出会いアプリで知り合った男性を、電話の声だけで魅了し、一人の人の人生を変えてしまった


私はさな。

 

普通の女子大学生。

 

学校に行き、スマホをいじり、バイトをして、友達と飲みに行って、、

そんな日々を送る本当に普通の女子大学生。

 

 

しかし、私には、一つ、他の大学生とは違うところがあった。

 

それは「声」

本当に私の声はたくさんの男性を魅了した。

 

 

 

私はモテなかった。

すごく寂しかった。

その寂しさを出会いアプリで解消していた。

 

 

 

最近では、マッチングアプリが流行っているが、

私のやっていたのは、もっと匿名性が高いやつ。

 

 

本気の出会いというより、

暇つぶしや、ヤリモク、お金稼ぎ、、

 

 

そんな人が集まる場所。

カオスな空間。

 

そんななんでもありな空間が好きだった。

誰かと話したいときは、何十人もの男の人が私と話してくれた。

 

誰かと電話したいときは、何十人もの男性が

電話しましょうと誘ってくれた。

 

 

 

それが偽りと分かっていたけれど、

それでも、私を必要としてくれるその空間が好きだった。

 

 

 

特に、私は電話をするのが好きだった。

たくさんの男性と電話した。

寂しい時は、毎日何時間も電話した。

 

電話しないと物足りない夜もあった。

 

 

私の声は男性に「癒し」を与えられた。

仕事で疲れて帰ってきた男性を癒すことができた。

 

 

 

その「癒し」は男性を虜にさせる。

日常戦場のように戦っている男性にとって、

「癒し」の力は強大で、一種の「麻薬」のようなものだった。

 

 

彼らには私が「天使」のように見えたらしい。

 

 

 

一回電話すると、ほとんどの男性が私を求めた。

私はそれが喜びだった。

 

 

しかし、出会いはアプリ。

お互い詳しいことは知らない。

 

 

だからこそ、私は天使になれた。

 

 

顔も分からない、体形も、何をしているのかも、

どこに住んでいるのかも、名前も分からない。

 

 

本当のことを知らないから、

私は天使だった。

 

 

 

私は目を奪われるほど美人でもないし、

抱きたいと思うほどナイスバディなわけではない。

 

 

 

それを彼らは知らないし、知る必要はなかった。

 

 

 

そんなある日、

また私の魅力に憑りつかれた男性がいた。

 

 

彼の名前は「こうじ」

 

それしか、私は知らない。

 

 

毎日のように電話した。

彼は仕事で毎日疲れていた。

 

 

「癒し」といっても、私は特に性によって彼らを癒しているわけではない。

本当にただ「話している」だけ。

ただそれだけ。

それだけでも彼らは満足だった。

 

 

私の「声」に。

聞くだけで癒されていた。

 

 

 

こうじは私をとても気に入った。

私もそれが心地よかった。

 

 

「さな」というのは私ではない。

寂しがりやで甘えん坊な女の子が「さな」

 

私自身が「さな」なわけではない。

天使になれるの「さな」だけ。

 

 

 

 

こうじは同僚の女の子にかなり好かれていた。

猛烈にアタックもされていた。

 

 

飲み会で、ひっついてきたり、

帰りに家まで送らせたり、、

 

 

彼はそれに腹が立っていた。

 

 

彼女は一般的に言うとかわいい子だったらしい。

そのため、アタックして落ちなかったことが初めてだった。

 

今までちやほやされてきて、私に振り向かない彼が許せなかった。

 

 

 

ある日、事件が起きた。

 

その日は会社の飲み会だった。

 

 

その時はもう、こうじは私にメロメロだった。

彼は、あまりに彼女がしつこいため、

私との連絡を見せた。

 

 

今まで女っけがなかった彼が、女と連絡を取っているという事実を

見せつけられた彼女は相当狂った。

 

 

なんで?

私からの連絡は無視するのに。

その女のどこがいいの?

私のほうが絶対かわいいです

 

 

というようなことを言い始めた。

 

 

ちなみに、こうじと彼女は付き合っているわけではない。

それなのに、かなりの彼女面をしてくる。

 

 

「うるせえ」

「お前には関係ないだろ」

「お前よりさなのほうがかわいい」

「だまれブス」

 

そんな言葉をこうじは返した。

 

 

そんな扱いを受けたことがなかった彼女は、怒った。

そして、「私、諦めませんから」

 

そう一言残した。

 

 

 

次の日、こうじが家に帰ろうとしたとき、

駅で彼女を見つけた。

 

 

 

最悪だ、、

 

そう思った。

 

 

「まあいい、気づかなかったふりをしよう。」

 

 

しかし、いつも彼女が降りる駅で彼女は降りなかった。

 

 

「おかしいな、まあこっちで用事があるのかな」

 

 

なんて思っていた。

 

 

 

こうじの家の最寄りの駅に着いた。

降りると彼女もおりていた。

 

 

「嫌な予感がする、、」

 

 

 

そんなことを思いながら帰る。

 

 

すると後ろから彼女がついてくる。

 

 

 

 

さすがに怖い。

家を知られたらまずい。

 

 

そう思い、彼は急いだ。

しかし、彼女もついてきた。

 

 

彼は走り、遠回りしてその場を回避した。

 

 

 

家について一安心していたところに

「私絶対あきらめませんから」

 

と連絡がきた。

 

 

 

次の日、、

 

 

事件は起きた。

 

 

 

仕事が終わり、帰ろうとしていた彼に、一本の電話が来た。

 

それは同じ会社の事務のおばさんだった。

 

 

「あんた、机の上にあった書類何かしてって頼んだ?」

 

 

「いや、頼んでないっす」

 

 

6人くらいでどこかへ持っていってったよ」

 

 

「え!?マジっすか!?」

 

 

嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

急いで会社に戻った。

 

会社にはもう誰もいなかった。

 

 

書類どこ行ったんだろう。

 

会社の裏に行ってみた。

そうすると、灰が落ちていた。

 

 

ああ、この灰は俺の書類だ。

 

 

そう悟った。

 

 

今月にやった仕事をすべて燃やされた。

 

 

 

すぐに彼女に電話した。

しかし、出なかった。

 

 

同僚にも電話した。

出ない、、

 

 

上司にも電話した。

 

出た。

 

怒りに任せてぼろくそに言ってやった。

ちょっと怒られた。

 

 

 

 

はあ、もう何日徹夜したらいいんだ。

絶望感と、何にも表せないほどの怒りに支配された。

 

 

 

数時間後、同僚から電話があった。

その同僚は、彼女に好意を寄せていた。

 

だから、その作戦を断れなかった。

一緒にしてくれたら、ご飯に行くという餌だけで。

 

 

最悪だ。

 

 

その女一人ならまだしも、

5人もついていて、なんで誰も止めないんだ。

 

くそっ

くそっ

 

 

殺意が芽生えるほど彼は怒りに駆られていた。

 

 

それでも、仕事やらないといけない。

彼はその日帰らずに仕事をしていた。

 

 

 

「さな」はそれを聞いて、

助けてあげないとと思った。

 

 

なぜなら、彼と私が出会ったことで、

彼が私の虜になったことで、彼女を逆上させてしまったから。

 

男の人を声だけで虜にさせるというのは、

私にとってはゲームだった。

 

 

そう、ただのゲーム。

ただの娯楽。

 

 

 

つまらない日常のほんの少しのスパイス。

 

 

 

 

そんな娯楽で人に死なれてはいけない。

ゲームは遊びだから面白いのに、

 

そんな本気になったら面白くない。

 

 

 

私は彼がいくら本気になろうと、

会わない。報われない。

 

 

いつかはお別れする運命。

 

 

そんな相手に人生をめちゃくちゃにされてはいけない。

 

 

 

そう思って、話を親身に聞いてあげた。

本当のことは心の奥底にしまって。

 

 

彼はボロボロだった。

 

 

キレると彼女を挑発していた。

彼女はリストカットしているメンヘラガールだった。

 

 

そんな何をするかもわからない人に、

そんな裏でこそこそするくらいなら

俺を直接刺しにこい!!!

 

 

そういったそう。

 

 

彼女ならやりかねない。

 

 

愛が憎悪に変わった彼女に怖いものなど何もない。

 

 

 

 

私は必死に「生きる」選択をして。

傷つかない選択を。

 

 

と説得したが、

 

 

彼はもうなるようになるよ。

死んだら死んだときで

見せしめになるさといっていた。

 

 

そんなの見せしめになるわけがない。

 

そもそもそんな女や「さな」のために

命を捨てていいわけがない。

 

 

死んだら何にもできない。

 

 

生きていたら何とかなる。

何とでもなる。

 

 

逃げてもいい。

 

 

仕事なんていくらでもある。

命があればいい。

 

 

 

そんな電話をしていたのが夜中の3時くらい。

 

 

 

そうすると、足音が聞こえた。

 

「待って、誰かいる」

 

 

その女かもしれない。

 

 

 

ちょっと見てくる

 

とこうじは携帯を置いてどこかへ行ってしまった。

 

 

 

私は怖かった。

 

本当に刺されたらどうしよう。

 

彼は携帯をもっていっていないから、

何かあった時、助けも呼べない。

 

私は彼がどこにいるのかも、名前も分からない。

 

 

心臓の音がうるさかった。

 

 

 

少しすると、こうじは戻ってきた。

 

 

本当に安心した。

 

 

刺されなくてよかった、、

 

 

彼が見に行った時、

その足音の相手はもういなかったみたい。

 

 

 

誰だったんだろう。

 

 

そんな不安を残しながら、

私は眠りについた。

 

 

 

 

次の日、起きてこうじに連絡した。

 

「おはよ-!

大丈夫?生きてる??」

 

 

 

 

「おーい、大丈夫?」

 

 

「こーじ?」

 

 

 

「ねえ、返事してよ、心配だよ」

 

 

 

 

 

… 

 

 

 

 

 

彼から返信が来ることはなかった。

 

 

彼の情報をしらないため、

調べることもできない。

 

 

 

無事かどうかも分からない。

連絡が出来ないだけかもしれないし、

私のことが嫌になったのかもしれない。

 

それかもうこの世にいないかもしれない。

 

 

それを確かめる手段はない。

 

 

 

 

私は「さな」をやめようと思った。

 

 

「さな」は人を癒すことができる。

けれど、その副作用が大きすぎた。

 

 

「さな」の声は危険だ。

力が強すぎる。

 

 

 

こうじほどではなかったが、

それまでもたくさんの男性を魅了し、傷つけてきたことには変わりがない。

 

 

「さな」は「天使」でもあり、「悪魔」だった。

 

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