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まえがき 29歳の年、私は網膜剥離という病気になり、手術を受け、約2週間の入院生活を送りました。これはその時の「入院日記」です。入院したのは1993年、今から30年近く前のことになります。 この文章の元になったのは、病院で入院中にとっていたメモです。目の病気で入院しているわけですから、目を使う作業は厳禁。文字を読んだり書いたりするなんて、もってのほかです。しかし「一生に一度しかないかもしれない、手術・入院という経験を『取材』しないなんて、もったいない」と、医師や看護婦の目を盗んで、メモを取っていたのです。 もっともメモの実物は残っておらず、どうやってメモを取ったのかも、よく覚えていません。まずメモやペンを持ち込むこと自体、難しかったと思います。また通常の時間帯は、看護婦さんや他の患者さんなどの目があるので、メモはとれなかったはず。消灯後の時間帯に、小さな紙にごく断片的な走り書きをするのが精一杯、という状況だったでしょう。 退院後しばらくしてから、その時のメモを元に、ノートに書き出したようです。それをいつパソコンに入力したかは、記憶がありません。入力した時には、既に忘れてしまっていることも多かったようで、パソコンに残った文章を読むと、ところどころ「この点は記憶がない」などの注意書きが残されていました。 なにぶん30年ほど前に書いたものなので、文章も稚拙ですし、自分で読んでいて気になる箇所がたくさんあります。それだけに手を入れ出すとキリがないので、なるべく当時の記述を生かしつつ、まとめてみました。退院後の話を書いたエピローグは、退院してから約10年後の2012年に書き足したものです。 個人名・会社名などは、一部を除き仮名にしました。病気に関する記述は、当時の私が見聞きした情報をそのまま載せてありますので、医学的に正しくない、または古くなってしまった情報が含まれているかもしれません。その点は、ご注意ください。 2022年11月中安昭人
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