一本の映画を撮るように、人生をプロデュースする話。(第2章:ヤツと剣道 編)

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前話: 一本の映画を撮るように、人生をプロデュースする話。(第1章:上京と音楽 編)

オレは今でも3回しか行ったことがない部屋がある。

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転校初日のことは友人たちが忘れさせてくれない。

職員室の先生たちへあいさつをしたあと、

新しくクラスメイトとなるみんなの元へ担任の先生が連れて行ってくれた。


新卒で新任の女性の先生だった。

先生も、初の転校生で段取りがメチャクチャだ。


みんなの元へ​オレを案内するやいなや、

「みんなに一言あいさつをしましょう!」と言う。



頭には赤白帽子。
ランドセルを背負ったまま。
右手にシューズ袋。左手には体操服を持ったまま。。。


”荷物くらいおろさせてくれよ”と心の中で思いながらも、
仕方なく、


「ナガサキカラキマシタ。イヌバシリデス。ヨロシクオネガイシマス。」
と、

みんなの前であいさつをした。


あまりにもその姿が、”衝撃的(笑劇的)”だったのだろう。​

”都会の長崎から来た転校生が、シューズ袋を持ったままあいさつをした事件”は、


大人になった今でも、友人との飲み会があるたびに、語られることになる。。



オレの結婚式で、スピーチを頼んだ親友の”Y氏”は、
そこでも、
”都会の長崎から来た転校生が、シューズ袋を持ったままあいさつをした事件”について語りやがった。


転校生の取り扱いには細心の注意が必要だ。


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佐賀へ引っ越してからも剣道は続けた。

長崎県で開かれる小浜大会や、

佐賀県の大麻旗と言う大きい大会では、

昔の剣友や先生方に会えると思ったし、


何より、剣道ってのは、

クラブとか、部活とか、習い事と言う感じではなく、

永遠に続く試練みたいなモノだと思っていたからだ。


こっちへ来て驚いたのは、

先生がいないこと。


8段、7段、6段・・・の先生が、厳しくも温かい指導をしてくださる環境から一転。


ほとんど先生(大人)がいない環境で練習することになった。


この時期の、歳の1歳差は、かなり大きな差になる場合が多い。

やはり6年生が体格が大きく、力が強く、スピードも速い。

が、

絶対に勝てないわけじゃなかった。



それよりも、

同じ小5で、


オレの方がいっぱい練習して来たにもかかわらず、


互角?の剣士がいた。

”Y”だ​。


”都会の長崎から来た転校生が、シューズ袋を持ったままあいさつをした事件”を、


オレの結婚式で暴露した、”ヤツ”だ。


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古き良き時代の、”ガキ大将”みたいな少年だった。

彼の”一声”で物事が決まる。

長崎にはいなかったタイプ。

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