他愛ないお声がけ

よくご年配の方から声をかけられる。


先日は電車に乗っていた時に、イヤホンで音楽を聴きながら窓の外の景色を眺めていたら、ふと隣から気配を感じて、そこにはご年配の夫婦がいらした。


なにやら尋ねられていた様子だったので、耳にはめていたイヤホンを左側だけ外して、聞き耳を立てた。


「いま何時ですか?」


僕は手に持っていたスマホの電源を入れて、時刻を教えてあげた。


「あとどれくらいで多摩川に着きますかね?」


矢継ぎ早に質問してくる心配性の奥様の無邪気な問い掛けに、なぜか心がほっこりして柔らかい気持ちになった。


車内で流れているアナウンスを聞く限りでは遅延の影響もなく、このまま乗っていれば、降りることを忘れさえしなければ無事にたどり着けると、軽く冗談も交えながら教えてあげた。


ご夫婦より一足先に別の駅で降りる時に「お気をつけて」と軽くご挨拶をすると、電車から降りる僕を見つめるご夫婦の顔に、心配で倒れそうだと書いてあった。


「大丈夫ですよ。このまま乗っていれば無事に着きますから」


ご夫婦を乗せた電車を見送ったものの、その時の僕は、腹が減っていたぐらいでどうせ暇だったし、着いて行ってあげればよかったと、今になって思う。


利害のない、他愛ないお声がけは、いつでも大歓迎なわたし。


お役に立てれば幸いです。

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