世界で1番好きな人はどの時代も暫定説。

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人生で1番好きな人の"親友"が私の相談相手。片思いしてる時も、失恋した時も、先生のことも、家族のことも、大概のことは全部相談していた相手。後の人生で1番好きな人。



恋愛におけるあるあるをこの若さで経験することになる。相談してるうちに好きなっちゃったってやつ。



夜から朝まで毎日のように電話して、それでも、どうしても会いたい時は、自転車で25分。当時の私にとっては永遠みたいな距離を深夜2時に泣きながら、大きな手と大きな背中とそれは全部君のおかげだという優しい声だけを求めて。



深夜2時だからな、そりゃ見えるわなって感じの星とこの世に1つだけの月を見ながら、

暑くても寒くても手を繋いで朝まで話した。



受験の1番大事な時期で、これを

よく思わなかったのが先生。



私は先生の前ではいい子だったし、先生のためだけに勉強も頑張った。故、怒ると生徒全員が下を向いてしまうくらい怖い先生に、怒られたことは一回も無かった。泣けば笑わせてくれたし、そりゃ私が好きになってしまうほどに優しかった。


そんな先生に人生で2回怒られたうちの1回目。


静かな声で「遊びが大事か勉強が大事か。選びなさい。」


あぁ、この人も、所詮真っ当な大人かと思った瞬間、続きを先生が言い放った。


「お前が何を考えてるのか分からないと、俺がお前に何を伝えていいか分からないからイライラする。遊びが大事ならそれでいい。」


あぁ、この人はやっぱりヒーローだ。


結局私は勉強も頑張ったし、親が先生にチクらない程度に彼に会いに行っていた。それでも受験には無事合格した。

なーんだもっと会いに行けばよかったという気持ちは先生の「おめでとう」で和らいだのをよく覚えている。




彼とこっそり待ち合わせしたマンションの階段。この世で1番短い夜を何度も過ごした。眠い目をこすりながら、眩しすぎる

朝日の照らされて急いで向かう先は高校。



私たちは高校生になって自由を手に入れるはずが、彼は「恋愛禁止の高校、厳しい野球部」に入り私たちはこれからもずっと、悲しい時にすがりあうだけの友達なのかなとなんとなーく何も面白くない高校生活を送っていた。


そんなある日君からの着信、


「家いきたい!いい?」


明日私の家に来るなんてさ君がいきなり言うからさ、こんな時間から掃除。オレンジレンジもびっくりの実話だ。


親も受験の時、メンタルを支えていたのは彼だと分かっていたからダメとは言わなかった。


君が私の部屋にいる。変な感じ。いつもと違う雰囲気でいつもと同じようにくだらない話を。


「一夫多妻制ってどう思う?」


えー絶対いや。


「なぁ、俺たち結婚しようか。」


んー、一夫多妻制じゃないなら。



口約束の結婚をした16の秋。

脇目振らせる事が怖かった。

世間も知らない子供の婚約も必ず叶うと信じていた。途方もなく遠い未来を約束したのだ。



野球がとっても忙しい君にご飯を作ってあげて、たまにあるお正月休みはずっと一緒にいた。飽きることなんてなかったし、君が帰ってしまう夜はこの世の終わりくらい泣いた。

女友達がいる遊びに行ってるだけで苦しかったし、なんなら不機嫌だった。写真なんかとってSNSにあげてた日には問い詰めるように連絡した。元彼に「君の想いが重かった」って振られたのに懲りずに。それくらい君が素敵でどこかに行ってしまいそうで怖かった。


制服デートこそ卒業式のあと私達が校則から解き放たれた後1回しかできなかったものの、高校時代全ての思い出は彼だった。



卒業して結婚に一歩近づいて、お互いの夢を叶える為にお互い専門学校に進んだ。その時点ですでに君とは3年付き合っいて、飽きるどころか、これから君にいつでも会えるのか、と嬉しかった。


 

なのに、



思いのほか専門学校が楽しかった。男女仲良くなんでもできる。あ、男女の友情って成立するんだって初めて知った私は君につけた禁止事項を次々無効にして私もやるようになる。分かってる、最悪だ。


更にはあんなにダメだと言われていた留学したい欲が再燃し、将来のことを話すたび喧嘩。もう君も疲れて、私も疲れていた。



交際4年に差し掛かった頃、君と2回目の別れ話。



「そんなに自分らしさを大切にしたいなら、俺と離れて俺のこと思い出さないくらい幸せになりなさい。」


強烈ワード。あぁ私はこの人がいなくちゃ生きていけないのか。どうしていつもいつも失ってから気づくんだろうか。

胸が痛くていたたまれなかった。


君にそんな思いをさせてごめんねと言う気持ちと、離れないでと言う気持ち。泣いてすがるしかなかった。



たった1ヶ月もしないうちに寄りを戻して、これが最後のチャンスだなと私もわかっていた。できることはやったし、卒業したら同棲しよう。この言葉だけを信じて生きていた。


それから約1年、年明けてすぐ。卒業を控えた私はしっかりインフルエンザにかかり、1週間君に会えなかった。


5年も連れ添えばもう分かる。

私達、これから本当に終わるんだな。君から卒業?できるわけないのにな。



会えない間に君は泣いて泣いて苦しかったと言う。その結果を淡々と話してきた。



「もう、ダメだ。3月までに別れよう。」


その後君がなんて言ったかも

私が何をどう縋ったかも、もう覚えてない。


どうしても納得できなくて1日考えさせてってお願いした。でも君が1週間も考えて出した答えだから変わることないのも分かってた。


私たちは頑固だ。



次の日君を呼んで「別れよっか」と告げた時はもう泣けなかった。君が居なくなる実感もなかった。


「君ならそう言うと思ったよ」


ホッとした顔をしていつものように抱き合って、じゃあまたね。と明日も会えるみたいな顔で君を見送った。もうここに君は二度と戻ってこない。

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