オトコに貢ぐ男 第1章

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 この頃の僕といえば、お金を貯めることが趣味で、

 毎朝、新聞配達のアルバイトをして学校へ通っていた。

 

 幸い高校生活は、死にたくなるほどの虐めはなく、無事に卒業することができ、

 車の免許も取得して小さな会社ではあったが、就職も決まった。

 

 貯金もそこそこ貯まり、念願の車(ファミリア)も購入し、静かで穏やかな日々を過ごしていた。

 僕は愛車のファミリアに乗ってドライブすることが楽しみで、

 どんなに遠くても色々な場所へ行き、一人思い出作りに励んでいた。

 

 新車で買って一年ちょっとで9万㎞。

 僕の半端じゃないドライブ好きは、判ってもらえただろうか・・・


       ・・・それから月日は流れ・・・


   目覚め


 僕は現在、借金だらけの日々を過ごしている。

 貯金が趣味なこの僕が・・なぜ?

 そう思うかもしれない。


 こんな風に変わってしまったのは、僕の趣味が違う方向へ変わってしまったせいである。

 貯金好きから・・何故か男好きになってしまったのだ・・・

 

 そう、僕はゲイ能人になってしまった。

 その借金もすべて男に貢ぐためのもの・・

 僕の借金は軽く1000万円を超えてしまった。

 軽い口調で答えているがそれが、大問題なのであることを後々気づいていく、バカな自分に呆れてしまう。


 こんなことになってしまった事の発端は、ある女性からの紹介で幕が上がる。


                    その名は、よしこちゃん。




 そもそも、よしこちゃんというのは僕のたった一人の友人であり・・

 女の子なんだけど、強くて男前で僕にとっては親方みたいな存在だった。


 よしこちゃんとの出会いは・・・

 僕が働いている会社にちょっと可愛いアルバイトの女の子がいて。

 その子がこっそりタイムカードをごまかしている所を、僕がたまたま発見してしまったのだが、

 上司には報告せず見逃してあげた。


 そのお礼に紹介してくれたのが、よしこちゃんなのだ。

 お礼に、人を紹介するというのも不思議な話である。


 よしこちゃんとは家も近所で、話も弾みすぐに仲良くなった。

 よしこちゃんに関しては恋愛感情はなく同士みたいな・・・

 どちらかというとジャイアンタイプだから、僕はパシりのスネ夫役。


 いつも僕は、よしこちゃんの傍をくっついてまわり、とても頼りにしていた。


 よしこちゃんは、友達のいない僕に同情して、いつも自分の友人を僕に紹介してくれていたが、

 僕は顔も悪いが性格も悪く、よしこちゃん以外の友達はみんな僕から離れていってしまう有り様で・・・

 女の子じゃうまくいかないからと今回は、初めて男友達を紹介してもらう・・筋書きなのだ。


 僕がまだ男に目覚めていない、20歳の春。

 よしこちゃんが、とある居酒屋へ僕を連れて行ってくれた。

 その居酒屋で待っていた男性は、色白で切れ長な目、スレンダーな体・・・

 僕とは、全く正反対のルックスに恋をしてしまった!!!


 もちろん僕が、始めから男に興味がなかったというのは嘘になる。

 でも、こんなに胸がときめいたのは初めてだ。 


 ヒデキ「初めまして 斉藤ヒデキです。よろしく!!」みたいな・・・

 相手に僕の気持ちが悟られないよう必死で振る舞って見せた。


    彼の名前は 山下裕士

  

 裕士は笑うと、とてもチャーミングで・・そう!! 

 芸能人でいうなら、≪椎名桔平と杉良太郎≫をで割ってで足したような・・

 とにかく昭和を代表するいい男なのだ。


 ヒデキ「ねぇー裕士君、彼女いないの?」

 

 裕士「いやー女には興味がないもんで…」

                    なんか意味深な答えだった。僕の中でフツフツと・・・・


『 いやっ!! ムズムズと眠っていた気持ちが呼び覚まされた! 裕士が欲しい!! 』

 どんなことがあっても彼氏にしたい!!!

 僕は、裕士に恋したことをよしこちゃんに相談した。

 

 よしこ「はっ?ひーちゃん、もしかして・・・ホモ?」

 よしこちゃんだから言ってしまえ!

 

 ヒデキ「う・・うん」勇気を出して言ってみた。

 

 よしこ「ふーん。別にいいんじゃない。恋愛は自由だし。ひーちゃんの気持ちは分かった。」


 さすがは、よしこちゃん!
 誰が聞いても気持ちの悪い僕の告白に全く動じない!

 親方みたいな男っぷりに感動した。

 しかし・・・これからが僕の史上最強最悪人生に足を踏み入れた一歩だとは、まさか考えもしなかったのだ。

 

 

   初キッスは300万


 裕士から僕に連絡があったのは、衝撃的な出会いから二週間後のことだった。

 

 裕士「よしこちゃんから話、聞いたよ!実は僕もヒデキくん、小さくて丸っこくて、

                                かわいいなぁーなんて思ってたんだ」


 僕は、信じられなかった。 《あんなにかっこいいのに!嘘でしょう!?》

 

 それから…ラッキーな事に、僕は裕士と付き合うことになった。

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