第32話 パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記
前回の「黒いパラソルの女事件」が起きたのはアリッサがカミングアウトした直後の頃。アリッサは晴れて女になれたことで有頂天。残された家族は、アリッサの変化について行けず、呆然としていた時期。暗く悲しいストーリーでした。
「服を縫う女事件」は2018年の秋のこと。アリッサのカミングアウトから2年の月日が経ち、わたしたち家族がアリッサの変化に順応し、アリッサも落ち着きを見せ、家族の雰囲気がなんとなくイイ感じになってきた頃のお話です。
男時代から、アリッサは熱しやすく冷めやすい人。ギター、淡水魚(と水槽)、プラモデル、車、日本人バンドの追っかけ、などなど、次から次へと新しい趣味を見つける。形から入る人なので、まず物を揃える。しかも最高レベルの物。必要であれば海外からも取り寄せる。しばらく熱中して、ある日突然飽きて投げ出す。その繰り返しでした。
カミングアウト後は、化粧とファッション。これは長続きしていて、今でも 毎日飽きずに、 動画や雑誌を見ては切磋琢磨。日々勉学に励んでいます。趣味の領域を超えて、「プロになっちゃうかも?」の勢いです。
そんなアリッサが去年の秋から夢中になっているのが、ずばりコスプレ。
アリッサがコスプレにはまったきっかけは、北米最大規模のアニメイベント、“Anime Expo”。日本人バンドのおっかけ仲間でアリッサのBFF 、(“Best Friend Forver”)のナネちゃんに誘われ、初参加しました。
アリッサの初コスチュームは漫画、「イニシャルD」に登場する佐藤真子。シルエイティを豪快に運転する普通の女の子。アメリカ人にとっては(日本人にもかな?)レアキャラです。
真子はストリートレーサー。アリッサも車大好きだから、自分と関わり合いのあるキャラになりたかったそうです。
真子のコスチュ−ムは普段着なので、娘たちの感想は「かわいい!」
わたしも「いいんでないの。低コストなとこがさらにいいね」といった感じでした。
こうして、アニメおたく、コスプレおたくの祭典、”Anime Expo”をきっかけにアリッサはコスプレにはまっていきます。
南カリフォルニアはアニメイベントの聖地。毎月どこかで、アニメ、漫画、コミック、コスプレに関するイベントが開催されています。凝り性のアリッサは一般参加者として参加することに満足できず、コスプレコンテストに参加することを決意しました。44歳にして、コスプレコンテストデビュー。
アメリカは自由の国。なんだってありよ。がんばって、アリッサ。でもね、コスプレってお金がかかるんだよね。
「服を縫う女事件」、続きは次回。
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