少年A(1)〜狂い始め〜

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エアーガンで街ゆく人を打ったりしていた。

人んちの物を盗んだりしていた。

そして、自分よりも弱いやつを殴ったりイジメていた。

卑怯で醜い男だった。

それでも、なぜだか女子からはモテる。

僕はワケが分からなかった。

学校に行けば、女子に手を振られ、
番長グループに見つかれば後ろから殴られ蹴られ、
ボコボコにされ。

外では調子に乗ってクソガキをして。

夜な夜な母ちゃんのバック漁っては、
財布からお金をくすねていた。

(母ちゃん、本当にごめん。)

そして、そのお金で
タバコを買っては悪ぶっていた。

(こんな話をしたのは初めてだ。)

僕の人生、みるみる狂っていった。

体育教師からの体罰


そして中学3年生にもなると、
僕はその不良グループとつるむようになっていた。

なぜつるむようになったのか?

僕は、調子に乗らず、
大人しくする術を身につけた。

悔しかった。悔しかったけど、
もうリンチにされるのは懲り懲りだった。

だから出来る限り目立たないようにした。

その時に、オトナしく長い物に巻かれて生きることを覚えた。

すると自然と、不良グループと仲良くなっていった。

一緒に授業をサボったり、悪さしたり、溜まったり、
学校にイタズラをして先生たちに迷惑をかけたり。

そんなある日、授業中のこと。

仲間たち20人くらいで授業をサボり、
中ばきのまま校庭でサッカーをしていた。

すると、兄の頃からいる体育の先生、
強面スキンヘッド「寺戸先生」が出てきた。

まるで茹でダコのように頭部を真っ赤っかにして、
恐ろしい形相でこちらに向かってくる。

「ヤベッ!寺戸だ!」

誰ともなくそう叫ぶと、
僕らは一目散に逃げ出した。

まさに、ガキ使の「捕まったらアウト」だ。

が、はたまた意味の分からないことが起きた。

そう、寺戸が僕に目掛けて走ってくるのだ。

「こ、怖すぎる…!」

恐ろしい気持ちで一目散に逃げるも、
僕は出口のないほうに逃げ出していた。

まさか、遠い自分のところに
来るなんて思いもしないじゃん。

もう、逃げられない。

僕は観念して、タコの寺戸先生に捕まった。

渾身の力で頭頂部を殴られ、足を思いっきり蹴られ、
襟をヒネり持ち上げられた。

「何をしているのか、分かっているのか?」
「なぁ、なあ!!」

恐ろしい形相だった。

(当時は、そのくらいの暴力は多分にあった。
もちろん、僕だって1ミリも恨んでいない。)

なぜ20人近くいた中で、
特段、近くもない僕なのか。

「まただ。また俺か。なんで俺なんだよ…!」

それはきっと寺戸先生なりの
僕への「愛」だったのかもしれない、と今は思う。

寺戸先生は、僕の兄の面倒も見ていくれていたので、
僕のことは入学する前から知っていた。

そして、寺戸先生には何度も声を掛けてもらった。

だからこそ、真面目で素直な子だった僕が、
おかしくなっていくのを目にしていたからこそ、
間違った道へ進まないよう敢えて厳しく叱ってくれたのかもしれない。

(そう思いたい…。)

この寺戸先生は、10年ほど前に重い病気を患い
しばらく植物状態となったのちに、若くしてこの世を去られた。

(寺戸先生、心からありがとう。)

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