はじまりの、おわり(1)


働きはじめて一年が経ち
辞めたいと言って、引き止められてから、も

もうすぐ1年だ。


いびられる事もなくなり

後から入ってきた人達と仲良くなり

入ってきた人が、何人か残ってくれていた



売り場に立つと、

あなたがいる日だけ、買うのよ
と言い、寄ってくれるお客様や、

離乳食を食べなくて悩んでいる若いママが

うちは、こうしたら食べたよ、などの
ちょっとした雑談を、楽しみに通ってくれたり

お客様の好みを覚えて、
オーダーを聞く前に
“いつもの”でいいですか?と

最速のスピードで買い物が出来ることを
館内従業員さんに感動されたり

何よりも、仕事は楽しくて

接客、販売は、大好きだった



でも、このままで
スーパーの、売り場の店員さんで
パートで、いつまでも楽しいなんて


わたしの人生の目的とは違う気がする


じゃあ、目的って何?


営業、法務、社会労務、、

それなりに、会社での経験とキャリアはあるけど

じゃあ、それを突き詰めて仕事にしたいか?

と問えば、答えはNOだ



子供がいて、糖尿病の夫がいて

育ち盛りプラス、栄養管理を考えて 
毎日、食べきれないよと言われるくらい

品数を豊富に、たくさんの

まごわやさしい

を、網羅して食べられるように

食事を作ることが日課だったから

これが、得意分野なのかも。


と、思い、なんとなく

資格がなければ40代からの就職はキツい

という不安にかられ

資格を取ろうと、思い立つ。



だけど、何をするにも初期費用がかかり
まとまったお金を出して欲しいと、
夫に言えないまま



彼とも、微妙な距離のまま

もうここ、辞めよう。と思った。



いつまでも、顔見てたら

忘れるにも、忘れない

どうしても、目で探してしまう

視界に入ると心臓が飛び上がってしまう
いちいち、嬉しくて
悲しいくらいに、ドキドキしてしまう
 

あの時引き止めてもらってから
結局、一年頑張ったよ。
もう、いいよね
後から入った人も、残ってるし
わたしは、自分の人生を
自分の足で、生きなきゃ


と、退職の意思をメッセージで送った



先の事考えて、なら
仕方ないね、、
背中押してあげなきゃいけないよね、、

と、歯切れが悪い返信が来て


そこからまた、ズルズルと、、

夜中にメッセージを送り合う

やり取りがまた、ポツポツ、再開



少しだけ、冷却期間を置いたつもりで
冷静になろうとしてみたって

好きなものは好きで

冷めないものは冷めなくて

はじめて恋をした娘のように

返事の来ることがただただ、うれしくて

そこを、認めて、折れた

わたしが、わたしに。


もう、苦しい、止めたい、なんて
思うのやめよう


そう開き直って

彼にも、
自分に正直になるわ、とだけ
伝えたら



めちゃくちゃ可愛いよ
素直で嬉しい



と、、!!

携帯を抱えて

叫びたくなるのを必死でこらえて
胸をおさえてうずくまった

嬉しくて、嬉しくて
嬉しすぎて。

そして彼から
ショートメッセージは、文字数の制限が
面倒だから

iMessageにする?
と、

嬉しすぎる提案!!


実はそれ以前にも何度も

ショートメッセージはめんどくさい
出来れば、別の何か
LINEとかメールでもいいし、

教えて欲しい、ダメかな


と聞いていたのに

スルッとかわされ

プライベートの携帯の番号は
教えてもらえていなかった
(やり取りしていたのは
仕事用に使っている、ガラケー)



やった!やった!!
ついに個人携帯までたどり着いた!!


霧が晴れたように

一気に視界が晴れて


しかも、写真を送れるようになったから

ちょっとした、日常の中での
面白い写真とか
風景の写真とか、送り合うようになり

わたしも、

明日私休みだけど
会いたいからお店に買い物に行くね、

なんて、言うようになり


エロい話も

ノリに乗ってみたり

はしゃいだり、はぐらかしたり


そんな事をしていたらもう

エネルギー的には完全に

妄想を超えて、交わっているのと同じような

お互いの体の感覚まで知ってるような
性感帯、どこが好きなのか知ってるような
現実と妄想の境い目がなくなるような
実際、抱き合ったことがあったっけ?
と、ちょっと考えてしまうような、、


不思議な感覚が、起こり始めていた

この頃、わたしは
いつ、彼に求められても
何が起きても、怯まないように

自分の体が、
今からでも、快感を得ることが出来るのか

色々調べたり、

あらゆるサイトを覗いては

不感症克服、イクってなに
男を捕らえて離さない体になる、
などなど、、


暇さえあれば
そんな事ばかり

まるで、盛り始めた中学生のように

ずっと考えて
ずっと妄想していた

そんなタイミングで突然、

いま、エロいサイト見てるだろう

と、どこかで見てるのか?
家の中でキョロキョロ見回したり


いま、俺のこと妄想してるな

と、妄想にふけっている、

まさに、のタイミングでメッセージが来たり

どうして分かるのか、と
首をかしげることが、増えた


自分で体を触っても 何も気持ち良くならない


それならば、
トレーニングをしないと。と

アダルトグッズのサイトを覗いて

何週間も逡巡しながら

ついに、グッズを購入してみた


子供も夫も義父もいる家の中で 
使うタイミングは、なかなかこなくても


性に意欲を示すのは

はしたない事で恥ずかしいこと

自分から快感を掴みに行くなんて

性欲過多な人のやることだ。という

どこからか、根深く抱えてきた

自分のなかのタブーを超えて


買ってみた!手にしてみた!


彼のために、私のために 
感じる身体になりたい!!

と、

冗談のような本気で。

体の感覚を取り戻す、努力をはじめていた。

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