④返せない借金は貰ったのと同じこと?(笑)

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●弊社の課題

 

アタッカーズビジネススクールに通っていた。

そのおかげで、自分の会社の欠点も明るみになっていく。理論的に解明されていく。

 

要は、ウチの最大の欠点は「価格決定権」のなさにあった。

これは、下請け建築業という構造的な問題だ。ウチは自分たちに商品があって「売る」という立場ではない。

すでに決定されている工事。すでに価格が決定されている工事を奪い合う、上から流されてきた仕事をこなすでしかない立場だ。価格を論じることなどできるはずがない。

・・・・・言われたとおりに黙って値下げを飲むしかない立場だ・・・・。

 

これを打破するには、

 

◎自分たちの独自の商品を持って価格の決定権を持つ。

◎エンドユーザーと直接ビジネスをして価格の決定権を持つ。

 

しかない。

漠然と考えていた、自分の進む道が見えてきていた。

そして、進む方向や、方法論もみえてきていた。

 

答えは

「やれる!」

だった。

徒手空拳で、ここまでの会社を作ってきた。

次はエンドユーザーと直接繋がるビジネスをする。

そして、上場企業をつくってやる!

 

 

●1998年末 GT-R

 

私は日産のディーラーにいた。

開店時間前。店内の照明もまだ疎ら。人もまだいない。

いるのは、私と、日産ディーラーのウチの担当者だけ。

 

今度こそGT-Rを買うと決めた。

ギラギラしていた頃の自分にもどすための道具だ。

 

前に32GT-Rを買おうとしたことがある。

いや、買うと決めていた。

・・・・けっきょく買わなかった。

 

GT-Rの試乗を頼んだ。

「もうすぐ、新しいのが出ますよ」

ディーラーの担当者が言う。

33GT-Rはモデル末期を迎えていた。

どうせならばと、34GT-Rの登場を待った。

 

ウチの作業車はすべて日産だ。

1台から始まった作業車は4台に増えていた。

成長著しい会社に映っているに違いない。今やウチを担当してるのはディーラーの営業部長だった。

 

試乗当日。

発売前の34GT-Rの試乗車は何台もなく、スーパーカーショーよろしくディーラー間をまわるらしい。

ディーラーでお茶を飲んで待っていると、遠くからガラの悪そうな爆音が響いてきた。

爆音の主は34GT-Rの試乗車だった。とてもメーカー純正車両だとは思えない。

 

試乗をする。慣れた道を流す。

・・・・・・なんだこりゃ?

とんでもない衝撃が走った・・・・・・

会社の若いヤツの乗る車には、スープラもあれば、Zもある。自主規制の280PSをたたき出す車がいくつもあった。キーを借りてよく乗った。しかし、どんな車にもこんな衝撃は受けなかった。

・・・・これで280PSなのか・・・?

確かに、むかし、32GT-Rに試乗した時にも衝撃を受けた。

当たり前だが、さらに進化していた。

32GT-Rには、まだライトウェイトな雰囲気があった。34GT-Rには路面を剥がして進むような、そんな安定感やグリップ感があった。

いずれにしても他車とは全く違う車だった。

 

助手席の営業部長さえうわずっている。

道行く人がふり返った。隣の車の視線・・・・・

ディーラーにもどって、その場で注文書を書いた。色はミッドナイトパープルと決めた。

 

 

 

●新規事業 ニーズ

 

ウチにとっての欠点が、価格決定権のなさだと痛感した。

そのため、新規事業は、価格の決定権を持ちエンドユーザーを直接顧客としたものだった。

 

ウチは「電気屋」と呼ばれる職種だった。電気工事会社。

今は、携帯電話基地局工事をメインとしているが、その前にはPARCOなどのテナント工事も手掛けていた。地下鉄工事で発電機の設置。電気設備工事をやっていたこともある。

つまり、電気工事と名がつけば何でもできた。

最初の修業の場所を「計装工事」としたことが要因だった。

・・・・これはけっこー特異なことだった。

 

 

知人から照明設置の依頼が来た。

 

知人は開業医。骨董品収集が趣味。色々集めて棚に飾っている。そこに照明が欲しい。

壁面に絵画が飾ってあって、そこにも照明が欲しい。

 

確かに、家具店には棚は売っているけど、よく宝飾品で見るショーケースみたいに照明が入っているのは見たことがない。

絵画が飾ってある家は数多いが、そこに照明までも設置してるところは見たことがない。

絵画、骨董品が趣味ということで、数多くの品を集めていらっしゃった。その季節、時々で、玄関の棚、リビングの棚の品を入れ替え鑑賞するのが、何よりの楽しみだとおっしゃっていた。

 

このオーダーの場合は、PARCOなど、テナント工事をやっていた経験が生きた。

ただ単にライトアップといっても、その照度や、照射角度などいろいろな種類がある。

また、色調も考えなければならない。

生鮮食品では温かい・・・赤っぽい色調の照明を使うと生鮮食品は映えるし、貴金属には白っぽい色調がいい。

また、スポットライトは光が強い分、熱を発する。絵画に熱を照射するのはよくないはずだ・・・etc

 

施工を完成させたときには、たいそう喜んでいただいた。

確かにアッパークラスの世界では、こういうニーズはあるにちがいない。

 

 

これが、初めてのエンドユーザーとの直接取引だった。

 

アッパークラスだけではなかった。一般の家庭でも、携帯、PCが家庭に普及してくるにしたがって、「コンセントがほしい」というニーズは圧倒的に増えていた。

電気そのものではなかったが・・・・・当時、インターネットの黎明期。ISDNが家庭に入り込んできた時期で、部屋の中に電話線を引きたい・・・・今でいえばLAN配線をおこないたいという要望も多くあった。

 

ニーズを調べてみると、ビル、建物での「電気の困りごと」は数多く存在していた。

しかし、その解決を依頼できるところがなかった。

・・・・ふつーは建物なので、ビルならば設計会社、管理会社。家庭ならば工務店へと頼む。

が、もともと設計会社、工務店は「建物」を建てること自体がビジネスであって、建物が建った後で、なおかつ、その中での「電気系付帯設備」の増設とかは自分たちでできない。そして、やりたがらない。やるとしたら下請けの電気工事会社に丸投げして自分たちのマージンをのせて請求する。結果、割高となる。

一般家庭でのライトアップなどの場合であれば、リフォーム会社とかのテリトリーだろうと思う。

しかし、顧客のやりたいことは

「ここに照明が欲しい」

「ここにコンセントが欲しい」

そんな電気工事のちょっとしたことだった。

 

「これはビジネスになる」

その気になって、アンテナを張ってみると仕事はいくらでもあった。

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