沈みゆくなかで(6)


7月いっぱい、入っていたシフトをこなし
辞める、予定でいた


でも何故か

お前が辞めるのは負けみたいで悔しいから

籍だけ残してもらったら

しばらく休職という形で、と


真意をはかりかねる、その意見を

そのまま、鵜呑みにし


資格試験の勉強に専念するため
しばらく休職する、とそのまま彼にも伝え

3ヵ月ほど、休むという申し出を
通してもらった。



8月は、恒例の関西の夫の実家への帰省
それに合わせて家族旅行

いつもなら、家族に振り回され
私は疲れるだけの旅行も
今回は、夫がすべて気を回し
子供も妻も楽しめるように
最大限に意見を聞き
やりたいようにやらせてくれて

子供たちも、初めて見るような
夫の、柔らかい父親像に

特に長男は、私と同じように

これ、、信じていいのかな?
ずっとこの、
優しいお父さん でいてくれるのかな、、


なんでこんなに優しくなったのか
いつまでこれが続くのか、終わるのか
本当に仲良くなったように 
優しくなったように見えるけど

母ちゃんはそれが幸せなのか、嬉しいのか

毎日何度も質問を変え、私に聞き


この子も、信じたかったのだろう

いつかパチンと消える、夢ではないように、、


夫が本当に、優しくて
イライラしたり、拗ねて暴言を吐いたり
大きな声を出したり、
強制、抑圧、ジャッジ、許可、のない

自由に、好きなことを言い

笑い合える空気


本当に、楽しい初めての

家族らしい、家族旅行だった

この年の夏休みは
いつもより多めに取り

とにかく、お前とずっと
くっついていたい、と

寝ても覚めても私の体に触れ

さすがに、毎日のSE  Xは
体がキツくて疲れる時もあり

夫が先に寝落ちした日は

今日は、しなくていいんだな、と

安堵するような日々

毎日するも、しないも、夫次第

したいと言えば、断らず
眠いと言えば、しなくて済む

私の意思などそこにはなくて

だって、断っちゃいけないんだから

私の意思なんて関係ないよね

ましてや、自発的に

今日は、したいの、なんて
私から思うような、溢れるエネルギーは

ないよね

と、

8月半ばを過ぎる頃には

道具を使ってでも、快感を得なければならない
ガツガツ、ハードでしかないS   EXに

飽きて、膿んで、白けた気持ち



どーせ、やるんだから。

私の気持ちなんて関係なく。



この、やさぐれた気持ちは
私の態度の端々に現れはじめ

日中でも、隙あらばじっとり
舐めまわすように眺められる事を

疎ましく思い、冷たい目線で避けてしまう

そしてその、一瞬の目つきが
冷たくてこわい、やめてくれ、と

目つきの端にまで気を回す



その一瞬一瞬、抑えたつもりでも
はみ出してしまうもの、が


ある日、突然

何かのスイッチに触れたかのように



何が起こったのかわからないくらいの

ものすごい早さで


オセロをひっくり返したみたいに


白が、黒に

昨日まであった、私の自由が尊重される

あの、空気が

一気に反転し、パチンと消えた。





突然豹変し、つい数ヶ月前まで見ていた

あの、夫が戻ってきた時


あまりのショックと、


悲しみ


悔しさ


そして、


猛烈な、獰猛な、激しすぎるほどの


怒り




なぜ?突然戻ってきたの?!

何があって、

さっきまでの

美しい夫婦像が、消えたの



拗ねた態度は二度と取らない

機嫌損ねてむくれて

暴言吐くのは、二度とやらない

命にかけて、誓う、と

私と長男の前で、生まれ変わったと

深く頭を下げ、謝り、宣言し


あんなに、寛大で包容力のある姿は

あれは、どこへ行ったの?!?!

なんで?!

なんで?!

なんでまた、簡単に

戻ったの?!?!



私と、長男への

侮蔑と裏切りだと思った

腹の底から、この豹変が憎く

悔しさと怒りで

コンビニに停めた車の中

運転席で、叫んだ


怒りのあまり吐きそうだ


体が震えて

目玉がひっくり返りそうで

呼吸も苦しくて

まともに座ってもいられない


泣くことも出来ず


ただただ、怒りに震え

夫を引っ掴み、殴り

怒鳴り合い罵り合う

ふざけんな!馬鹿にすんな!!
私を何だと思ってるんだ!!!





なんなの、なんでなの、



信じて、寄りかかったのに



全身の力を抜いて緩みきったところで


突然ガタンと椅子を引くような


信じた私が馬鹿だったのか


、、、

彼とのことがバレた日から

ちょうど2ヶ月

あぁ、、まるっと2ヶ月だ、、


なーんだ、やっぱり

2ヶ月、なんだ、、、


毎年の、夫の、ターボがかかったような

躁状態は、

ほぼ、2ヶ月

夏の盛に

全能感いっぱいに、

異常なエネルギーが溢れかえり


そしてパタリと、

こと切れるように

そのあと迎える秋と、冬は



反動のように


深く深く泥のように沈み

全能感の裏側の

虚無感の中で


ものすごいどろりとした

重たいエネルギーを撒き散らすのが

常だった



もう、こういう風に

人を信じてはいけないんだ

信じて力を緩めては、いけなかったんだ


いっその事信じなければ  

よかったのに



彼を失った虚無感を

一時的に、夫との愛の再建に

目線を変えて

気づかないようにしていたもの、



わたしはぺしゃんこで、空っぽで



何かにすがっていなければ

何もする気力がなかったこと



夫の豹変(元通りの姿)をみて


わたし自身が、その事にきづいた



生きるために必要な発動する元になるもの


私の気分を、上げてくれるもの

何かにときめいたり

嬉しくなったり

したい、と思える、なにか


それが、本当に

何もないことに

目を逸らしても、逃げられないのだと



こんな時にようやく、気づいたのだった


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