最後に

前話: 11月の1話 帰還 ボスからの最後の言葉

フランスに来て、沢山の大変なことがあった。人から、「楽しかった? 」と聞かれても、手放しで楽しかった、とは言い切れない。楽しかったことは沢山あるが、それでも大変なことの方がやっぱり多かったと思うからだ。海外でしかも学生で、しかも留学先はクレバーな人が集まる場所、となれば、自分には足りないものだらけで、四六時中、本当に四六時中、何か、やらなければならない、という気持ちがついて回る。責任感、劣等感、疎外感、圧迫感、寂寥感。何をするにも簡単には出来ないことばかりで、今にも折れそうな気持ちを必死で無視して、頑張ってきたからだ。ヨーロッパ各地への旅行の大チャンスだったけど、殆どどこにも行かず、ずっと自分のレベル上げの努力をしていた。

 しかし今、思い出してみても、やっぱりかけがえのない経験をしたと思う。

 例えば、海外に行ったから、留学生の悲喜こもごもも分かったし、海外から日本はどのように見えているのかも分かった。

 何語でも、分かるものは分かるし分からないものは分からない。聞いてもらえるかどうかも聞く価値のあることを自分が持っているかどうか、が大事であるということも分かった。

 バス待ち中でも単語帳を開く、というような地道な努力モードにスイッチが入るか入らないか、は状況次第である、ということもわかった。つまり、努力しないことで被るストレスが優れば勝手に努力できるということだ。自分の実力を上げようと思ったら、壁を無理やりにでも作ればいい。困れば、勝手に実力は上がる。

 私が、あまりにも日本の知らない、ということも分かった。なぜなら、日本の文化を説明したいとき、結構正確には説明できなかったからだ。

 日本の大学生と比べたときの、大学生のレベルの違いも知った。世界との競争力を考えたとき、日本の大学生が過ごしているのんびりとした数年間は、危機感を持つべきとも思えた。日本語ペラペラのフランス人と友達になり、日本に留学したことのあるその子が言っていたことが耳に残る。「日本の大学生は、勉強しないですよね。それはびっくりしました。」彼らにとって、大学は、勉強するところなのだ。耳が痛い、と思った。

 他にもこぼれ話的なことはキリがない。まとめて本にしたいと思いながら何年も経ってしまった。このような私の経験が、一体誰にとって役に立つのかよく分からない。自分の経験の共有や成長にフォーカスしたい思いもあれば、日本の大学のあり方に問題提起をしたいような気もする。こんな私が今どのような生き方をしているのかも含めて、近いうち、どんな形でも何かまとめてみたいと思っている。

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