私が自由を求めるワケ⑥

結婚するしか道が無いと悟った私ですが、

その頃の私は、
ちょっと好きになるとすぐに自分から告白し、
少し付き合っては別れるという事を繰り返していました。

私には、みんなにはあるハズの感情が
欠落しているのを感じていました。

私は人に甘える事が出来ませんでした。

私には独占欲がありませんでした。

浮気に対しても寛大でした。

去る者は追わずでした。


幸せな家庭生活を経験した事が無い私は、
もともと結婚願望はあまりありませんでした。

私を産んだ母と父は別れてしまい、
私は捨てられました。
兄は母の元へ戻りましたが、
親子関係がうまくいかずに暴力を振るったり、
精神的にとても不安定な人間になってしまったと、
父に聞きました。

そんな親から産まれた自分も、
そんな風になってしまいそうな恐怖も
ありました。

中学3年の時以来会っていない母の当時の印象は、
とても40を少し過ぎただけの人には見えない程、
やつれて、決して美しいとは言えない人でした。

あんな風にだけは絶対になりたくない!!!

それだけは絶対に避けたい事でした。


雑誌で見て憧れたモデルさんは、
いかにもキャリアウーマン風で、
仕事の出来るキャリアウーマンになるのが
その当時の私の憧れでした。
実際に職場でも業務改善を繰り返し、
何度か賞ももらっていました。
30歳までは
結婚なんかしないつもりでした。

私を産んだ母の様に、
醜く年をとるのは絶対に嫌だ!!!

でも、子供だけは欲しかった・・・。

結婚願望は無かったけど、
切っても切れない血の繋がった我が子という、
絶対的な存在への憧れは強烈にあったのです。


そんなある時、
ちょっと気になる人がいて
いつもの様に軽い気持ちで告白しました。
すると、その人に気に入られてしまい、
親に紹介され、
トントン拍子に結婚する事に
なってしまったのです!

まだ結婚する気は無く、
ちょっと付き合うだけの
軽い気持ちだったのに・・・。

一度はお断りしましたが、
でも結婚すれば、
あの息苦しい家から逃げられる・・・。

正直とても悩みました。

流されるまま複雑な気持ちで
結納を迎えました。

そのうち、
自分が妊娠している事に気が付きました。

私は観念しました。

ここで妊娠するという事は、
結婚しなければならない運命なのだと。


当時、仕事はとても楽しく、
課にとって私は無くてはならない存在でした。

上司に結婚退職の申請をすると、
会社史上初の高卒の管理職へ
私を育てるつもりだから、
辞めないでくれ、と懇願され、
高卒で一流企業の管理職になるという
とても魅力的なオファーに
かなり後ろ髪を引かれましたが、
妊娠していた私は
私を産んだ母の様になりたくない一心で、
退職したのでした。

我が子には、
目一杯の愛情を注いであげたかったのです。


結婚式当日を迎え、
あまり気乗りのしない私は、
式ギリギリに式場に到着し、
館内で盛んに呼び出しをされていた様でした。

夜逃げをした際に散々迷惑をかけた父の親戚には
とてもじゃないけど顔向けできないとの事で
私の父方の親戚は招待できず、今の母方の親戚と、
付き合いの浅い東京の友達しか招待出来ない私に比べ、
子供の頃から東京に住んでいた主人は友達も多く、
更にお父様は会社の重役で錚々たる面々の来賓がたくさんおり、
3対7の比率のなんともアンバランスな招待客で、
知らない方ばかりに囲まれた私は、
誰の結婚式なんだろう・・・
と複雑な気持ちでいました。

新婦は料理に手を付けるもんじゃない!
と親に言われていた私は、
式の最中も二次会もほとんど口にしていませんでした。
その晩は式を行ったホテルに宿泊したのですが、
主人は夜中まで友人達と飲みに行ってしまい、
挙句には酔いつぶれて寝てしまいました。
ほったらかしにされた私は、
空腹と淋しさで、
この結婚はやはり間違っていたのだろうか・・・。
と悩みました。


しかし、結婚生活が始まると
主人はとても優しく、
穏やかな日々が続きました。

長男が産まれ、
かけがえのない絶対的な存在を手に入れた私は、
やっと人間的な感情を取り戻す事が出来ました。

子供を産んだ事で、
どんな感動作品の映画を観ても泣けなかった私は、
徐々に涙もろい人間になっていきました。

授乳をしている時が、
今までの人生で一番幸せな時間でした。

私を必死に求める我が子が、
可愛くてたまりませんでした。

こんなに純粋な感情を受けた事が無かった私は、
至上の幸福を味わっていました。


しかし、
そんな幸せも長くは続きませんでした。



続きはまた次回・・・。
















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