「自分の価値が分からなくなった少年」

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「自分の価値が分からなくなったことはありますか?」


こんな投げかけについて、本気で悩んだある少年のお話です。


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ごく普通の家に次男として生まれ、ごく普通に育った。

ごく普通というより、むしろ、何でもやりたいことをさせてくれる家だったのだろう。


「ピアノを習いたい」と言えばやらせてくれる。

「お寿司が食べたい」と言えば、回転寿司とはいえ、ちゃんと連れて行ってくれる。

2つ上の兄を、良きライバルとして一方的に追いかけていた。


父親も、「今日もがんばっているな。お兄ちゃんを追い抜けちゃうかもな」と、いつも激励の言葉をくれていた。


また、兄の影響もあり、小学5年生のとき、塾に通いだした。

何に対しても好奇心旺盛で、勉強に対しても積極的。トップとはいえないが、常に一番上のクラスではあった。兄が達成できなかった私立中学合格を目標に勉強に励んでいた。



そして、中高一貫の、私立中学に合格。

公立中学の勉強で苦戦し父親に怒られる兄の姿を横目にしつつも、順調に複数校の中学受験を合格という形で終えることができた。



中学に入っても、その好奇心旺盛な性格は変わることなく、有意義な日常を送っていた。



しかし、そのまま順調に物事が進むわけではなかった。




中学1年の夏休み、徐々に家庭の環境が変わりつつあった。



母親が家に帰ってこない。

父親はそのことに対して何も言わない。




そして、夏休みも終わるころからリビングでは物を投げあう音が聞こえ始めた。


みんなの読んで良かった!