電車を乗り過ごして県境を超えた夜のこと
ある日、居酒屋で飲んで電車で帰宅中の事です。日ごろの激務のせいかどうかはともかくも私は、居眠りをしてしまいました。そして車掌さんに起こされて電車を降りました。
最初はなんてやさしい人なんだと思ったのですが、とある田舎の単線列車でのこと、当然駅も変わり映えのしないものばかりです。かなり酔いが回っていたせいもあり私は乗り過ごして終着駅まで行ってしまったことに気付きませんでした。駅をでてしばらく歩いてようやくおかしいなと思いました。
慌てて駅までもどりよくよく見てみるといつもと違う駅でした。運よく今どきめずらしい電話ボックスがありこれまためずらしいイエローページがあったので、タクシーを呼ぼうとそのイエローページのタクシーのページだけむしり取られていました。おそらく過去に私と同様寝過ごした人の仕業なのでしょうか。
仕方がないので始発まで時間を過ごそうと思ったはいいもののそこは片田舎の無人駅ですので、見渡す限りの真っ暗闇です。コンビニエンスストアなんて便利な店はありそうもありませんでした。かすかな明かりを目指していくと、そこは公共住宅かなにかの一階部分のコインランドリーでした。しかたがないのでそこで一晩明かしました。
次の朝気づいたのですがそこは私の住む街の隣の県でした。みなさん田舎の電車には気を付けましょうというつまらない話でした。
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