少年A(1)〜狂い始め〜

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とはいえ、そんな賢い考えは今だからこそ思えることで、
14歳の僕には気付けるはずもなかった。

「なんで俺ばっかなんだよ!フザケんじゃねぇよ!」

そうして少しずつ、
僕は大人たちへの反抗心を燃やしていった。

親か警察どっちがいいんだ?


次第に僕は親や先生の言うことを聞かなくなった。

むしろ、大人なんて糞食らえと、
親や教師、周りの大人たちを馬鹿にしていった。

罵声を浴びせたり、嘘を付いたり、
あざ笑ったりしていた。

そんなある日、

「今日はあそこの店を制覇しようぜ!」

などと言いながら、
少し離れた隣町のスーパーに自転車で向かった。

そう、別に欲しいものなんて何もないのに、
ただ万引きをする瞬間のスリルを楽しんでいた。

3人で同時にお店に入り、各々が散らばって、
“これだ!”と思うものをバックに詰め込んでいった。

バックに入るだけ詰め込み、
そしてまた合流してお店を出た。瞬間だった…。

「お前たち待ちなさい!!」

後ろから恐ろしいほどの剣幕で
怒鳴ってくる男性の声が聞こえた。

その瞬間、僕は後ろを振り返ることなく、
即座に全力で走り出した。

少しして振り返ると、
後ろで2人が男性にバックを捕まれ倒れ込んでいた。

 あ、もうダメだな。    

そう思った僕は観念して、 
自分だけ逃げるのは辞めようと、 
2人のところへ戻って僕も捕まった。   

そして、おじさんにお店の裏の 
事務所のようなところへ連れていかれた。   

するとそこには、お店の店長らしき人が、
険しい顔をしてパイプ椅子に座っていた。    

あ、もう今度こそ終わったな。

そう思った。    

僕らもキィキィきしむパイプ椅子に座らされ、 
それぞれ万引きしたものをバックから取り出した。   

僕はヘアワックスや小さい電気製品などを出した。    

そして店長が、    

「警察か親か、どっちがいいんだ?」    

僕らに選択を迫ってきた。    

どちらにせよ、親にバレるやん。    

そう思った僕は、    

「本当にすみませんでした。親に連絡させてください」    

そう言った。    

すると3人とも親に連絡することになり、 
それぞれの母親が来ることになった。    

僕は心の中で 言葉にできない気持ちになっていた。    

母ちゃん、どんな顔して来るだろ。    

ただでさえ、体調も悪くて
しょっちゅう入退院を繰り返しているのに。    

余計、悪くさせちゃうじゃんか。

そんなことをあれこれ考えているうちに、 
一番最初に僕の母がおじさんに案内され部屋に入ってきた。    

母は、色白の顔と目を真っ赤っかにして、
僕を睨みつけてきた。    

そして僕の目の前で、

「本当に申し訳ござませんでした。」

お店の人と Gメンのおじさんに何度も頭を下げていた。    

深々と縁もゆかりもないオヤジに頭を下げる母の姿を見て、
僕はとにかく苦しかった。    

ネズミの穴があったら、 
今すぐ隠れたい気持ちでいっぱいだった。    

そして母が、僕が盗んだ商品代金を支払うと、
僕は母と一緒に解放された。    

だが、母は自動車で来ていて、 
僕は自転車だったので、別々に帰ることになった。    

当然ながら、僕は家にまっすぐ帰らず、 
公園へと逃げ出した。    

僕は1人、夜が更けても 
自転車でプラプラしていた。    

どこに行くでもなく、あてもなく、 
ただ色んな公園を回った。    

家に帰りたくない。 

父ちゃんはどんだけ怒ってんだろ。    

そして時間は深夜になった頃、 
さすがに寒さに限界が来て、 
泣く泣く家に帰ることにした。    

すると、いつもならとっくに寝ているはずなのに、 
リビングの電気が明るくなっていた。    

わ…、明日も早朝から仕事に行くはずなのに、まだ起きてる…。    

めちゃくちゃ怖かったけど、 
帰らないと行くところすらない。

いつまでも逃げていられない。    

僕は意を決して、    

「ガチャリ…」    

静かに玄関のドアを開けた。    

そして、恐る恐る、 
リビングに行かず自分の部屋へ行こうとすると…    

「ゆきひろっ」    

リビングの方から父の声が聞こえてきた。    

だが、不思議と声に強張りは感じられなかった。    

とにかくビビっていた僕は、 
なんだか少しホッとして、 
声が聞こえたほうへ歩を向けた。    

そして、恐る恐るリビングの扉を開けた。    

「キィ〜…」       

つづく・・・





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