愛の中にあるということ(1)

富士山が見たい

目的地を調べて路線検索したときに
そうだ、富士山の近くに行こう、と思った

電車に飛び乗り、暮れてゆく景色を眺め

ノートも、本も、手に取らず

ただただ、ぼんやり外を見ていた


無事に目的地についた時
せっかく調べたホテルの名前を忘れていた

携帯電話もないので、人に聞くしかなく
駅員さんに聞いてみる
売店の人に聞いてみる
レンタカー屋で聞いてみる

たった一つの、アイテム
携帯電話を手放しただけで
自己完結できない、1人では何も出来ない
困ったら聞きに行き、調べてもらい
ありがとう、と言う

なんていう、のどかさなんだろう


無事にホテルに着き、荷物をおろし
飲み物を買いに行こうと、コンビニへ行く

ホテルからの道、何軒かの居酒屋を通り過ぎ

そこに、入っていく、
肩を並べる恋人たちを見ていて

あぁ、私も彼と、あんな風にしたいんだ、、

と、そして

あ、わたし、もう離婚するんだから
そういうこと、望んでもいいんじゃないの


と、突然湧いたアイデアに、ワクワクする

そうだ、彼に電話してみよう、と。

以前夫にバレた時、
電話番号は消去されていたけど、
仕事用の、連絡に使っていたガラケーの番号が
会社名を入れて登録していたので、
気付かれず、削除されず残っていた

いつも首から下げている、
胸ポケットにいる、ガラケー

公衆電話を探し、駅まで戻り
自動販売機で小銭を崩し
電話をかけてみる。

ドキドキして、
服の上からも心臓が飛び出すのが見えて、
すごいな、と笑う。

そんなにドキドキして、鳴らしたけれど
彼は電話には、出なかった。


忙しかったということもあるかなと
その後、コンビニの前からもかけてみた

けれど、その日は出なかった。


ホテルに戻り、ようやく温泉に行く

お風呂で
洗い場で隣合った親子が、
男の子がちょうど下の子と同じくらいの歳で
ふっと、家の様子が気になる。

今頃、どうしてるかな、、、

考えても仕方ない
もう、引き返せない事を、したのだから

不意にこみあげそうになりながら

身体を洗う

そして、 膣を洗おうとして、驚く
それまで、同じように洗っていたけれど
こんなもんだろう、としか思わなかった、 

冷たくて、痩せた感じの
萎縮したような、ものだったのが、
初めての感触
あたたかく、潤って
ふっくらと、指を押し返すような
艶のある弾力という感じ

本当に思わず、
え??
と声を出してしまうくらい、びっくりする

まるで違う感触に

次の瞬間、感動したように涙がこみあげ

洗いながら、泣いた


これで、よかったよ
よくやったね!がんばった!
わたしを、みつけてくれてありがとうね

私の中の小さな私が
2歳くらいの、無邪気に笑うわたしが


ずっとそうして、諦めずに

待っていたんだなと、思った

そして、その子の手を取り、握手したみたいな

大丈夫、ずっと待ってたよ、と言われた気がして


うぇーんと、声を出して泣く

そのあと、露天風呂に入り

見上げると、囲いで切り取られた空に
月が浮かんで真上にあった


わたし、、来たよ、ここまで、、
そんな会話をしたような
とても、幻想的な夜だった


何故だかものすごく満たされた
安心感の中で、部屋に戻り


その日以降、部屋では何も着ないで

過ごしていた

肌に触れる、シーツの感触や
肌にあたる自分の手のぬくもり

その気持ちよさにめざめ

自分で自分の体の感度を高める


誰もいない中で目覚める
自分だけの、感覚


一人でいる事の不安や寂しさは全くなく


ただ、自分だけを見て、感じて

幸せだ、と思った。


壮大な決意をして、すべて手放した
旅の先で、
やりたい事は、これなのか?と

そうなのだ、これが、したかった


自分だけと、向き合い
自分だけの感覚を頼り、研ぎ澄まし

自分を愛することを知る

誰のためでもない、


自分だけの為に、時間を過ごしているのだ。





著者のKcoさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。