スイスへ嫁ぎ、遠くで思う父と母が教えてくれたこと

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「コウモリ捕まえたよ!!」

の声で目覚めた私達。

なんと、自分の手柄を見せに来た父が、釣り用の網にコウモリを入れて、我々の横に突っ立ってるじゃありませんか!

「何やってんの!お父さん!!早く外に出してよ!!」

と、母と私

せっかく、活躍したのに怒られてスゴスゴと外に出ていく父。

外に逃がした後、我々のところに戻って来て、

「コウモリ、田中さんの家の方に飛んで行ったよ」

と、事後報告も怠りません

ちなみに、父と母が現場検証をしたところ、コウモリは少し開いていた窓から侵入したとのこと。

いや~!

一晩放置してコウモリはどうなるかと思いましたが、案外解決するものですね!


********************

人生において目の前に困難が立ちはだかったり、問題が起きたりすることは誰にでも起こりうること。

私は目の前の問題をくよくよと考え、どんどん暗い方向に向かっていき、余計に解決から遠のくこともあったり。

父と母のコウモリを目の前にして、”明日考えよう”は『明日は明日の風が吹く』よりは『見て見ぬふり』に近いものがありますが、これもまた目の前の問題からいったん目を離すことにより、解決に向けた名案が浮かんだりするものなのかなと思うのです。

スイス生活の中で、これからも問題が起こることは多々あるでしょう。

その時、父と母が「明日考えよう」と言った事を思い出して一つ一つ乗り越えていきたい。

でも「コウモリを自宅の部屋で一晩放置」はやっぱりないかな。


【6.母の桃太郎で知るぬくもり】

私の第一子となる長女・ペマコ出産のお手伝いのため、スイスに来てくれた父と母。

ペマコが生まれる直前に、

「昔は、よくojoに『桃太郎』の話をしてあげたね…」

と、母がしみじみ。

幼かった私との思い出がよみがえったのでしょうか。

母が突然『桃太郎』を語り出しました。

『桃太郎』はご存知の通り、桃から生まれた男子が、お爺さん・お婆さんに育てられ、そのあたりで悪さをしている鬼を、犬・猿・キジと共に退治し、鬼たちの宝物を手に入れて、お爺さん&お婆さんと幸せに暮らすという昔話。

母の語りも、

「むか~し、むかし、あるところに…」

と順調な滑り出しです

桃太郎は、「犬→猿→キジ」の順に、お供を連れて行くんですが

母:「桃太郎さん!桃太郎さん!~中略~…お供します!とキジさんが言いました」


と、のっけからキジがお供に。

その後、順調に「キジ→犬→猿」と動物達の出没順を間違えて話は進行。

たった三匹のお供なのに、一匹も順番が当たってないというミラクル!

テキトーな順番にお供を加えて、鬼ヶ島に到着です。


母:「鬼が島には、赤と青の大きな鬼がたーくさんいました」

えぇぇぇ!

「赤」と「青」の色限定?!

もしかしたら、

「季節限定カラー!赤&青鬼が鬼ヶ島でお出迎え」

的なスペシャル企画だったのかもしれません。

さぁ!

ここから、クライマックスです。

桃太郎・犬・猿・キジが一丸となって鬼退治をするシーンへ突入!


母:「桃太郎は鬼を全部退治しました」


!!


ちょっと!

桃太郎、でしゃばり過ぎ!!

犬・猿・キジ、全然出る幕ないじゃん!

三匹のお供達が「俺たち、何しに鬼ヶ島まで来たんだろう…」と思わずにいられないストーリー展開に。

それに、きび団子の無駄使いってもんです。
(作ってくれたお婆さんに謝ってよ!)


オリジナルの話では、確か、

「犬は鬼にかみつき、猿は鬼をひっかき、キジは鬼の目をつつく」

という設定だったハズ。

気になったので、母に、


「お母さん、お供の動物が全然活躍してないけど…」


と注意を促すと、「あ!!そうそう!」と慌てた母。

三匹の活躍を挿入です!


母:「犬さんは鬼を噛み、キジさんは石を投げ、お猿さんは木の実を投げました」


待て待て待てぃ!!


犬はオリジナルに忠実&自分の特技を活かしてるから良しとしよう。

しかし!

キジは石を投げれんだろう。。。

そして猿!!

「木の実を投げる」って、鬼に対して攻撃力無さ過ぎです!(きび団子返せやい!)

こうして、桃太郎+三匹のお供は鬼を倒し、物語はエンディングへ。


母:「鬼を全部退治し、桃太郎はお爺さんとお婆さんの家に帰って幸せに暮らしました。おしまい!」


うそーん!

鬼たちの宝物、持って帰るの忘れてるやーん!!

私がお婆さんなら、

「桃太郎や、なんでおまえは手ぶらで帰って来たのかい?」

と詰め寄るところです!

なんだか、収まりの悪いエンディングを迎えたワケですが、横で聞いてた父が、


「『桃太郎』の話は、世界中で語られてるんよ。ただ、日本は桃が流れてくるけど、外国は違うものが流れてくる」


と、明らかにガセと思われるネタを提供。

それがホントなら、アメリカあたりでは『ハンバーガー太郎』なんかが出没してそうです。

こんなテキトー且つスットコドッコイな両親に育てられた私。
私がスットコドッコイな大人になったのも納得

しかし、あまりにも間違いが多いストーリー展開だったので、きちんと訂正しておきました。

その後、父と母にとっては初孫であるペマコが生まれると。。。

訂正され、円熟みを増した『桃太郎』を孫に語りだした母。

「むか~し、むかし、あるところに…」

と、ここだけはスムーズに入って行きます。

桃太郎はすくすく育って、元気な男の子に成長するんですが…


母:「桃太郎はおじいさんとおばあさんに育てられ、立派な大人になりました」


桃太郎、成人しとるがな!

しっかし、おじいさんとおばあさん、超長生きだわ~

ここから、桃太郎は「犬→猿→キジ」の順にお供を従えて、鬼ヶ島へ鬼退治に行くんですが。。。


母:「桃太郎が犬さんと歩いていくと、キジさんに会いました」


今回は、「犬→キジ→猿」と、犬以外の順番を間違える母。

何度私が注意しても、そこら辺はテキトーです!

そんなこんなでお供を連れて鬼ヶ島へ向かう桃太郎。

成人男性が犬・猿・キジをお供に連れているなんて、ちょっとアブない感じですが。


母:「桃太郎がどんどんどんどん山の中に入って行くと、青鬼や赤鬼がたくさーんいました」


「山の中」って。。。鬼ヶ島って「島」じゃないの?!

桃太郎ご一行は、すっかり探検隊きどりです!
(しかも、また鬼の色が「青&赤」限定!)

今回はみんなで力を合わせて鬼を退治。

無事、鬼の宝を持ち帰ったんですが…


母:「桃太郎は町へ帰り、鬼の宝物を町の人々に配りました」

待てぃ!!

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