!」

「この人は何してる人?」

「ジャンヌ・ダルクじゃん!欲しい!」

「え?この人もフランス人?!読む!」


ワクワク感はかなり続き、我が家の本棚を占領していきました。

理解度ですが、ルビが振ってあるので読むことはできても意味は全部わかってはいなかったと思います。それでも私は子どもたちが聞いてくるまでは解説は一切しませんでした。知りたくないことをウダウダ説明されても耳には入らないですからね。


学習まんがは何度も何度も読み返していました。しかも読む度に新しい発見があるようで、私への質問が徐々に増えていきました。

強制するより自由にしておいたほうが、長期的にはたくさんのことを吸収してくれるということをここで学びました。

子ども自身が「知りたい!」と感じてくれたら、もうそれだけで大きな財産です。知った時の喜びも重なり、その後も忘れずに頭の中に残ります。義務感で勉強するのとは大違いです。


芸能人のゴシップ記事


あるドラマが気に入るとその余韻に浸っていたいのでしょうね、出演者のことや撮影場所のことをネットで調べるようになりました。読ませたくないようなものがあるのは確かですが、好きにさせていました。

芸能人の話題はあっという間に詳しくなりました。私もどこでそんなのを調べてきたのかと不思議に思っていたので何度かサイトを見せてもらいましたが、国語力は小3レベルがやっとだろうと思いこんでいたので、すごく難しい文章に思えました。

ですが漢字がどんなにたくさんあっても、自分でいろいろ駆使して文章を読み解いていました。パソコンのモニタを食い入る様に見ながら必死に調べておりました。


子どもたちにとっては「知りたい!」という意欲さえあれば、困難なんてないんですよね。ググル翻訳は我が家では日本語の先生に匹敵する最強ツールです。



日記


長女が日本語で日記を書きたいと言ってきたので、どうぞと勧めました。


ひらがなばかりでしたが楽しく書いていました。


ですが自分で読み返していて「読みにくい」と感じたのでしょうか、味気ないと思ったのでしょうか、私に「漢字でどう書くの?」と聞いてくるようになりました。


もちろん私は喜んで教えます。自分から書きたいって言うなんて、超~嬉しい!!!と感動しながら。


感動はしつつも、それが頻繁に繰り返されると私も面倒になってきました。なので電子辞書を買ってあげました。1人で調べる癖もつけられるし一石二鳥だと思ったからです。


ひとつ忘れていたのは、電子辞書でもパソコンでもひらがなで単語を打てば候補がいくつか出てくること。時には56個出てきます。こんな組み合わせもあるの?と思うようなのも出てきます。ですので、


「どれかわかんな~い。」


という質問は耐えませんでした。


日本語力がアップすると、それも減っていきますのでご安心ください。


余談ですが、日記を始めたいと言ってきた時、私はどうせ一週間も続かないだろうと密かに思っておりました。ですが既に8年も続いています。毎日書いています。夜中の3時までテスト勉強をした後でも必ず書いています。


子どもの可能性は、親が考えている以上に素晴らしいとここでもまた気づきました。



SMSSNS


うちの子どもたち(年子)が高校生になる前後、スマートフォン時代となりました。


友達とのコミュニケーション手段であるSMSSNSなどは、制限なく全てOKして使わせました。Facebookへの登録は年齢制限がありましたが、私のほうが「ごまかして登録すれば?」と言っていたほどです。(汗)規律違反してでも日本語に触れる機会を確保したかったのです。

現在はLINESnapchatがメインのようですが、どれもが日本語力UPに多大な貢献をしてくれています。


お友達数人とグループを作り、その中でのチャット。日本語レベルも様々な仲間ですが、漢字を間違えたくないという意識が自然と生まれ、きちんと使うようになってきました。間違えてもみんなが即答で「こうだよ~」と正しい漢字を気軽に教えあっています。


時には何時間もチャットしています。相当量の日本語が飛び交っています。日本に住んでいたらいい加減止めなさい!と叱るところでしょうが、私は「まだ日本語で会話してるの?すごいね~!新しい言葉出てきた?」とどんどん勧めていました。



小説


初めて読んだのは精霊の守り人シリーズだったと思います。アニメが気に入ったので書籍も全巻そろえてはいましたが、うちのこどもがこれを読むなんてありえないだろうなと諦めていました。それを読んでみたいと言い出したのです。そして全巻読み終えてくれました。

同じハーフのお友達からも本を借りるようになりました。こんなに漢字があって半分も理解できないのでは?というような本でしたが、もちろんそれは口に出さず。読み終えた後は友達とチャットで感想をシェアしあい、さらに理解度が深まります。


私は沢木耕太郎の「深夜特急」を、難しすぎたらすぐ止めていいよと添えて渡してみました。20ページも読まないうちに「面白い!!!!!」と言ってもらえ、その後は歩きながらでも読む勢いで6巻全部終わらせてくれました。


子どもは私達の知らないうちに計り知れないほどの知識を得ているんだなと感じました。

こんなの難しいすぎるだろう、絶対最後まで読めないだろう、というのは私の勝手な思い込みにすぎませんでした。毎日一緒に暮らしているのに自分の子どもが小説を読めるようになっていたことに全く気づいていませんでしたから。


日本語能力試験


これは子どもの意見を聞かずに、2ヶ月後に受けてもらうと私が勝手に決めました。N2レベルには受かるだろうと思っていましたが、履歴書に書くなら一番上のN1以外は意味がないという私の思いを伝えました。

まあ一発合格はあり得ないだろうし、何度か受けたら?その度にParisに行けるじゃん!という軽いノリでもあったのですが、受験票が届いた後はそれなりに気になっていたようで、自主的に対策本を開いて勉強もしていたようです。


結果は二人ともまさかの合格。

長女はテストの出来で結果はわかっていたようです。

次女はわからないところはマークシートの並びに美を求めて答えていたようですが「これで日本語の勉強はほんとのほんとの終わりだ!」と大喜びしておりました。



競技かるた


アニメ「ちはやふる」を見ました。かるたをやってみたいと言うので納屋から百人一首を出してきて見よう見まねでやらせていました。始めはおままごとの延長のような感じでした。

それでも毎日遊んでいるので、私も重い腰を上げてネットで調べてみました。


決まり字というものがありそれを覚える必要がありました。

ネットで面白い語呂合わせを見つけてやってみた所、何と3日で半分以上覚えてしまいました。

(子どもがやる気を出した時は大人には信じられない事が起こります。)


アニメ人気もあり、フランス人でもやりたいという人が徐々に集まってきました。

中学生~大学生が週一回我が家に集まって練習をするようになるまでそう時間はかかりませんでした。


ジャパンエキスポのようなイベントでかるたを紹介する際は、みんなに和服を着せました。袴は弓道や合気道の仲間から借りています。着方は1−2回手伝いましたが、後は自分たちで何とかしてもらいます。脱いだ後も同じ。たたみ方は数回見せましたが、しっかり覚えるまで手伝いは一切しませんでした。おかげさまで困らない程度は身についています。


12歳になった時、日本の中学生の教科書が届きました。国語には漢文がありました。それを見たときに私は、これら美しい日本語はうちの子どもには絶対無理と決めつけ、それらの存在すら知らないままなんだろうと諦めていました。


それが今では和服を自分で着て、和歌も読んで意味も少し覚えるほどになっています。


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以上、子どもたちが10歳を過ぎてからの我が家での日本語環境を項目を分けて書いてみました。


何方かのお役に立てば幸いです。m(_ _)m

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