終末期の支援
の人に見送られて、お別れをすることになる。退所する場合であっても、多くの場合は金銭的な理由が多い。そして、御家族の方が…
「施設に不満」
がある場合も多い。しかし、結局、介護施設も医療機関も法律により運営されているのだ。したがって、大きな差が発生するとは…
「考えにくい」
私もいくつか、施設や医療機関を知っているが、どこも、同じような体制だ。なぜなら、介護保険法や医療法により…
「運営」
されているからだ。私は、病室から笑顔で手を振る医師や看護師をみて、介護と医療の違いについて実感していた。医療の世界では、結果として…
「死亡」
することがある。しかし、介護の世界では、高齢化を扱っているために、「亡くなる」ことを前提としているのだ。やはり介護は…
「ドラマ」
になりにくいのだろう。特に現代日本では、死が「タブー視」されているために、なおさらだ。私は、Aさんと一緒に病院の職員に手を振りながら…
「内心」
このようなことを思っていた。そして、施設がAさんの…
「最後の場所」
となったのだ…
私は、自動車のハッチを開けた。そして、Aさんを車内に入れた。車椅子が固定していることを、確認すると、エンジンをかけて、
アクセルを踏み込んだ。…
車内では、Aさんは、ウトウトしていた。医師の話では、病院でも、傾眠状態だったらしい。Aさんは、夢を見ているようだった。時々、…
「スヤスヤ」
という寝息が聞こえてきた。今日はいい天気だった。雲ひとつ無かった。太陽が心地よい。季節は、いつの間にか、秋になっていた。最近、夜勤が多かったので…
「季節感」
が全くなかった。…
「…もう、夏が終わっていたのか…」
私は一人でつぶやいた。空には、秋の空が広がっていた。…施設に到着すると、暖かく皆が出迎えてくれた。そして、施設長に状況を報告する。病院からの…
「医療情報」
や、薬剤なども施設長に手渡した。Aさんは、他の職員によって、早急にベッドに移された。車椅子からベッドに移乗するときでも…
「起きることなく」
スヤスヤと眠っていた。山田もAさんの居室にきていた。山田は違うユニットに配属されていた。しかし、どうしてもAさんのことが心配で様子を伺いに…
「来ていた」
のだった。山田は、私の姿を見ると、話しかけてきた。…
「それで、Aさんの状態は、どうなんだ?」
山田以外にも職員が複数いた。皆、深刻そうな表情をしていた。私は、皆に口頭で医師から伝えられた情報を…
「申し送り」
した。そして、室内が重たい空気になってしまった。山田は皆を励ますように、わざと元気そうに皆に言った。…
「…やるだけの…ことをやろう」
皆は、山田の言葉を聞くと、うなずいた。そして、皆、持ち場に帰っていった。山田と私は二人きりになった。そして、山田は口を開いた。…
「俺が、ここに就職してから、もう、3年が経つ。最初は3日で辞めようと思ったよ。でも、Aさんの支援をしたときに、ありがとう。って、言葉をかけられたんだよ。…それで、現在まで頑張ってこられたんだ」
私は山田の言葉を聞いて、驚いた。山田は人に弱みを見せるのが、嫌いなタイプだった。そして、少しヤンキー風に見える為に、就職当時、先輩からの…
「風当たり」
が強かったのだ。しかし、山田は、そのような窮地を、得意の「お笑い」で切り抜けていたのだ。そのために、私も山田は…
「ストレスを感じないタイプ」
である。と現在まで、思っていたのだ。しかし、山田の心の底にも葛藤があったのだ。私は、そのことについて初めて知った。
そして、山田に勇気を与えたのは…
「Aさんの言葉」
だったのだ…
Aさんは、自然と相手に安心感を与える事ができるタイプだった。娘さんを見ると、Aさんは、元気なときは家族や周囲の人から…
「愛されていた」
ということがよくわかる。もし、Aさんがいなければ、山田は本当に介護の仕事を3日で辞めていたかもしれない。もし、そのような状態になっていたら…
「山田の人生」
も大きく異なっていただろう。山田と私は、ヘルパー研修からの付き合いだ。共に同じ講座を受講した。同年代ということもあり、意気投合した。ヘルパー研修は…
「講師」
の話をレポートにする作業がメインだった。私は、介護のことなど、全くのド素人だったので、最初は…
「特養」
という、言葉など聞いたこともなかった。周囲に高齢者もいなかった為に、介護や医療については知識が0の状態だった。恥ずかしい話、私は…
「デイサービス」
という言葉を知らなかったのだ。デイサービスとは、「コンビニの名称」だと思っていた。それほど、介護の世界とは…
「縁がなかったのだ」
正直、介護と医療の区別もできていなかった。介護と医療の分野は、自分の人生で一番、「無関係」な分野である。と思っていた。しかし、人間の…
「運命」
とは、不思議なものだ。私の場合は、祖父の介護がきっかけで、この分野に興味をもつようになった。しかし、知識が全くなかった為に…
「とりあえず」
介護ヘルパーの講座に申し込んだのだ。最初は介護職員になるつもりはなかったのだ、しかし、運命の…
「糸」
に引っ張られるように、この世界に飛び込んだのだ。私は、このように、未経験で実務経験無しだったから、最初は、先輩から何度も…
「注意」
を受けたものだ。しかし、3年間は頑張る。そして「介護福祉士」の資格を取得する。という目標があったから、頑張ってこられたのだ。しかし、最初は…
「失敗」
ばかりだった。今でも記憶しているのは、入浴介助中に利用者を転倒させてしまったことだ。入浴中の事故は…
「死亡事故」
につながる恐れもある。当然、厳重注意を受けた。正直、「辞めよう」と思ったこともある。しかし、どうしても…
「知りたい」
という知識欲のほうが、大きかったのだ。そして、1年目がすぎる頃には、段々と仕事にも慣れてきた。山田も同じような思いだったのだろう。山田は…
「母子家庭」
で育ったらしい。そして、中学生の頃から、仕事で忙しい母親にかわって、祖母の介護をしていたらしい。そのために、声掛けが上手だった。しかし、1人になると寂しそうに…
「むせるまで」
タバコをふかしていた。やはり、色々と苦労があったのだろう。山田の母親は、現在、体を壊して静養しているらしい。利用者さんも、職員も、それぞれ…
「いろいろな思い」
を抱えて、生活をしているのだ。それが「介護施設」という場所なのだ。厳しい人生を生き抜いてきた人生の先輩達の…
「終着駅」
という趣もある。私も、最初の駆け出しの頃は、利用者さんから、助けてもらったことがある。介護というのは、一方通行でなくて利用者さんと職員の…
「助け合い」
が基本となるのだ、Aさんも、入所当時は認知症も進行していなかった。そのため、食器の配膳、洗濯物の取り込みなど手伝ってもらったものだ。Aさんと一緒に…
「ふかし芋」
をつくったこともある。正直、家事が不得手な私よりも、Aさんのほうが、調理や洗濯物だたみ、は上手だった。何度か、そのことについて利用者や先輩から…
「からかわれた」
ことがある。今では良い思い出た。しかし、Aさんは現在、ベッドに横たわっている…
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