ほんとの幸せってなんだろう。part1


「自分が幸せじゃないと

 他人を幸せにはできないんですよ」


数年前、僕はある俳優さんに

インタビューをしていた。


テレビや映画に出まくっていて

その演技力も素晴らしい。


まさに絶頂期にいた彼の話を聞ける

そんな自分に酔っていた。


その瞬間、

彼の言葉が僕の目を覚ました。



「坂本さんは、幸せですか?」




***********




僕はいわゆる「優等生」だった。


テストの成績はいつも一番。

1学期には必ず学級委員。

高校では生徒会長もやった。


大学でジャーナリズムを学び

NHKで報道のディレクター。


給料もいい。

待遇も抜群。

おかげで美人の奥さんもいた。




でも。




彼の問いに素直に

「はい、幸せです」と

答えることができなかった。




家に帰ってから僕は

自問自答した。


「俺って幸せなのかな?」


「当たり前じゃないか。

 こんなにいい待遇で

 仕事にも家庭にも恵まれて

 不満があるわけないだろう」


その声は

心からではなく

頭から響いてきた。


その通りだ。


僕はずっと幸せに

生きてきたはずだ。


人から賞賛され羨ましがられ

両親だってそんな僕を誇りに

思っているに違いない。


なのになぜだろう、

心は疼いていた。



お金、安定、有名企業、美人妻、

権威、信用、


なぜ人が羨むようなものを

全部手に入れてるのに

こんなに苦しいんだろう。


正直、意味がわからなかった。


こんなにモヤモヤしているのに

幸せっていえるのか?



「隣の芝生は青い」

という言葉があるように

人は必要以上に他人のことを

いいように思いがちだ。


それに伴って自分を他人と比較して

自己評価を下げてしまう。


僕もそういう性格だった。

報道の仕事に携わる者の宿命だが

いつ呼び出されるかわからない

気の休まらない毎日。



過当な出世競争には嫌気がさしつつも

仕事ができる自分が出世できないのは

イヤだと思い飲めないのに酒宴につきあう。


家に帰れば妻子はいても

コミュニケーションはなく

ラップにかけられたご飯を

自分で温めて食べる毎日。


どんなに稼いでいても小遣い制で

高校の時と変わらない気分で滅入っても

家族のためなら仕方ないのかなと

ため息をつくばかりの毎日。



「他の人から見たら

 俺の芝生は青いんだろうけど

 実際けっこう枯れてるよな・・・


そう思った時

きょうインタビューした

彼の顔が浮かんだ。


「彼の芝生は、さすがに青いよなw」



驚いたことにその後彼は

長年の夢だったという

歌舞伎役者に挑戦すると発表した。


会見での彼の顔は

厳しい道に進む者の覚悟とともに

本来の自分が進みたかった道に

ようやく進めるという喜びも見えた。



僕は衝撃を受けた。


あんなに順風満帆で

仕事もいっぱいこなしてた彼が

こんな決断をするなんて。


このまま役者をやってれば

いっぱい稼げたのにすげえなあ。


そう思った瞬間

僕の中であの質問が蘇った。



「自分が幸せじゃないと

 他人を幸せにはできないんですよ」




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