新卒7か月で会社辞めても、複数の会社オーナーになれた話④【初仕事編】

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まずはアポイントを取らないといけない。
僕は、電話でスラスラと話すにはあらかじめ話すことを書いておく必要があると思い、
パソコンで電話で話す内容を書き始めた。

『お世話になっております。株式会社●●の宇田川です。・・・・』


最初に担当者が出てくれる場合とそうでない場合で場合分けをして読み上げる文章を書いていった。


大体出来上がったので、早速電話をかけてみることにした。


1件目、
取り合ってもらえない。



2件目、
必要ないと早々に切られる。



3件目、
担当者が不在。



4件目、
取り合ってもらえない。


5件目、
取り合ってもらえない。


しっかりとテレアポをしたのはこれが初めての経験だったので、
こんなにも断られるのか?と落ち込んだ。


 それを見ていた佐々岡さんは、

「調子はどう?」

と僕に声をかけてきた。


「難しいですね。なかなか取り合ってもらえません」


「何件かけた?」


「5件です」

「わっはっは、5件かけただけで落ち込んでいるのかい?
まだ5件なんてスタートラインにも立ってないよ。
最初はまずは数をこなすことだ。
下手でもやっていくうちに何となくコツがわかってくるものだ。
だからまずは電話をかける件数を目標にするといいかもね。」



「はい、わかりました。ちなみに、1日何件かけたら合格点ですか?」
僕は、恐る恐る聞いてみた。


「んーオレが20代のころは1日150件はかけてたよ」


「150件ですか?すごいですね」


「そのくらいやらないと最初は要領がつかめないんだよ。
自分がどこでダメだからアポイントが取れないとかがね。」



そういうと佐々岡さんはタバコを吸いにベランダに出ていった。


「1日150件かぁ」


正直僕は心が折れそうになった。

でもここで逃げたらあのいつもの自信が完全に失われ、
ダメ人間にまっしぐらになってしまうかもしれないという恐怖がムクムクっと起き上がってくる。

「まずはやってみないとわからない。」


そう自分に言い聞かせて、テレアポを再開する。

30件ほどかけても全然取り合ってもらえない。


「何がいけないんだろうか」


それを一旦考えることにした。

あーでもないこうでもないと色々とトークを試行錯誤しているうちに、
100件目くらいだったろうか。


アポイントがついに取れた。
僕は飛び上がりそうな気持ちで佐々岡さんに報告した。



「アポイント、1件取れました。来週行ってきます!」



すると佐々岡さんはクールな表情で、

「おめでとう、行くときは契約書忘れないでね」


なんだよ、せっかく記念すべき1つ目のアポイントが取れたっていうのに褒めてもくれないのか。


でも1つ成果が出たのは嬉しかった!


次の日も引き続きテレアポをした。
佐々岡さんの言う通り、
一日150件かけると1,2件はアポイントが取れる。


僕は1日1,2件のペースでアポイントを取っていった。

そしてアポイントが取れた会社に訪問にも行った。

しかし、売れなかった。


電話でのアポイントは取れるのだが、
訪問しても一向に売れない。

佐々岡さんに相談しても

「自分で工夫してみな」
としか言ってくれず、
助けてくれる人が誰もいなかった。



そんな中僕は必死にテレアポと訪問を繰り返して、
気づいたら3か月が経っていた。



約3か月間、僕は毎日電話をかけ、訪問を繰り返した。

しかし1件も売ることができない。



この仕事をやる前にどういう報酬体系にしようかを佐々岡さんと話し合ったとき、
僕は威勢よく、成果報酬でやります、と言っていた。



成果報酬とは、すなわち、受注できたらその件数に応じて報酬をもらうということだ。


0件だと当然もらえる報酬は0である。
僕はこの3か月間、無給で仕事をしていることになる。


貯金も10万円を切った。
このままだと本当にまずい。


でもここで辞めるのは逃げになるかもしれないし、
せっかく声をかけてくれた佐々岡さんにも結果が出せずに辞めるなんて申し訳ない。


いろんな感情が押し寄せてきて、僕は精神的につぶれそうになっていた。




「今日も訪問行ったけど、断られたなぁ」



僕は渋谷の街で下を向きながら帰り道を歩いていた。

これがずっと続いていくのだろうか。
出口はあるのだろうか。


そう考えると思考がネガティブになっていくのがわかる。



『あ、そういえばこの近くに大塚さんのオフィスがあったな!』



大塚さんとは、
僕が社会人になりたての頃に、
どこかの交流会で出会った財務のコンサルタントをしている人である。


その交流会で色々と話を聞かせてもらい、
2,3回ご飯にも連れて行ってもらった。


ソムリエの資格も持っており、
立ち振る舞いから何から何までスマートな方だ。



『ちょっと挨拶がてらオフィスに行ってみようかな!?』



急に思い立った僕は、
近くの店で手土産を買い、アポもとらずに事務所に向かった。



事務所に着くと、
幸運なことに大塚さんがいた。



「おー!久しぶり!元気だった??」

大塚さんは快く迎えてくれた。


「とりあえずそこに座りなよ!」



僕は買ってきたお土産を渡して
近くの椅子に座った。



「どうしたの急に?」
と大塚さん。


「いや、あのちょっと今仕事で壁にぶつかっておりまして、
その相談をしたくてつい寄らせて頂いたんです。」


「おーそうかそうか!どんな内容?」


僕は今の状況を簡単に話した。



うなずきながら聞いていた大塚さんは、
「なるほどね、誰かに相談するとか、早く落ち着いて考える時間をとればよかったね」


と言った。


「そうですね、、日々に忙殺されていて。。。」


「人は日々に忙殺されると視野が非常に狭くなる。
そしていつの間にか時間が過ぎていく。
落ち着いて振り返る時間を取ることが大切だ。」


「はい、最近は必死で振り返ることを忘れていました。」



「よーく心の声を聞くんだ。何と言っているか。そして、何を求めているのか。
今の気持ちを整理してみるんだ。」


「整理?整理はどうやってするのがいいでしょうか?」


「今の気持ちを全て紙に書き出してみるんだ。
それを冷静に眺める。
その後、どうするのがいいかをまた全部書き出す。
ちょっとヒントを言うと、君は独立したんだろう?
だったら仕事を一つしかやってはいけない、
一社でしかやってはいけないという制限はないよね?
それを頭の片隅に入れながら書いてみな。」




僕は言われたとおりに紙に自分の今の感情を書き出してみた。



佐々岡さんに誘ってもらったのに結果が出せず申し訳ない。
結果が出せない自分が情けない。ふがいない。
正直、辞めたい。
毎日つまらない。
成果を出したい。そうすれば自信がつくのでは?




予想通り、ネガティブな言葉が並んだ。
一つ一つの言葉に僕は向き合った。


結果が出ないことに対して逃げたくはない。

でも現実問題、稼げないと生活ができなくなるという、いわば生命の危機だ。


バイトをするという選択肢はあるが、それは最後の手段と決めている。

どうしよう。




僕はさらに大塚さんに聞いてみた。
「今、知り合いの方の会社で営業をしているのですが、
全然成果に結びつかないんです。」


「さっきも言ったように、
宇田川君はもう個人事業主なのだから、
一つの仕事だけしかやってはいけないという制約はない」


「それはわかっているのですが、
それだと逃げている気がして、なんか罪悪感を感じるんです。」


「確かにわかるよ。今宇田川君が考えていることは逃げかもしれないってことだよね?
でもね、罪悪感を感じるからという理由で、一文無しになる?
今はそんな悠長なことを言っている暇はないのではないんじゃない?
貯金も底をつきかけているんでしょ?」


「たしかにそうですね。」


「必ずしも1つを選らばなければならないなんて誰が決めた?
まずは自立するためにどうすればいいかを考えるべきと思うよ。」




おっしゃる通りだった。
まずは生きること、自分で自分の面倒を見ることができるようになること。


全てはそこからだ。



今まで固定観念から物事を考えていた気がした。


僕はもう正社員でもないし、誰からも制約されることもないんだ。
まずは前に進むことを考えよう。




僕は自分ができることを考えてみた。
隅谷さんの【自分を知る】レクチャーで書き出したことを思い出した。


”僕が持っているリソース(資源)は何か?”
”強みは何か”
”どんな価値を社会に提供できるのか”

これを徹底的に振り返った。




しかし、
僕は社会人になって半年しか会社にいなかった。
だから世間も何もよくわからない。。。
スキルもほとんどない。
お金もない。貯金がなくなる寸前だ。
すごい人脈ももちろんない。



社会人として半年しか働いたことがないから
強みもよくわからない。




・・・・何も出てこない。
・・・・何も価値を提供できるものがない。




僕は何も持っていないことに改めて気づいた。
それと同時に、
独立前の不安が襲い掛かってきた。

「僕は何もできないのではないか」
「社会に役に立つ人間ではないのではないか」


あーこれから僕はどうしたらいいんだろう・・・・・。




僕は何も持っていないことに改めて気づいた。
それと同時に、
独立前の不安が襲い掛かってきた。


「僕は何もできないのではないか」
「社会に役に立つ人間ではないのではないか」



あーこれから僕はどうしたらいいんだろう・・・・・。



これが本当の”途方に暮れる”ということだ、と体感した。





何か糸口はないのか・・・・・?



僕は、少しでもポジティブな思考に戻るように
自分に言い聞かせ続けた。


『落ち着けオレ、冷静になろう。何かきっとあるはずだ』




僕は瞑想をしてみることにした。
いまだに瞑想とは何か?よくわかっていないが、
以前かった本の通りだとしたら、


「答えは自分の中にある」


ということは、今の状況の答えも自分の中にあるということだ。



僕は自分を落ち着かせるためにも瞑想を開始した。






雑念を受け流し、徐々に落ち着きが出てくる。








やがて呼吸に意識を向けていくと、
頭が空っぽになっていくのを感じた。







・・・あ、、これだ!








僕はひらめいた。








僕はお金も人脈もスキルもない。

まさに空っぽだ。



でも、空っぽだからこそ、怖いものはないんだ!



空っぽだからこそ、これからどんどん吸収していけるんだ!






何も”ない”ことが強みになるのではないか!??




僕は思わず瞑想を中断し、紙に夢中で構想を書きなぐっていった。




何もないということは、武器になるのではないか?
これから色々と知っていけばいい。



何も知らないなら聞けばいい。





良くも悪くも僕は、

世の中で何が求められているのか?
何か価値になるのか?

一切検討がつかなかった。



だったら、それを聞いて回ればいいのではないか??

聞いて回っていくうちに、何か糸口がつかめるのではないか??




なぜかフツフツとやる気が出てきた。




『窮地に立たされると、何かアイデアは出てくるものだなぁ!』




そうだ、困っていることや必要としていることを素直に聞いて回ればいい。
そうしたらニーズがわかるし、いろんな人とも出会える。


そして、相手が困っていることで、自分ができることがあればそれが価値なのではないか?



何もできないと言っても、肉体はある。
一応大学でパソコンは使ったことがある。
日本語がしゃべれる!笑




とにかくまずは、
自分が役に立てることが何かを聞く意味でも
片っ端から聞いてみよう。





僕は家にあったタウンページを取り出し、
片っ端から電話をかけ始めた。




「もしもし、突然の電話ですいません。
私、宇田川と申しまして、困っていることや手伝ってほしいことがあったら
お手伝いして回っているんですが、何か今困っていることはありますか?」




「え?なに?営業??」



「あ、営業といいますか、
自分、22歳で独立したばかりなんですが、
こんな自分が何かの役に立つかなと思って聞いて回っているんです。
自分にもできそうで、何か困っていることがあったらぜひやらせていただきたくて。」


「あー便利屋さん?何をいくらでやってるの?」


「まぁそんなところでしょうか。
報酬は、お手伝いさせていただいた後に、
それ相応と判断した金額をいただけたらうれしいです。
もし見合わないと思ったらタダでもやります。」




こんな調子でどんどん電話をかけていった。



当然あやしがってすぐに電話を切られてしまうこともザラにあった。



でも中には、面白がってくれる人もいた。



30件に1件は電話口で話をしてくれ、
100件ほどかけると1件は、


「じゃあとりあえず来てよ」


みたいな感じで訪問できるようになった。







最初にアポイントが取れたのは古い商店のおばあさんだった。

事務所の模様替えがしたいが、年寄りばかりしか事務所にいないので、
どうにも重いものを移動できないから手伝って、とのことだった。




冷静に考えれば、少しの力さえあれば誰でもできる作業だが、
当時の僕は、とにかく自分で仕事を獲得する経験が欲しかった。


また、世の中にはどういう困り事、ニーズがあるのかも知りたかったため、
一つ一つが学びで新鮮だった。




そのため、喜んでおばあさんの事務所に行って手伝った。



平日の午前中、
事務所に到着すると、半信半疑の顔をしたおばあさんが待っていた。


当然である。
いきなり電話をかけてきて、
「なんでもやります!」

という意味分からない若者が来るのだから、
もしかしたら頭のおかしい人かもしれない。。。。


と僕でさえ思うだろう。



そう思った僕は、なるべく怪しまれないように、
ありったけの笑顔で信頼感を出そうと誠実な対応を心がけた。




「こんにちは。はじめまして、突然の話に快く対応くださりありがとうございます。」
と僕は深々とお辞儀をして、なんとか信頼してもらおうと頑張った。



「あーこんにちは。大した仕事じゃないけどとりあえず中へどうぞ」



「ありがとうございます!」



中に入り早速指示通りにものを運んでいく。
黙々とやっていると、おばあさんが、


「なんで君は急に電話をかけてこんなことをしようと思ったんだい?」


と聞いてきた。


「あ、えっと、実は3ヶ月前に会社をやめて
個人事業主になって知り合いの会社で働き始めたのですが、
社会を知らなすぎることに気づいて、
だったら身をもって何が世間で困っているのか、
その中で自分が何ができるのか、を模索するために
このように自分ができる仕事はなんでもやらせていただこうと思っているんです。」



「へー変わった若者もいるもんだねぇ」



「あ、はい・・・頑張ります」


と微妙な返事をしつつ、淡々とものを運び続けた。



するとおばあさんも徐々に心をひらいてきてくれたのか、
お茶を出してくれたり、お菓子をくれたりと優しくなってきた。



そうすると会話が弾んでくる。


「22歳で会社やめるなんて何かあったの?」


「いや、特に不満はなかったのですが、
自分のやりたいことに向き合った結果、
まずは自立したい、という思いが強くて
自分で何か事業をしてみたいと思ったんです。」


「へー、大したもんだねぇ。でも世の中そう甘くはないよ」


「はいもちろんです。
なので、今は修行ということで、なんでも試してみようと思っています。」


「そうかい、それは頑張ってね」

「ありがとうございます。」



そんなこんなしているうちに
事務所の模様替えが終了した。



「ご苦労さんでした。助かりましたよ。」


「いえいえ、こちらこそやらせていただいてありがとうございました。」


「それでいくらお支払すればいいの?」


「あ、それは決めていただいて結構です。」


「んーそうだねぇ、じゃあ1時間手伝ってもらったから、交通費込みで3000円はどう?」


「あ、ありがとうございます!」



初めて、自分で営業をして、対価を頂いた。

自分が誰かの役に立って、
その対価として報酬をもらえたということが、
涙が出るほど嬉しかった。



正社員だったときは、与えられた仕事があって、
それをやって、でもその業務ともらう給料はそこまで連動していなくて、
とりあえず給料日になったら振り込まれる、
という流れだった。


そのときには味わえなかった、なんとも言えない達成感と充実感でいっぱいになった。



たかが3000円だったが、自分にとっては大きな価値ある3000円だと思った。




やっと”独立”のスタートが切れた気がした。





そして、この日は午後も依頼があったので、
何とも言えない満たされた感を感じながら
表参道の依頼主のもとへ向かったのだが、、、







次回へ続く・・・

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新卒7か月で会社辞めても、複数の会社オーナーになれた話⑤【人生の師匠編】

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