沈みゆくなかで(2)


家を飛び出す夫を

止められなかった私は

急いで彼に連絡をし

こういう事で、夫にメールが見られ

あなたの裸の写真を持って

会社に押しかけるか

店に殺しに行くと言って

夫が出ていくのを止められなかった

命の危険もあるかもしれない

本当にごめんなさい

とにかく気をつけて欲しい、と。

言い逃れも出来ず
正直に名前を白状したこと

本当に申し訳なく
自分がどんなに、要領が悪くて
機転の利かないダメ人間なのだろうと

いじけたところで
何も好転する訳でもなく

ごめんなさいと謝るだけ


もういい、謝らないで、と
素っ気なさは
動揺なのか。私への失望なのか
その、どちらも、なのか


その後は仕事をしながら

いつ、夫が現れるか
気が気でなかっただろう

せめてもの救いは
彼も夫の顔を知っていること
家族で買い物に行った時に
顔を見た事があったから

夫の姿を見たら
即座に反応できるだろうと、、

私の胸の奥にはこの時、

意外と動じてなさそうな、彼の言葉に

少し、救いのような
少し、夢のような

気持ちを持っていた

もしかしたら、、

夫と対峙し、堂々と
いつものように飄々と
なんでもない事のような顔をして

好きでしたけど、ただそれだけです
何もしてません、
とか

本気で大切に思う人なので
奥さんと別れてくださいとか

サラッと言うくらいの、人なんじゃないかと

期待のような気持ちがあった

大して、動じていないかも
むしろ、これ幸いと、受けて立つかも、と

淡く思い描く、どこまでもむしのよい
期待するストーリー


そのまま

為す術もないわたしは

ただ時の過ぎるのを待つしかなく

2階へ続く階段に
ずっと座り込んでいた
ここは。風がよく抜けて
とても気持ちの良い
私の唯一くつろげる場所だった

家の中の、階段


しばらくして、夫から着信があり

出ると、電話の向こうで
二人の話す声が聞こえる

わざわざ、私に聞かせるために
質問を選んだところで電話を鳴らし

私が聞くとわかっていて
わざわざ私に聞かせた、彼の答え


「、、全然、本気ではありません。

責任を取るつもりも、付き合うつもりも
まったく、何も考えていません。

そこまでの仲でも、相手でもなくて
本当に、一度もふたりで会っていないし
会うつもりもなかったし、

ただ、話してて楽しい、くらいの、、」


その言葉の真偽など
問うまでもなく

そこに並ぶ言葉には

私への想い、ではなく

自分を守る彼の言葉



ははは、、


夢も、期待も。
ちゃんちゃらおかしい、、


当たり前だ。私のことなんか
ただの、話し相手、エロトークに乗っかって

楽しそうにしてたから

相手してやっただけの

暇そうな、人妻に、過ぎないんだ



ははは、、、
乾いた笑いとともに
体から力が抜けていき

ぺしゃんこになった

そうか、、そうかぁ、、、

わかってはいたけど、
こうもはっきり聞くと

つらいなぁ、、
さみしい、、
耐えられない、、

聞きたくなかった、、



泣く気持ちにもならない
ただ、本当にぺしゃんこで
声を出す気力もない


突然プツリと切られた電話の向こうで

まだ、二人が話してるなら

その先を聞きたい


夫の電話を鳴らしても出ないので
彼の電話を鳴らして、夫に代わってもらう

お前は口はさむな!男同士の話だ!
怒ってはいるが
だいぶ落ち着いている夫の声

あ、山場は越えたんだなと
少し安堵していた


あ、お前のことなんてな
何とも思ってないって
婚約者もいるし

俺が会社辞めますとか言ってるけど、
と、夫から聞く


婚約者がいることは知ってるよ
本気じゃないことも
さっき聞いてたから

会社は、辞めないで
パートの私が辞めれば済むことだから

と口を挟むと

こいつを庇うな!!と怒鳴られる

電話は切られ

そのまま繋がらなくなり

帰宅を待つしかなくなった、、



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