第3話 メキシカンおばちゃんと愛を探す!【旅歴4年、世界2周半。天国に行った子ども達がくれた人生の宝物*】

前編: 第2話 始まりの合図。ペルー・ボリビア・エクアドル【旅歴4年、世界2周半。天国に行った子ども達がくれた人生の宝物*】
後編: 第4話 地図も時計もいらない理由*グアテマラ【旅歴4年、世界2周半。天国に行った子ども達がくれた人生の宝物*闇と光の正体】

第4カ国目 メキシコ どんでん返しの幸せ!

———「ねぇまりこ。愛って、こんなにあっけなく消えるものなの?」

人生の開拓者は、いつも自分自身】
日本を出国して2ヶ月後、メキシコで海ガメ保護のワークキャンプをするために、メキシコシティへと飛んだ。


メキシコへ飛ぶ前、エクアドルの小さな町で38〜39℃台の熱が1週間、初めて痰詰まりで息ができなくなる体験をした。現地でもらった咳止めには麻薬成分が日本の数倍入っており、飲んですぐにベッドに埋まるようにして何日か寝続けた。


そういえば、ウユニ塩湖も熱と血便の中を夜行バスに揺られて行ったし、ガラパゴス諸島ではお腹に虫がいると、退治するための薬を飲み続けていた。


病院に行けば別室に連れて行かれ、問診ではなく「君はなぜ一人でこんなところに来たんだ?」「帰る家はあるのか?」「日本の裏側で一体全体何をしてるんだ?」と、現地のドクター達による人生心配会議が始まったりもした。


南米でことごとく旅の洗礼を受けても、くじけずに旅を続けることができていたのは、私と同じように世界を旅するバックパッカーたちの存在日本で待っていてくれているみんな、そして現地で助けてくれたたくさんの人たちのおかげだった。


旅の不安や予期せぬ出来事、それが人生をより深め、人の温かさや優しさを教えてくれた


日本から飛び立つ前、”地球探検隊”のインカトレッキングと”NICE”の国際ワークキャンプにも申し込んでいた。そこで出逢ったみんなとは、互いの人生を共に応援し合う仲間となっていた。

世界の裏側でたった一人の時があっても、いつも数え切れないほどたくさんの心強い仲間たちの事を思い出すことができた。もちろん、天国に行った子ども達のことも!


決して一人で旅をしているわけでも、一人で生きているわけでもなかった。


海外に来て、自分の身は自分でしか守ることができないんだと実感することも何度もあった。旅は、時には命がけだ。けれどそのための不安も怖さも、全部は一人で抱え込まなくていい


何かを成し遂げたいと思ったとき、勇気を出して声を出し、アンテナを張って行動し続ければ応えてくれる存在が必ず目の前に現れるように、この世界はちゃんとできているということも知った。人の優しさに涙を流したのは、久しぶりだった。


そして、世界各地にある安宿・ゲストハウスには、世界中から来たバックパッカーたちが滞在していた。そこでは世界中の情報が飛び交っているし、日本人バックパッカーも多々集まる。

病気やスリや強盗や、過酷な社会やナンキン虫・・ドジな話もアホな話もマジメな話もシビアな話も、掘れば掘るほどわんさか出てきて、世界中を旅している旅人の話はどれも新鮮で、個性豊かで本当に楽しかった。

みんなそれぞれ旅や人生でいろんな境遇を乗り越えてきている、同志だった。みんな、なんだかんだ命がけで生きていた。だからなのか、目が活き活きとしていて、”生きてる!”って感じだった。

自由でたくましくて明るい旅人たちと出逢うたび、心はいつも元気になった。

宿のオーナーも素朴で優しい人がたくさんいて、いつも現地の情報を惜しみなく教えてくれた。そっけない顔をしている人でも、実は笑顔が可愛かったり!

優しさの裏側には、お金があることもしょっちゅうだったけれど、それに対しで自分がどう思うか自分はどうしたいのかを知るきっかけにもなった。


そうやってたくさんの人たちに助けられながら旅の仕方を覚えていって、落ち込んだり感動したり、素敵な出逢いにワクワクしたり、毎日たくさんの経験をしながら自分を見つめ、一歩一歩、新しい景色に進んでいった。


たとえ言葉が通じなくても、文化や宗教が違っても、いろんな方法を駆使して伝えようとすれば、必ず何かが通じ合ったし、笑顔はいつも世界共通だった。


そして、一人だからこそ見える世界も、出逢える人も、自分次第でどんどん変わっていくことが楽しかった。自分自身ととことん向き合うことで、新しい自分を発見することもできた。


辿り着いたメキシコでは、南米でのそんな経験を実践する場となった。


また、新たな冒険が幕を開けた!

ウミガメ保護のワークキャンプの集合場所は、広いメキシコの中にある小さな小さな小屋。地図にも載っていない、メキシコ人ですら知らないような小さな村への行き方は、私どころかメキシコ人でさえ誰も知らなかった。




「ここはどこ?どうやったら行けるの?どうしたらいいの?!」を何度も繰り返し、バスを乗り継ぎながら、2日間程かけてとにかく西を目指す!


世界中で迷子になって、調べたり人に聞いたりしながら目的地を探し出す。


いつの間にか、地球をフィールドに謎解きゲーム!!


そしてわかったことは、この世界の面白いところは、世界中どこでも行きたいと思った場所には(たとえ住所もわからなくても)、必ずたどり着けるということ!!

きっと人生も、そうだ。

やっとたどり着いた、住所も不明なヤシの木で作られた小屋では、メキシコ人たちとの最高に素敵な出逢いが待っていた。

Wifiも無い、スーパーも無い、電気も必要最低限。暑くて虫はたーくさん。
でも、目の前には海が広がり、夜になると満天の星空と多くのウミガメが出現する。


コンビニも売店も無いので、日中はヒッチハイクで隣町まで買い出しに行く。全てがスペイン語で進んでいった日々。言葉がわからなくても、仲良くなるのに時間はそんなにいらなかった。


小さな子どもみたいに一つ一つの単語を覚えていって、毎日毎日実践する。ちんぷんかんぷんの毎日が、どんどんどんどん楽しくなった。

自ら心を開いて気持ちを伝えたら、みんなも心を開いてくれた。気づけばみんなの笑顔の中で、居心地のいい居場所ができていた。愛せば、愛される。

生まれたばかりの小さなウミガメ。民家の明かりに迷わないよう、そして鳥や先住民に食べられないように保護して海へ返していく。


2週間かけてウミガメを保護する予定が、泥棒毒蜘蛛のおかげで4日間で終わった。

またまたお腹を壊し、一夜にして20回以上ヤシの木で作られたドアの壊れたトイレに通いつめていた私にとっては、少し嬉しい出来事であった!

トイレのドアが壊れていたおかげで、夜には下痢をしながら流れ星ホタルも見えた。暇な時間に蚊に刺された数を数えたら、なんと、155カ所という人生最高新記録!激しい下痢は、カモミールティーと売店のおばちゃんが勧めた謎のピンクのタブレットで無事におさまった。



言葉も国も宗教も育った環境も違っても、人として何の違和感もなくみんなと通じ合える事がとってもとっても嬉しかった。とびっきりの笑顔があれば、人と人との国境は一瞬でこえられたワークキャンプの残りの日々は、みんなでメキシコ北部の旅をした。



6月のメキシコは、日が暮れるのが毎日20時頃。明るい音楽を聴きながら、日没後まで陽気なメキシコ人と観光や買い物を楽しんだ。時には100種類以上あるテキーラの助けを借りて、そんな喜びを全力で味わった。


【メキシカンおばちゃんまるーの涙】
ワークキャンプのメンバーの一人に、誰よりもパワフルで大きな声で笑っていたメキシコ人のおばちゃん”まるー”がいた。

50歳の彼女は、25年間寄り添った旦那さんに君のことを愛してはいるけれど、そろそろ自分の夢を一人で追いたいんだ。許してくれ。と、突然離婚を告げられ、泣きながら住んでいた家も家具もすべて売り、気分転換にこのワークキャンプに参加したのだった。


帰る場所がないの」と涙を浮かべるまるーは、ワークキャンプが終わった後、私の旅についてくることになった。


とりあえず決めた目的地は、まるーの故郷のチアパスという街。


———「ねぇまりこ、愛ってこんなにあっけなく

    消えるものなの?」


まるーの切実な疑問が、私の頭の中をぐるぐる回った。

愛って、なんだろう!!!

家族で仲良く暮らす人たち、夫婦で歳をとっても手をつないで笑いあいながら歩いている人たち、日常の何気ない日々に溢れる人と人との絆


私とまるーはそんな
たくさんの人たちを目の前にし
て


「幸せっていいね」「家族っていいね」

「夫婦っていいね」「友達っていいね」

って、毎日語り合った。

メキシコの可愛い街並み
陽気で明るい人々
街中に響く音楽の音色

街から少し離れると広がる大自然
夜行バスでの大移動

マーケットに並ぶ可愛いお土産
タコスからの腹痛と下痢と熱
美味しいフルーツにテキーラ
浜辺で昼間から飲むビール!

そしてまるーの涙と笑顔と・・
宿が振動するほどのイビキ

まるーの疑問も心の傷も

どうにもならなくっても



旅をするたびに

大好きな場所が、大好きな人が

この世界に増えていく喜びを知った。


旅の途中に、まるーのお母さんに会いにも行った。まるーの90歳のお母さん(=おばあちゃん)は小柄でおしゃべりで、とっても愉快だった。


スペイン語が堪能じゃない私にもたくさん話しかけてくれて、いつも最後に「あら、あなたがスペイン語をあまりわからないこと、またすっかり忘れてたわ!笑」で締めくくる。

おばあちゃんは数年前に病気で旦那さんを亡くしていた。子ども達も巣立ち、今は一人で大きな家に住んでいる。


私もこんなところに一人で住んでいるのは、寂しいの!できれば私もあなたの旅についていきたいくらいなの!」と泣きながら伝えてくれた。


日本食を作ったり買い物に行ったり、メキシコのご飯を作ってもらったりテキーラで乾杯したり。
おばあちゃんには1週間ほどお世話になり、まるーとともに次の街へと出発する日が来た。


家に泊めてくれたお礼にと、お手紙とエクアドルで買ったお土産を渡すと、おばあちゃんはつたない英語で
「あなたの気持ちのこもったプレゼントが、本当に嬉しいわ。あなた一人でも、またいつでも遊びに来ていいからね。待っているわ。もう、ここはあなたの家よ。素敵な時間を本当に本当に、ありがとう。」と、涙を流しながら、何度も何度も、伝えてくれた。

ありがとう」と、握ってくれた
おばあちゃんの手は、
とっても優しくて、温かかった。


愛は、消えるもんじゃぁない
いつでも自分の中にあるんだよって
教えてくれたような気がした。


大好きな人と一緒に笑い合える喜び

愛されてるっていう幸せな感覚

愛したいっていう温かい感情



悲しくて切ない気持ちは、
幸せを知っているからこその
感情なんだ。

【どんでん返しの幸せ!】
まるーの人生と共に闘い

まるーのパワフルさに圧倒され

まるーの家族に癒され

まるーから愛の強さと儚さを学び

まるーと共に愛とは何かと悩み

まるーの涙を受け止め

まるーのイビキに耐え・・



まるーに導かれ
て
まるーを導いたメキシコでの旅。


悲しくても嬉しくてもそこに


どんな色をつけるのか
どんな答えを出すのか
どんな未来を選ぶのか
それはいつも自由だった。


そうして自分でみつけた色や答えは
私自身の人生を鮮やかにしていった。


起こる出来事に対しての
自分自身の生きる世界は
自分で創っていけるんだ。


在り方次第で、現実すらも変えられる。


きっとすべての出来事は、
私たちに宝物を教えてくれている。


そこから強さを知るために。
本当のヒカリに気づくために。

まるーのお父さんが眠る
この教会の中のお墓には

小さな可愛らしいお花がたくさんあった。


お別れがいつか必ず来るとわかっていても

それでも人は人を愛すことをやめない。


誰かを愛おしく思う気持ちは
とってもとっても温かかった。

男女間の愛もパートナーシップも
みんなそれぞれカタチは違う。


けれどきっと、どれもが正解で
出逢いも別れも全部が大切なんだ。


その中で人は愛を知り
世界の本当の願いに気づいていく。


まるーの涙も、心の中の葛藤も

苦しさも嬉しさも全部美しかった。




悩みながらも傷つきながらも

誰かを愛そうと、理解しようと
懸命に生きている姿は輝いていた


誰かのことをどこまでも、
大切に想えることが
美しかった。

その美しさを知れたことが、私の宝物になった。


日本の裏側、メキシコでも、
私たち日本人と同じようにみーんな
泣いたり笑ったりをしたりして
それぞれの人生を生きていた!!


目の前で起こること、
きっと全てが愛ゆえに。


この星で生きている私たちは
みんな、愛を学んでいる真っ最中!

まるーの故郷に着き、まるーとの旅がついに終わろうとする頃、とある質問を投げかけた。


離婚っていう今の現実を、もしもまるーが望んで起こしたとしたら、その先にどんな景色を見たかったから?どんなまるーになりたかったからだと思う?


「まるーは、本当の本当は、どうしたい?」


まるーは困惑気味に少し考えると・・


心の底から笑っている自分でいたい。」と、


そして、


最後にもう一度彼に会って、“私は今までもこれからもずっと、あなたのことを愛しているわ”と伝えたい。だってやっぱり私は、彼と一緒に生きていきたいと思うから!そしてその結果、離れることになっても、それが彼の本当の幸せなら、もう後悔しない。
         

と答えた。


それが、この約1か月の旅の中で、
まるーと私が出した答えだった。


“心に素直に向き合うこと。“



愛したかったらその気持ちを
とことん愛し続ければいい!


今度は彼を責めずに、自分の気持ちをちゃんと伝えて、もう一度彼と自分と向き合ってみる。私が次に行くのは、彼がいる街だわ!
         

と、あれだけ毎日泣いていたまるーはついに、
覚悟を決めた。


そして


お互いの人生が

とびっきりの愛で溢れますように!“


と、幸せを願い合い、大きなハグをして


1か月間共に旅をしたまるーとついに別れた。



私はまた一人旅へと戻り

街に流れる陽気な音楽を耳にしながら

次の目的地へと向かった。




そして・・・




———半年後———





まりこと別れたあのあと、ちゃんと自分の気持ちを伝えに行ったわ!それでね、また話し合って、何と!!!復縁できたの!!!また一緒に暮らしていて、もう本当に、今までで一番幸せな日々を過ごしているわ。あの悲しい出来事があったから、今、こんな幸せを感じられているんだと思うわ。あの時ずっと一緒にいてくれて本当にありがとう!勇気を出して話しに行って、本当に本当によかった!!!」

と、メキシコにいるまるーからの嬉しすぎる報告があった。


まるーのあの時の悲しみは

こんなとびっきりの幸せに

つながっていたんだ!!!!




まるーの悲しみは、

宝物になったんだね。


まるーが離婚しなかったら
まるーと一緒に旅することも
おばあちゃんと出逢うことも
なかったかもしれない。


そして、こうやって喜びを
分かち合うこともなかった。


離婚してくれたまるーにも
覚悟を決めて復縁したまるーにも
心からのありがとうを伝えたい!!


涙は人を、優しくする。


奇跡は自分の手で
起こすものなんだ。


メキシコのカリブ海近くセノーテでは
久しぶりの一人旅に朝から
バナナとりんごをかじりながら
チャリとワゴン車で大冒険!!!


暑さも日差しもジリジリで、
全身が真っ黒焦げ。


セノーテの水の中は青々としていて、
そこに太陽の光が差し込んで、
水中から見る光のカーテンが幻想的。


海の中では想定100歳くらいのカメが
優雅に草を食べて泳いでいた。


昼間からビールを飲み
カリブ海を眺めながら
ビーチでパラソルの下に寝転んで
贅沢な時間を過ごしてみたり。


真夏のメキシコは、
シャワーが冷たくても気持ちがよくて
太陽の光で街がキラキラ、光っていた。

旅は面白い。

旅をしながら過ごす日々はまるで、

人生が何年もぎゅっと凝縮されたように

心から”生きている”って
実感できるような
日々だから。




いつもよりもっと、素直で本音で
ありのままの自分に
気づきやすくなる。



ひょんな出逢いがきっかけで、
忘れてかけていた感情だって

見ないようにしていた感情だって、
たくさんの感情が
知らぬ間に
思いっきり出てくるんだ。




それが、どんどん人生を豊かにしていく


旅を通して人生の中に
ありがとう”が増えていく、
自分の毎日が大好きになっていく
そんな幸せを心からかみしめた。




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第4話 地図も時計もいらない理由*グアテマラ【旅歴4年、世界2周半。天国に行った子ども達がくれた人生の宝物*闇と光の正体】

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