看護学生時代 小6終わりの春休みに難病発症した小児患者さんを受け持った話

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クリニックを再受診。



またまた、風邪だというお医者さんの言葉に納得できなかった

お母さんが町の大病院に受診に行かれました。



原因不明で突然発症した疾患。


その数日後には、食事中に、お箸を落としたT君。

お箸が指からすり抜け、それ以来、お箸も持てなくなりました。




本当だったら、この春から、中学生になっていた彼。

真新しい中学校の制服が届き、着るのを楽しみにしていた。

桜の咲く入学式で、同級生に囲まれていたはずだった。



でも、今、彼は病院のベッドの上に横たわっている。

それが、私の見たT君でした。



看護学生で大きなことはできないけれど、

せめて何かできることはないかと試行錯誤していたら、


ある時、T君のお母さんが

「T君、あなたが来るのを楽しみにしているのよ」

と、教えてくれました。


お母さんには分かるそうです。





T君は、日本でも数件しか例がない疾患で、

幼き頃に体内に入ったウイルスが10年近くかけて

脳に入り込み、それによって突然に症状が出てきたそうです。



でも、治療法がないからどうしようもできない・・・。






看護学生の実習には終わりがきます。

「個人的に患者に会いに行ってはいけない」という学校のルールを

きちんと守って、T君のことが気になりながらも、

それ以来、一度もその病棟を訪れたことはありません。



今思えば、自分の心に従って、会いに行ったら良かったと思う反面、

実習生でもない私が病棟を訪れて、いったい何ができたのかとも、思います。




20年という月日を経ても、忘れることのなかった出会い。

T君、大切なことをたくさん教えてくれて、本当にありがとう。



(個人的なことは、事実と少し変更して書いてあります)




























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