生きるために、手放す(6)


感情を、感じること

こうする べき を
小さな事から、やめてみること

これを意識し出してから、

嫌だ、と思うことへ
エネルギーを使うことが
だんだん、出来なくなってきた

今日は習い事、送るの
疲れてるから行きたくない

ただの、ワガママ
私の身勝手だ
私が送らなければ、行けないのだ

でも、
今行きたくない、と思うと
動けず

今日、送るのしんどいから
休んで他の日に振り替えよう、と
子供に提案してみる

どうしても、今日じゃなくていいのだから
いま、行きたくない、を優先してみる

こんな事、絶対ダメだと
決められた日に決められたことを
やらなきゃいけないの!と
子供の休みたい日にも
無理やり、通わせていたのに

私の都合で、休ませる

そして、家でゆっくり過ごせたら
とても楽になり、気持ちに余裕が出来る

自分の中の常識を、
非常識で、超える

これは本当に、地道な訓練だった


そして、夫にも。

やらせろ、と言われて
リビングに、わざわざ、
自分の足を使って、降りることが
出来なくなった

降りてこない私に 腹を立て
また、拗ね始めた夫

物を投げつけ、ガタガタし出すのを見ていて


今日は、話さなければいけない、

と、突然思った日が、あった

そこで、私が突然立ち上がり

しっかり、夫の目を見て

ちょっと、ちゃんと話そう。と


突然、久しぶりに正面切って切り出され
断わる間がなかったのか、
すんなり、大人しく、階段を降りる


前を降りていく、夫の背中を見ていて

その時、ふと、
すーっと、夫の中に意識が吸い込まれ

小さい、3歳くらいの男の子が、
居るのが見えた


体は大きいけど
3歳の、小さい男の子に見える、50代の男性

その背中に、ぎゅっと胸が締め付けられ
ふいに夫の背中に手を当て、さすった


そして、そのまましばらく手を当てていたら
夫がとても、落ち着いて、
穏やかになっていくのを、 
空気で、手のひらから伝わるエネルギーで
感じた



久しぶりに、ソファに隣り合わせにすわり

しっかり、夫をみて、何か話そうと思った

すると、夫の方から、


おれは、ただ、
お前の笑顔が、見たいだけなんだ
お前が、前みたいに
俺を見て、笑ってくれるのが、見たい


それなのに、

その、お前の笑顔を

あいつが奪ったんだ、、、!!


と、また始まりそうになる、
いつもの、それを聞いていて

私の胸に、思いがこみ上げる



あのね、聞いて。

夫の背中に手を当て、ひざに手を置き
ゆっくり、自分の言葉を、話す


あのね、わたしいま、わかったの
私たちは、いつも、

あの時の、お前
あの時の、あなた

が、良かったのに!と、

今ここにいない、相手を見ているんだよ
ここじゃない、過去の、
あの時の、私、あの時の、あなたに
戻ってよ!
もう一度、あれを見せてよ!って

私も、そうだった
私を口説いた時の、あなた
精いっぱい優しくしてくれて
いつまでも、話を聞いてくれて
前は、そうだったのに!
なんで今は、そうじゃないの!って

あなたの言う、
あいつのせいで、、!!は、
私からしたら、


何言ってるの?!
あいつ、が登場するずっと前から
私の笑顔は、消えていたよ
私が、笑ってないこと、
気づいてなかったの?!

あいつ、のせいじゃなくて

私が笑わなくなったのは、
あなたが、私をないがしろにして
ちょっと、話そうと、喋り出すと
すぐ、寝たふりして
めんどくさいって顔をして
それなのに、
やりたい、触らせろって、

わたしは、、

何度も、夫が口を挟みそうになり
いつものように、大きな声で
かぶせるように、私の言葉を遮り
自分の論点に、すり替えようとするのを

何度も、手で、止める


泣きながら、

お願い、聞いて
ちゃんと、言わせて

わたしの言葉を、さえぎらないで

ぜんぶ、ちゃんと聞いて

何度も、何度も
止められそうになりながら

わたしがどれだけ、 
体以前にまず、言葉を、話を
受け止めて欲しかったのか、
最初から聞かない人ではなかったのに、
聞いてくれなくなった事を、怒っていて

拗ねて、恨んで

どんどん卑屈になっていったこと

こんなに、寂しいのに
体を触られ、終わると捨てるように
会話もなく、寝られることは

いちばん、辛くて
もう、あなたの前で笑うことも
嫌になったこと、


でも、
私も、過去のあなたばかり、求めていて
あんなに優しかったのに
あんなに聞いてくれたのに、って

責めることで、自分を守っていたと

いま、あなたと話してて
気づいたんだ

今の、あなたを

見てなくて、ごめんね

今ここにいるあなたじゃない
過去にここにいた、あなたの
幻ばっかり、求めていて

今ここの、わたしたちから

お互いに、目をそらして

そうじゃない。そうじゃない、って 
責めてごめんね


泣きじゃくり、何が言いたいのか
結論は出なくても

わたしたちは、
お互い、同じように
いま、この目の前にいる相手を否定して

違う人になれと、求めていたのだと
そうして相手を傷つけていたのだと

わかったのだ


泣きじゃくる、私を
よしよし、と抱きしめる夫

久しぶりに、よしよしと撫でられ



もしかしたら、、

ここから、ふたりで歩調を合わせて、、

道のりは遠いけど、

幻じゃない、今ここの、目の前にいる相手が

何を感じ、どう、生きている

それを、受け入れる事が、できるのか、、



そう、深く話そうと、

夫の胸で、呼吸を整えていたら、



ふいっと、私の体を離し
笑顔で、



話し、終わった?

まぁ、お前、しゃーないよ

更年期だし



と、突然顔を近づけ
唇に、キ ス をする

唇を押し付け、そのまま鼻息荒く

胸をまさぐり、服を脱がせ

私をソファに押し倒す




、、、


もう、叫ばない。


雄叫びは、あげない。



やっぱり、もう終わりなんだ。





更年期、という

思いがけない一言で

あっけなく幕を降ろされた

この状況に


ただ、冷静に、冷徹に

感情は停止しながら


私の上で腰を振り
勝手によがっている、夫を

もう、侮蔑も憎しみもなく

まったく違う星に住む
意思の疎通のできない

異星人を見ている、と



感情のこもらない、無のわたしと
じっと目を合わせたまま、
果てる 夫


目の前で体はひとつに合体しても

こんなに遠いという現実を見た





怒りも、憎しみも、湧かなかった

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