ばあちゃん(30~31歳)

前話: 父と継母と会う(29歳)

この頃に僕は結婚をしました。

もともとは結婚なんかに全く興味がなかったのですが、

周りの友達が結婚をしていくのを見て

”結婚も悪くないのかも…”って何となく思い始めてたのです。

 

結婚を機に、僕は以前からずっと思っていたことについて改めて考えました。

それは、僕が小学生だった頃に唯一の味方だった
継母の母…義祖母にお礼を言いたいということです。

 ⇒継母(7歳~8歳)

あの頃の僕を受け止めてくれたのは、義祖母だけ。

お礼を言いたいというのは10代の頃からずっと思っていたことでしたが、

なかなかそれを行動に移すことができずにいました。

”結婚をした今、まさに今がそのお礼を言うタイミングなのでは?”

考えた末に、そう思い立った僕は会いに行くことを決意しました。

 

とはいえ義祖母の電話番号などは一切分かりません。

継母に電話して聞くのが手っ取り早いのですが、なんとなく自力で探したかった。

覚えているのは住んでいる地名だけ。それだけを頼りに探しました。
探すのに苦労するかな…と覚悟を決めていましたが、

意外にあっさりと家は探すことはできました。

継母の旧姓は少し珍しかったし、更に住んでいる所は小さい村だったので

交番に聞いたらすぐに教えてくれたのです。
 

表札を何度も確認する。間違いない。

ヤバい…かなりドキドキする…。

いざ家を目の前にしたら急に帰りたくなりました。
”忘れられていたらどうしよう…。そもそも生きているのだろうか…?”

そんな思いがよぎったからです。

でも…今行かなければ、もう二度と行かない気がする…。

そう思った僕は、勇気を出して呼び鈴を鳴らしました。

 

男の人が出てきました。おそらく継母のお兄さんです。

小学生の事に義祖母の家に行った時、この人は優しくなかった。

そんなことを思いながら用件を伝えました。

『あの…隆生ですけどばあちゃんいますか?』

あぁ…とだけ言い残して、一旦その男の人はいなくなりました。

少ししてばあちゃんが出てきました。

会うのは20数年ぶりですが、会った瞬間に分かるものですね。

ばあちゃんは驚いた様子で、

『隆ちゃん…よく来たねぇ~。』

僕はぶわっと感情が溢れだしました。

 

『ばあちゃん…僕ね、結婚したんだよ。あの頃、優しくしてくれて本当にありがとう。
ばあちゃんにお礼をずっと言いたいと思っていたから…だから今日は来たんだよ。』

ばあちゃんは泣いていました。
ありがとう…ありがとうって言いながら。

 

最後に僕は、長い長い握手をしました。その手の温もりを忘れないように。

ばあちゃんの手は小さいけど温かい温かい手でした。

 

"どんな親だろうと恨んだらダメ。
恨みは何も生み出さないんだよ。
隆生は隆生らしく精一杯生きなさい"

 

ばあちゃんに言われた言葉です。
この言葉の意味を理解するのはまだしばらく先の事ですが、

心に深く…深く刻まれた言葉でした。

 

お礼を言いに行ってから1年経つか経たないかのある日、継母から電話がありました。

 

”ばあちゃんが亡くなった”

との連絡でした。

 

あの時に会っておいて本当に良かった。

お礼を言えて本当に良かった。

 

ありがとう。今まで本当にありがとう…ばあちゃん。

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