オトコに貢ぐ男 第1章

4 / 8 ページ


 意を決した僕は、

 ヒデキ「あのさぁ・・・剛そろそろ仕事しないと、僕にはもうお金ないけど」


 剛「そうか・・・今まで、金出してもらってごめんなっ」

 

 意外な言葉だった。

 僕がお金を作って持ってくる・・・

 それが剛にとっては、当たり前の生活になっていたから、

 怒鳴られることを覚悟で切り出してみた返事が優しい言葉だったからだ。


 話してみるもんだ、ちょっぴりホッとした。

 

   

 


 そう言って家を出て行ったきり、二度と僕の前に現れることはなかった。



 彼を必死で探したが、住んでいたアパートはだいぶん前に引き払っており、

 裕士の時と同じように剛の消息もぷっつりと、途絶えてしまった。

 僕は、剛の素性を何も知らなかったことに、今更ながら気付いたのである。


 でも、一度目覚めてしまった僕の体は、もう誰にも止められない!


 三人目のヨーヘイ、四人目の松本くん・・


 色んな男に騙され続け、借金はどんどん膨れ上がって800万にも達していた。

 とりあえず、僕の大切な愛車を売ることにしたのだが、

 なんせ走行距離が12万キロを超えていて、大した金額にはならず、

 自分ではどうしていいかわからなくなって、よしこちゃんに相談してみることにした。

 

 よしこ「だから、ゆったでしょ!もう男に貢ぐのは、やめなって」


 ひでき「・・・・・・」


 よしこ「あんたに800万なんて大金払える訳ないし、自己破産するしかないでしょ!」


 しかし、よしこちゃんも簡単に言うけど、

 自己破産するには弁護士料30万程かかかることを、前に聞いたことがある。

 そんなお金、今の僕にとっては非常に難しく・・

 男以外のことで無駄なお金は使いたくないというのが僕の本音であって・・・


 常に男のためだけに、大金をペラペラと使っていた僕の金銭感覚は完全に麻痺していた。

 とりあえず、借金のことや自己破産したいと思っている自分の意思を母に話してみると、

 母は訳を何も聞かず、すんなり納得してくれ、すぐに知人、親戚に連絡を取ってくれた。

 けっこう簡単に30万貸してもらえることになったが、現金を手にした瞬間・・


 そのお金を自己破産の費用には使わず、またしても別の男に貢いでしまったのだ。

 おまけに、車を売ってしまった為、移動手段が困難なことに気づき、一万円で安い原付バイクを購入した。


 寒い冬で、かなりオンボロではあったが、けっこう乗心地はいい!


 バイクもなかなかである。調子に乗って乗り回していた時


    《ドーーーーン!!》


 その瞬間、僕は宙に浮いていた。

 地面に思いっきり叩き付けられ、意識が朦朧としている僕に、誰か話しかけている。

 

     「大丈夫ですか?」

 

 いったい何が起きたんだ・・・事故・・

 運転を誤った車が、僕のバイクに突っ込んできたらしい。

 バイクはグチャグチャ、見る影もなかった。そうなると僕の体は?

 

 寒がりな僕の服装が、随時上10枚、下6枚と普通の人が考えられないくらいの、狂ったような厚着。

 無論、無傷ではあった。(多少、打ち身は残ったが)

著者の釈迦堂とんこさんに人生相談を申込む

著者の釈迦堂とんこさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。