28歳大学生

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9月に入った。あと4ヶ月、高校の1年生程度の教科書を何度も読み返し、

焦りで涙が出てくる。

また、模試を受けた。

判定は











 E

「はい?!」

思わず、言ってしまった。

偏差値44。

「・・・・・・・・・」

何も変わっていない。

さすがに参ってしまった。

心の悪魔が圧勝。ぼくは図書館に行くのを辞めた。

久しぶりに東京の街をぷらぷらしていた。

ぼくは何者でもない。

27才。9月の後半だった。

適当にBARに入り、何ヶ月ぶりかのお酒を飲んだ。

横には社会人やOLらしき人が沢山いた。

何をやってるんだろう。

「無謀だった」

涙が込み上げてきた。

ぼくは、何者でもない。





周りが輝いて見えた。

希望も何も無い。

それから、1週間、布団から出なかった。

頭痛と吐き気が凄かった。

プレッシャーに押しつぶされそうになった。

投げ出したら楽になれるかもしれないと何度も思った。

「おまえギャグかよ!その年で大学行ってどうすんの?キャリアも無くなるし32才で新卒採用で取ってもらえると思ってるの?!」

昔の同僚の声が響く。

次の日、ぼくは何を血迷ったか、目指している大学のキャンパスにいた。

判定Eのぼくが。

「ここが大学か」

大学はまだ夏休みだったみたいで、部活をしている人以外ほとんどいなかった。

そこらへんの芝生に寝っころがって、空を見上げた。

「大学って何だろう?」

「なぜ目指したんだろう?」

とか、色々考えているうちに、やるだけやってみようって思った。

帰ってすぐに図書館にチャリンコで行き、

また勉強を再開した。

そして、そこからは、ぶれることなく、勉強をした。

時は12月、センター模試を受けた。

模試を受けていいことなんて一度も無かった。

合格判定通知が届いた。














判定 C

偏差値56

1ヶ月前になって、初めてE以外が出た。

「うおおおおおお!!」

嬉しかった。まだ、何も成し遂げていないけど、

とにかく嬉しかった。身体はサラリーマン時代から10キロ痩せて、

ガリガリだったけど、初めてのC判定で希望が出た。

年末年始はもちろん自宅で勉強、センター試験まで残り14日。

そして、時は経ち、センター試験前日になった。

その夜、母親からお守りをもらった。

「お参りしてきたからな。」

応援してくれる母親のためにも自分の為にも、

センター試験を突破したかった。

公立の大学はセンターで良い点数をとらないと2次試験に不利になる、

ましてや2次試験さえ受けれない可能性もある。

センター試験の前だから早く寝床に入ったが、

全然寝れなかった。

不安でしょうがなかった。

よくここまでやってこれた。

そして、当日の朝を迎えた。

勝負の2日間。

周りの若い高校生に混じって、

席に着いた。

ちらちら見られたけど、やるだけだった。

「はじめ!」

試験官の威勢の良い声、みんなの鉛筆が動き始めた。

僕の受験が始まった。

あっという間にセンター試験が終わった。

センター判定を郵送で送り、

2次試験に備えた。

センター判定が返ってきた。













判定 A

安堵感が広がった。

まだ、2次試験も受けていないのに、

ダメだ、ダメだと言い聞かせ、2次試験に備えた。

2次試験の前に誕生日を迎えた。

28才になった。

世間ではバリバリのサラリーマン、子供がいる同級生、

色んな人生がある。

ぼくは28才受験生。

まだ、何者でもない。

2次試験当日のことはあまり覚えていない、

ただ、論文だったので、字が下手なぼくはとにかく綺麗に書く事だけを考えた。読めなくて落とされたらシャレにならない。

ぼくの受験はおわった。

残すは合格発表のみ。

ガリガリのぼくは、家の側にある川岸を散歩して、

受験を思い出していた。

パーカーがゆるゆるになっている。

とにかくやるだけやった。これでだめなら、働くだけだ。

合格発表は電話でも、ネットでも見れたけど、

あえて掲示板まで見に行った。

そうすれば、ダメでも受け入れられるとおもった。

掲示板まで50mのとこにきた。

その日は土砂降りで、少し遅く行ったからか、

掲示板の前には誰もいなかった。

心臓がバクバクしてる。

吐きそうだ。

神様。







掲示板の前に立った。

土砂降りで、よく前が見えない。

番号、番号、、、、、、、

「・・・・・・・・あった」

気がついたら傘を投げ捨てて雨に打たれて呆然とたった。

本当に嬉しいときは声が出ない。

しばらくして、

「うおおおおおおお!」と叫んでしまった。









土砂降りの掲示板の前で28才が大学に受かった。

丸坊主にメガネのぼくは泣いた。

ぼくの受験時代は終わった。

28才大学生になった。

そこから待っていた事はとんでもないことだったのは、まだ知る由もない。。、


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