西ヨーロッパ 投資家として飛行機なしの世界一周 その19


ドイツ


オクトバーフェスティバルに行った。

ヨーロッパ最大級の規模のお祭り。

とにかくビールを飲みまくって、10月にやるからオクトーバーという名前の、いたって単純なお祭り。

もちろん収穫を祝うとか元々の意味があったんだろうけど。

でもその盛り上がりは、すごいものだった。

ミュンヘンは会場以外のところも、民族衣装を着た人たちであふれていた。


会場は元々そうなのか、特設なのか分からないけど、遊園地みたいだった。その遊園地みたいな敷地の中に、クラブのハコみたいなビール会場が15個くらいある。


一つ一つのハコで趣旨が違うんだけど、全てのハコが超満員。どいつもこいつも片っ端から酔っ払ってる。


今まで宿を予約したことは一度もなかったし、お目当ての宿に直接行って泊まれなかったことも一度もなかった。

でもさすがにミュンヘンはフェスティバル中だったため、安宿はどこもあいてなく、仕方なくインフォメーションセンターに紹介してもらったちょっといい宿に泊まった。

だからずっと一人で、会場では最初、ちょっと寂しくもあった。

基本自分は孤独不感症なので、あまり寂しいとか思わないんだけど、さすがにここまでみんな仲良く盛り上がってるのを見せ付けられると、なんかそわそわする。

まぁそれも出来上がるまでの間のことだったんだけど。

でもきっと友達がいれば最高に楽しい祭りなんだろうな、と思った。

イギリス



どこの民族衣装だか忘れたけど、こういう人見るとホント日本の没我主義というか、出るくいは打つというか、そういうのを感じさせる。もちろん利点もあるんだけど。。。

良い悪いじゃなくて、ヨーロッパでは個性があることが尊重されて、逆に日本では同一性が尊重されて突飛なことは許されない、という傾向があると思う。

もうちょっと日本でもいろんな人がいて、いろんな考え方があるってことが許されてもいいと思うけど。

ちなみに上の人は超ごっついおっさん。


やっぱ証券取引所は見ておかなくちゃと思って、シティにも行ってきた。

でも迂闊にも日曜日だった。

しかもなんか一般人は取引所に入れない感じだった。

ということで、大英博物館。
ユーラシアの様々な博物館を巡ってきた後となっては「やっぱすげぇな」って感じでした。

世界の文化を感じた。
でも特に、日本の文化の特異さを感じた。


フランス


パリ。

ルーブル美術館。



五時間以上かけてルーブルを一周した後、疲れ果てて休もうとしていると、芝生に寝転んで気持ち良さそうにしている人が。

俺は芝生に寝転ぶのにちょっと抵抗があって、近くの段に腰掛けた。

でもしばらくして、一体どんなくだらない壁があって、俺は寝転ばないんだろうと思った。

そして芝生に体を投げてみると、、、

青空と芝生の柔らかさが、最高に気持ちよかった。


この旅で六回目の満月。

一回目は中国、二回目はラオス、三回目は事故後でウズベキスタン、四回目はトルコ、五回目はハンガリーだった。

次はどこで満月を見ることになるんだろう?

イタリア


ローマの初印象は、「きたね」という感じだった。

地下鉄は外も中も落書きだらけ。

テルミニというローマの中心駅も、これが首都の駅?という感じだった。

まぁもちろん見所や芸術品はすごかったけど。。。

何よりも、すいぶん南に下ったおかげであったかくなった。


ヴァティカン



現在のサン・ピエトロ大聖堂は免罪符で集めたお金で建てられたもので、これをきっかけに宗教改革が起こり、プロテスタントの分離へと発展していった。

ちなみに免罪符とはお金を払えば罪が償えるというもので、これを利用して多くの聖職者が金儲けをしていた。


この旅行中、多くの教会に行き、多くの敬虔なカトリック教徒を見てきた。彼らはバスや電車の中でも、十字架や教会を見ると十字を切り、教会の中に入ればひざまずき、キリストの絵や像に口付けをする。

その信心深さには本当に頭のたれる思いがする。

話はそういったカトリック教徒とはまったく別の、ヴァチカンという独立した存在について。


そもそもイエス・キリストが神的存在であるということが決まったのは、死んでからかなり先の4世紀のことで、ニケーアという会議で決まった。

今更だけど会議で決まるというのがハナからおかしな話で、自分的にはイエスはただの人間であったほうが、キリスト教は説得力を持つだろうに、と思う。

2000年近く前に、裏切られて、拷問されて、十字架にはりつけにされるされるという悲惨な殺され方をした人間がいたんだけど、その人は死ぬまで愛し合いなさい、許しあいなさいと言い続けた。

そっちのほうが全然すごいことだと思う。(イエスは死ぬ直前に、「神よ、どうして私をお見捨てになったのですか」と言っている。)

実際ニケーア会議では、イエスは人間として崇めるべきだという宗派の人たちもいたらしいけど、会議後には異端者として迫害されることになった。

で、そんなイエスが多くの福音書の中で、律法者に最も大事なものは何かと聞かれ、次の二つを挙げている。

一つ目は、神を信じること。

二つ目は、隣人を愛すること。

一つ目についてもし神という概念に抵抗があるのなら、これを「正義」や「善」と置き換えて構わないと思う。

二つ目が重要で、キリスト教の特徴はこの愛というものの実践方法について、原罪という概念を使ったところにあると思う。

つまり人間は生まれながらにして罪を背負っているという概念。これはキリスト教的な解釈で言えばかなり深い意味で、主にイブが善悪の知識の実を食べたことに基づいている。

でも誤解を恐れずに一般的意味に拡大解釈するなら、例えば人間は食べ物を食べずには生きていけない。現代ではスーパーで当たり前のように売っている肉も、動物をすし詰め状態のありえない環境で育てた挙句、ぶっ殺して作ったもの。ベジタリアンにしたって必死に生きようとしている命をむしり取って、それを糧にしているのには違いない。

食べ物だけじゃなくて、ほとんどの人間は完全に一人で生きていくことは出来ない。誰かにお世話になったり、迷惑をかけたり、支えあったりして生きている。

そしてほとんど誰もが、意識的にも無意識的にも、他の人を傷つけたり、犠牲にしたりしながら生きている。

特に日本人の生活なんかは、日本に暮らしていると気づきにくいけど、この素晴らしい国に生きているというただそれだけで、大なり小なりアフリカや中国やその他の発展途上地域の人たちの犠牲と、それへの無関心の上に成り立ってる。


でもそういった罪の意識を決してネガティブにとらえるのではなく、ポジティブにとらえる。

自分は罪深い生き物で、あらゆるものの犠牲の上に成り立っている。

だからこそ、必死に生きて、感謝しなければいけない。

そして本当に心の底から感謝すれば、自然に愛が生まれる。


それがキリスト教の特徴だと、勝手に自分で解釈してる。


で、イエスが否定したことが二つある。

権威、もしくは権力への執着と、無駄な富の蓄積。

ヴァチカンとは以前まで、歴史的にはその象徴たる存在だった。

イエスの思想や哲学とはまったくかけ離れた存在、と言っても過言ではなかったと思う。

もちろん今と昔は違うんだろうけど。


ローマからマルセイユ行きのバスの中。

自分は後ろから四列目の席に座ってたんだけど、なんか煙くて臭いな、なんて思ってたら、一番後ろの席の女の人が急に騒ぎ出した。イタリア語だから何言ってるのか分からないんだけど、しばらくしてみんな騒ぎだして、結局バスが止まってしまった。

こういう時に限ってほとんどみんな英語が話せなくて、何が起こってるんだか分からない。でもとりあえず急いで身支度をして、いつでも動ける体制をとる。こういう時に余裕ぶっこいてぐずぐずしてると、大変なことになることは経験済み。

でもいくら時間がたってもバスが動かない。その間に英語が片言で話せる人を見つけて、事情を聴く。

なんとバスは完全に故障して、代わりのバスが来るのを待つしかないという。

そんなわけで、真夜中、高速道路の途中でなんと4時間も待った。

カザフスタン以来のバスの故障は、イタリアだった。

バスの中でヨーロッパについて考えていた。
正直、物足りないと思わざるを得ない。

アジアだったら観光はついでにしか過ぎない、なんて言う事が出来た。

ホントに面白いのは観光スポットに行くまでの間に会う人々や、思いがけず起こるイベントで、観光それ自体は本当の目的ではなかったと言っても、そこまで言い過ぎじゃなかった。

でもヨーロッパでは、観光が完全に目的になっている。教会、城、美術館など、誰もが行っているところに行って、誰もが撮っている写真を撮って、それ以外のことは起こらない。子供たちが笑いながら話しかけてきて抱きついてきたり、うさんくさいおっさんと用心しながら話してたら、実は感動するほど親切なおじさんだったり、そういうことは一切ない。

もちろんヨーロッパは見所が一杯あって退屈しないことは確かだし、キレイでホントにいいところだと思う。

住みたいと思うし、実際住まないと本当の良さは分からないんだと思う。

でも少なくとも「旅」、特に「一人旅」では、「物足りない」という思いをどうしても消すことが出来ない。

冒険心が満たされない。

まぁそれもヨーロッパ初心者の自分が、首都ばっか巡って田舎に行ってないんだから当然のことなのかもしれないけど。

とにかくそんなわけで、自分の心はすでにモロッコや大西洋、そして南米に向かってる。

スペイン


マルセイユからバルセロナまでの深夜バスに乗って、着いたのは朝の6時。まだ辺りは暗い頃。

こういう時間が一番困る。宿の受付が閉まっていたり、開いていてもチェックインが出来ないことがあるから。

でもとりあえず地下鉄で宿まで行ってみる。

電車を降り、外に出て、地図を確認する。

宿はかなり近いところにあるようだった。

歩いて5分もかからないだろう。

このとき何を考えていたか覚えていない。

特になんということもない、とりとめのないことを考えていたように思う。


突然、知らない男に声をかけられた。

僕の持っていた地図を指差して、それを見せてくれないか、と言う。

ちょっと面倒臭かったが、とりあえず見せてあげると、何か色々としゃべりだした。

が、スペイン語なのでよく分からない。

「ノ、アブロ、エスパニョール」

そう言ってもガンガン話しかけてくる。

酔っ払っているうえにしつこい感じがしたので、先に歩き出した。

しかしそれでもついてくる。

今度は何か下ネタのようなことを言ってきている。

相手は陽気な雰囲気だが、嫌な感じがして、振り切る姿勢を見せる。

目を合わせず、会話にも応えない。

すると、突然前に立ちふさがって、抱きついてきた。

そして下半身を探ってきた。

突然のことなので驚いたが、すぐにハッとしてズボンの後ろポケットを確認する。

財布はある、と確認し、突き放そうとしたそのとき、

きな臭い、ツーンとする感じがして、一瞬意識が飛んだ。


顔面に衝撃を受けたときのなんともいえない独特の感触。

右フックをまともにくらった。


ちょっとよろけたうえに、荷物から手を離してしまうが、最高レベルの危機感と緊迫感、恐怖と怒りとで、全身総毛立ち、すぐに態勢を整える。


するとなんと、相手は足早に立ち去ってしまった。

こちらが追いかけてこないか、振り返って確認しながら。

僕は「おい」なんて間抜けな怒鳴り声を一回発しただけで、それ以上何も出来なかった。

追いかけてぶん殴り返したい気持ちだったが、もちろんそんなことは出来ない。

相手が声をかけてきてから、この間3分もたってなかったと思う。

呆然と立ち尽くす。

とりあえず地図を確認すると、なんと宿の目の前だった。

インターフォンを鳴らして入れるか聞いてみると、やはりまだ無理だと言う。

事情を説明するが、ビルの扉自体が時間まで開かないらしい。

ということで、近くのカフェで2時間ほど待った。

その間怒りがおさまらず、さっき起こったことを考える。

知らない奴が話しかけてきたら、とりあえず最初だけ受け答えして、ウザそうだったら無視して振り切る。

特に間違いはなかったと思う。運が悪かったとしか思えない。

そして相手の目的はなんだったのか。

最初はスリかと思ったが、手を離した荷物を奪おうとせずに殴ってすぐに消えてしまったことや、会話や相手の雰囲気から考えると、ただの酔っ払いのゲイだったのかもしれない。

よくわからないまま、悶々とした時間を過ごした。

左の頬は、表情がうまく作れないほどはれあがっていた。



と、まぁ最悪のスタートを切ったスペインだったけど、宿で宿泊客の人からちょっと感動する話を聞いたりして、だんだん落ち着いてきた。

そしてなによりも、小学生からの憧れだったガウディの作品に触れられる。

これが完全に機嫌を直してくれた。

初日の観光が一通り終わって、やっぱり朝のことを考えた。

でもこのとき、変だと思うかもしれないけど、「なんかスッキリしたな」と思った。

ヨーロッパに飽きてきたなんて考えたりして、少し腑抜けていた自分だけど、

「旅なめてると大変なことになるぞ、ボケが」

っていう気持ちが生まれて、なんだかシャキっとした。

人間痛い目見ないと分からないもんだと思った。

とりあえず有名な首絞め強盗じゃなかっただけよしとしよう。


しかしスペイン南部には気をつけろ、とは聞いていたが、まさかバルセロナでこんな目に遭うとは。。。


グラナダ。

ここのユースホステルでは、ドミトリーで自分のベッドにハンドバックを置いたままシャワーを浴びていたら、その間に盗まれたという日本人女性に会った。

バックパッカー歴8年で、こんなことは初めてだと言う。

しかもほんの10、20分の間の出来事で、同じ部屋の奴が犯人だと言うことは間違いないらしい。

殴られた僕と同じく、運が悪かったとしか言えない。

自分もメインのバックパックはワイヤーロックをかけても、サブバックはそのまま置いて出かけることもあったので、気をつけなくちゃいけないと思った。


最終的にスペインはかなりいい国だった。オランダを除けばヨーロッパで一番好きかもしれない。
特に南部は物価も安いし、あったかいし綺麗だし、過ごしやすい。
しかもご飯もかなりおいしい。パエリアとかおいしいところはほんとにおいしかった。

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