いつかの日のきっかけ

小学生の頃、毎日友達と外で遊んで、毎日好きなことをして。必死に生きていた。

当時、私には好きな子がいていわゆる、「両思い」だった。彼とはよく遊び、よく喧嘩し、よく一緒にいた。彼はいつも人気者で私を気にかけてくれて、優しく、野球大好きな少年だった。当時はよく手紙交換をしていた。「今日遊べる?」とか「昨日はごめんね。」とか。些細な事を手紙でやり取りしていた。ある時、大きな喧嘩をして(当時の自分はとても気弱であったため、些細なことですら傷つくことが多くあった)彼とは全く口をきかない時があった。それだけならよかったが、その日は彼の影響で色んな人に無視される羽目になった。彼は学校の中で上の方に君臨するポジションであった。だから皆彼の言うことを聞いて、私を避けていた。それくらいなら、謝って仲直りすればいつも通りに戻ったのだが。仲の良かった友達に朝「おはよう」と声をかけても、こちらを見たのに無視され、他の子も私を避けて何処かへ行ってしまった。最初は訳がわからなかった。私が彼らに何をした?どうしてこうなった?訳がわからない。もちろんその日は帰りも1人だった。いつも一緒に登下校する幼馴染がいたが、彼女まで無視されてしまうと思い、勝手に1人で帰っていた。何も言わずに帰るから、彼女は私に怒っていた。そりゃそうだ。向こうからしたら勝手に避けられてるのだから。私がやられてることと、同じことを彼女にしていたのかもしれない。当時の私には想像力が足りなかった。
何日かそんな日が続いた。
ある時、教室に戻ってくると私の机の中のお道具箱(教科書や文房具が収納されてる)が空になっていた。あれ?と思っていたら教室のベランダの扉が開いていた。(私の教室は1番上の3階)その日は雨だった。誰もいないのに開いているのはなぜだろう。そんなふうに思い外へ出てみた。終わった。私の教科書やメモ帳、文房具が雨でベチャベチャのグラウンドに落ちていた。誰がやったんだ。なぜ私なんだ。そこまでするのか。お母さんに必死にねだって買ってもらった筆箱や、幼馴染に誕生日でもらったメモ帳。全てグチャグチャに濡れていた。1人で降りて1人で全部拾って。水道で泥を流して。涙なんかも流れてたっけ。私は弱い。だから敵にされる。舐められる。心をズタズタにされる。私の物を全て奪われる。それは弱いからだ。自分がいけない。自分が強くないのが悪い。もう奪われたくない。くだらないことで自分の周りが巻き込まれる。自分が弱いからなんだ。強くなる。強くなって何もされず誰も傷つけられないようにしてやる。私は彼に直接言いに行った。「何が嫌だったの。直接言いなよ。男なんだから、そんなことしたって私はあなたの物にはならない。」彼は謝ってきた。小学生だ。話し合いじゃ解決しないが、謝れば仲直りできる。単純だ。全て元に戻った。私は真っ先に登下校していた幼馴染に謝りにいった。今まで何が起きていたのかも説明した。彼女は理解してくれた。まぁ0歳からの付き合いだ。姉妹のようなものだ。だからずっと味方でいてくれる。「なんでもいいけど、信じてね。私が裏切ることはないから。いつでも相談してね」なんて。そんな簡単なことに気がつかなかった私は、彼らと同じことをしたんだと思った。
朝、学校では「おはよう」なんて。誰に言ってんだ。そんなふうに思っていたら今まで無視していた友達が、私にしていた。けろっとして、何事もなかったかのように話しかけてきた。あー。都合いいよな。忘れたことにするのか。幼馴染からもらった大切なメモ帳を奪われ、親から買ってもらったものを汚され、信用していた心を壊され、あー。いじめってこれか。私の味方になったものはいなかったが、いたらきっとその子まで奪われていたか。いじめの首謀者の彼はもちろん、私に構ってきた。「今日遊べる?」こいつを無視すればまた同じ目にあう。「いいよ。」これは。恋ではない。もう彼のことは好きにならないだろう。そしてもし、一緒にいたとしてもそれは自分を守るため。仲間を守るため。私は彼に執着する弱者。彼と恋することはない。奪われたものが多すぎる。
私はこの日を境に
裏切ることは簡単で
忘れることも簡単で
捨てることも簡単だ、という事を知った。
そしてこれが、いつかの日のきっかけとなることに、私は気がつかなかった。

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