スイスへ嫁ぎ、遠くで思う父と母が教えてくれたこと
「コウモリ捕まえたよ!!」
の声で目覚めた私達。
なんと、自分の手柄を見せに来た父が、釣り用の網にコウモリを入れて、我々の横に突っ立ってるじゃありませんか!
「何やってんの!お父さん!!早く外に出してよ!!」
と、母と私。
せっかく、活躍したのに怒られてスゴスゴと外に出ていく父。
外に逃がした後、我々のところに戻って来て、
「コウモリ、田中さんの家の方に飛んで行ったよ」
と、事後報告も怠りません。
ちなみに、父と母が現場検証をしたところ、コウモリは少し開いていた窓から侵入したとのこと。
いや~!
一晩放置してコウモリはどうなるかと思いましたが、案外解決するものですね!
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人生において目の前に困難が立ちはだかったり、問題が起きたりすることは誰にでも起こりうること。
私は目の前の問題をくよくよと考え、どんどん暗い方向に向かっていき、余計に解決から遠のくこともあったり。
父と母のコウモリを目の前にして、”明日考えよう”は『明日は明日の風が吹く』よりは『見て見ぬふり』に近いものがありますが、これもまた目の前の問題からいったん目を離すことにより、解決に向けた名案が浮かんだりするものなのかなと思うのです。
スイス生活の中で、これからも問題が起こることは多々あるでしょう。
その時、父と母が「明日考えよう」と言った事を思い出して一つ一つ乗り越えていきたい。
…でも「コウモリを自宅の部屋で一晩放置」はやっぱりないかな。
【6.母の桃太郎で知るぬくもり】
私の第一子となる長女・ペマコ出産のお手伝いのため、スイスに来てくれた父と母。
ペマコが生まれる直前に、
「昔は、よくojoに『桃太郎』の話をしてあげたね…」
と、母がしみじみ。
幼かった私との思い出がよみがえったのでしょうか。
母が突然『桃太郎』を語り出しました。
『桃太郎』はご存知の通り、桃から生まれた男の子が、お爺さん・お婆さんに育てられ、そのあたりで悪さをしている鬼を、犬・猿・キジと共に退治し、鬼たちの宝物を手に入れて、お爺さん&お婆さんと幸せに暮らすという昔話。
母の語りも、
「むか~し、むかし、あるところに…」
と順調な滑り出しです。
桃太郎は、「犬→猿→キジ」の順に、お供を連れて行くんですが、
母:「桃太郎さん!桃太郎さん!~中略~…お供します!とキジさんが言いました」
と、のっけからキジがお供に。
その後、順調に「キジ→犬→猿」と動物達の出没順を間違えて話は進行。
たった三匹のお供なのに、一匹も順番が当たってないというミラクル!
テキトーな順番にお供を加えて、鬼ヶ島に到着です。
母:「鬼が島には、赤と青の大きな鬼がたーくさんいました」
…えぇぇぇ!
「赤」と「青」の色限定?!
もしかしたら、
「季節限定カラー!赤&青鬼が鬼ヶ島でお出迎え」
的なスペシャル企画だったのかもしれません。
さぁ!
ここから、クライマックスです。
桃太郎・犬・猿・キジが一丸となって鬼退治をするシーンへ突入!
母:「桃太郎は鬼を全部退治しました」
!!
ちょっと!
桃太郎、でしゃばり過ぎ!!
犬・猿・キジ、全然出る幕ないじゃん!
三匹のお供達が「俺たち、何しに鬼ヶ島まで来たんだろう…」と思わずにいられないストーリー展開に。
それに、きび団子の無駄使いってもんです。
(作ってくれたお婆さんに謝ってよ!)
オリジナルの話では、確か、
「犬は鬼にかみつき、猿は鬼をひっかき、キジは鬼の目をつつく」
という設定だったハズ。
気になったので、母に、
「お母さん、お供の動物が全然活躍してないけど…」
と注意を促すと、「あ!!そうそう!」と慌てた母。
三匹の活躍を挿入です!
母:「犬さんは鬼を噛み、キジさんは石を投げ、お猿さんは木の実を投げました」
…待て待て待てぃ!!
犬はオリジナルに忠実&自分の特技を活かしてるから良しとしよう。
しかし!
キジは石を投げれんだろう。。。
そして猿!!
「木の実を投げる」って、鬼に対して攻撃力無さ過ぎです!(きび団子返せやい!)
こうして、桃太郎+三匹のお供は鬼を倒し、物語はエンディングへ。
母:「鬼を全部退治し、桃太郎はお爺さんとお婆さんの家に帰って幸せに暮らしました。おしまい!」
…うそーん!
鬼たちの宝物、持って帰るの忘れてるやーん!!
私がお婆さんなら、
「桃太郎や、なんでおまえは手ぶらで帰って来たのかい?」
と詰め寄るところです!
なんだか、収まりの悪いエンディングを迎えたワケですが、横で聞いてた父が、
「『桃太郎』の話は、世界中で語られてるんよ。ただ、日本は桃が流れてくるけど、外国は違うものが流れてくる」
と、明らかにガセと思われるネタを提供。
それがホントなら、アメリカあたりでは『ハンバーガー太郎』なんかが出没してそうです。
こんなテキトー且つスットコドッコイな両親に育てられた私。
私がスットコドッコイな大人になったのも納得!
しかし、あまりにも間違いが多いストーリー展開だったので、きちんと訂正しておきました。
その後、父と母にとっては初孫であるペマコが生まれると。。。
訂正され、円熟みを増した『桃太郎』を孫に語りだした母。
「むか~し、むかし、あるところに…」
と、ここだけはスムーズに入って行きます。
桃太郎はすくすく育って、元気な男の子に成長するんですが…
母:「桃太郎はおじいさんとおばあさんに育てられ、立派な大人になりました」
…桃太郎、成人しとるがな!
しっかし、おじいさんとおばあさん、超長生きだわ~
ここから、桃太郎は「犬→猿→キジ」の順にお供を従えて、鬼ヶ島へ鬼退治に行くんですが。。。
母:「桃太郎が犬さんと歩いていくと、キジさんに会いました」
…今回は、「犬→キジ→猿」と、犬以外の順番を間違える母。
何度私が注意しても、そこら辺はテキトーです!
そんなこんなでお供を連れて鬼ヶ島へ向かう桃太郎。
成人男性が犬・猿・キジをお供に連れているなんて、ちょっとアブない感じですが。
母:「桃太郎がどんどんどんどん山の中に入って行くと、青鬼や赤鬼がたくさーんいました」
…「山の中」って。。。鬼ヶ島って「島」じゃないの?!
桃太郎ご一行は、すっかり探検隊きどりです!
(しかも、また鬼の色が「青&赤」限定!)
今回はみんなで力を合わせて鬼を退治。
無事、鬼の宝を持ち帰ったんですが…
母:「桃太郎は町へ帰り、鬼の宝物を町の人々に配りました」
…待てぃ!!
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