一本の映画を撮るように、人生をプロデュースする話。(第5章:就職と抑鬱状態 編)
今でも使ってる入社直前に買ったポーターのバッグ。
キーホルダーは今もなおこのバッグにつけてある。
社長は、もうこの世には居ない。
悲願の目標、
”開成高校合格者数日本一”を達成された年に若くしてお亡くなりになられた。
最前線で突っ走っていらっしゃったんだ。
場所や立場は違えど、
社長が大切にされていた意志をオレは生徒に伝えていきたい。
本気で頑張ることの尊さだ。
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憧れの街”東京”とももうすぐおさらば。
「オレはシゲキ的でBIGなコトができたのか?なぁ、教えてくれよ、東京!」
本社からの帰りの電車の中、
新宿歌舞伎町の煌びやかに光るどデカイネオン看板を見ながら、
上京初日のことを思い出した。
気持ちは正直複雑だったが、
立ち止まってはいられない。
地元に帰り理想の塾を創るというNEXT ステージはもう自分で決めたじゃないか!
重苦しい気分のまま、
帰宅後、同棲している美容師の彼女に本音をぶつけた。
彼女は休職中の数ヶ月の間も必死にオレを見守ってくれた。
薬を使ってもなかなか快方に向かわなかったオレを、
もう一度、夢に向かって頑張るよう仕向けてくれた。
”一緒に田舎に付いて来てくれ!”と、言えるはずもなかった。
起業は、ある意味、”賭け”の部分もある。
独り身なら、失敗しても、どーにか食いつないでいけるだろうが、
オレの夢のために、彼女の夢をぶち壊しにしてまで、
彼女を幸せにする自信はなかった。
「もう、終わりにしよう。」と告げると、
意外な言葉が返ってきた。
「ドラゴンボール7つ集めたら何をお願いする?
私は何もお願いしない。
だって自分の願いは自分で叶えるモノだから。
だから、私も九州に行く!
私の夢はあなたが夢に向かって頑張るのを支えることに変えたの!!」
思わず笑ってしまった。
先輩風を吹かして、”近寄ってくんなオーラ”を出してたにも関わらず、
「この曲、なんです〜?」って気安く聞いてきて、
オレの方が、「餓鬼レンジャーだよ。」と、
タジタジしながら答えさせられただけある。
さすが、ハートが強い人だ。
ただ、この時、将来、妻になる美容師の彼女は泣いていた。
軽い気持ちで言ったんじゃない。
幼い頃から母親の仕事を見てきた彼女の夢も、美容師として働くことだった。
やっと、その夢に向かって一歩を踏み出したところだったはずだ。
一見、気が強そうに見えるが、
実はそうではない部分が大きいのは、オレが一番よく知っている。
ーーーー
しめっぽいのは苦手だ!
”Life is a Journey"〜人生は旅である〜。
1月。
底冷えする季節。
”マジェる”に二人乗りして東京に別れを告げた。
「オイ!東京!!
オレは負けてねーからなーーーー!!!!」
第5章:就職と抑鬱状態 編 終わり。
第6章(最終章):ブレストと教育編に続く。
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