「A子ちゃん」と「B先生」の出会い

「A子ちゃん」と「B先生」の出会い

出会い
 
 A子ちゃんのお母さんの夢の中。雲の上の神様の国。天使のA,Bが側に控えている。
「地上では、また悪魔がうごめき始めておる」
「Aよ、あの家では苦しい生活が待っておるぞ。いいのだな」
「はい」
「では、行け」
「Bよ、お前はどこへ行く」
「Aの近くに」
「記憶をなくすのだぞ。死ぬまで出会わないかもしれないのだぞ」
「はい」
「では、行け」
 A子ちゃんのお母さんは目覚めて、不思議な顔をする。
 
 キリスト教会から出てくるB先生。部屋には「汝の隣人を愛せよ」の張り紙。
「さぁ、今日も授業を頑張ろう」
 事務所にいたら、電話が鳴る。
「もしもし、B先生ですか。さっき、D塾の先生がみえて、先生の塾が近いうちに閉鎖になるから塾を移るように言われたのですが,本当ですか?
「え?閉鎖の予定はありませんけど」
 
 小さな喫茶店でウェイトレスの仕事をしているお母さん。そこに、アホっぽいカップルが入ってくる。(小さな声で)
「なんだ。なんで、あんなオバサンがウェイトレスをやってんだ、この店」
 お母さんには、聞こえている。
 
 教室で生徒が先生に月謝を渡している。
「先生、オレ先日月謝払ったよな」
「うん、オレも払っているところ見た」
「うん、オレも見た」
 支払い台帳をチェックしたら、納入されていない。
 後日、生徒の父親がやってきた。
「先生、コイツ月謝を自分のものにしてファミコン買ってた。申し訳ありません」
「(ということは、援護射撃していた子たちも、幾らか握らされてたのか・・)」
 
 A子ちゃんを保育園に迎えに行くお母さん。
「A子ちゃん、今日は火曜日だからお買い物だよ」
「ワーイ。今日は何を作ってくれるの?」
「うーん、チャーハン」
「ヤッター。じゃ、ソーセージも入れてね」
 スーパーマーケットで、A子ちゃんがソーセージや卵をカゴに入れていく。持ってくる商品には、みんな10%割引の値札が付いている。
 
 授業中に、突然真っ暗になる。
「コラー、誰かスイッチに手を触れたなぁ!」
 授業が再開したら、玄関の方でガシャンというガラスが割れる音。
「先生、私が悪いんじゃないよ。入ろうとしたら、誰かが内側からカギをかけたから。蹴っ飛ばしたら割れちゃった」
 その時、自転車置き場で大きな音が。
「バトミントンしてたら、羽が屋根の上に乗ったので叩いて落とそうとしてたんです」
「これじゃ、授業にならない・・・」
 
 小学生になったA子ちゃん。12月。街は、クリスマス一色で楽しそう。A子ちゃんは、ケーキ屋さんのデコレーションケーキをながめている。それに気づいたお母さん。
「A子ちゃん、今日はケーキを買っていこうか」
「本当?やったー!」
 コンビニに入って、小さなショートケーキを買う。
「お母さん、ありがとう」
「本当は、もっと大きいのがいいのだけどね」
「ううん、そんな大きくても2人で食べきれないもん」
「分けっこしようね」
 
 授業後に、マジメな生徒たちがB先生に近寄ってきて
「先生、Cくんたちをやめさせて下さい。そうでないと、ボクたちが塾をやめます」
「え?」
「先生の動画見ました。ジャッキー・チェンの前で拳法を見せたヤツです。あんなヤツら怖くないですよね」
「ごめんね、Dくん、こんなことまで言わせて」
 
 10年後。中学生になったA子ちゃん。
 日曜日のリサイクル・ショップ。
「A子ちゃん、クラブの試合で新しいジャージが必要だよね。それに、交通費っていくらかかるのだっけ?」
「ううん、コレでいい」
「でも、もうそれよれているし」
「私は気にしてないから」
 
  帰宅したら、生後4ヶ月、3歳、6歳の娘たちが無邪気に遊んでいる。それを、ジッと見つめるB先生。
 
 教室で。
「そろそろ本格的に受験勉強始めないとな」
「うん。オレは駅前のあの巨大ビルのP塾に行く」
「A子ちゃんは、どうするの?」
「私は塾に通うお金がないよ」
「でも、B先生の塾は特待生制度があるって聞いたよ。テストで良い点を取ると、翌月の月謝が8割くらい免除されるそうだよ」
「え?そうなの?」
 ちょっと考えるA子ちゃん。
 
  授業前の教室に、中3の生徒とその父親が怒鳴り込んでくる。
「あんた、なんでウチの子ばかり注意するねん。田舎の小さな塾講師ごときが、何をえらっそうに。こんなチンケな塾なんぞ、つぶすのワケないんやぞ」
「おい、お前。中学三年生にもなって父親に泣きついたか」
 怒りにまかせて、机を叩いたら拳の型に机にめり込む。
「もう結構。塾はやめてもらいます。二度と顔を見せるな」
  親子そろって、真っ青になって帰っていく。
 
 家に帰ると、母親がコンピューターに打ち込む内職をしている。
「おかえり、A子ちゃん」
「うん」
「ね、お母さん。明日、B先生の塾についていってくれない?」
「え?でも、・・・・」」
「大丈夫。私、けっこう成績いいし、テストで良い点を取ると月謝がほとんどかからないんだって」
「でも、あそこはアメリカ帰りのコワイ先生だって聞いたよ」
「そうね。鬼のような人が出てきたりして(笑)」
 
 事務所で。
「よし、このプリントなら絶対に生徒に喜んでもらえるはず」
 授業後に掃除をしていたら、そのプリントがゴミ箱に捨ててあるのを発見。何かを
思いつめた様子のB先生。
 帰宅後、「汝の隣人を愛せよ」の張り紙を、破り捨てる。机に向かって、強制退塾制度の書面を書き始める。教室に張り出し、「塾だより」で塾生に郵送する準備を始める。
 
 塾で、三者面談の日。A子ちゃんのお母さんは、B先生の顔を見て、少し驚く。
「A子といいます。よろしくお願いします」
「Bといいます。よろしく」
                                            

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