新卒7か月で会社辞めても、複数の会社オーナーになれた話⑤【人生の師匠編】

前話: 新卒7か月で会社辞めても、複数の会社オーナーになれた話④【初仕事編】
次話: 新卒7か月で会社辞めても、複数の会社オーナーになれた話⑥【大富豪編】
午前中に初めて自分で取った仕事で報酬をもらうことができ、
勢いそのままに午後に約束している依頼先に行った。



その会社は表参道にあった。

「ピンポーン」

とチャイムを押すと、若い女性が出てきた。




「あ、あの○○さんと14時に約束した宇田川です。」


「あ、そうですか、ちょっと待っててくださいね。」


と言っていったん奥に入っていった。



しばらくして中年の男性が出てきた。


「あー君が宇田川さんね」

「初めまして!宇田川と申します。」

「じゃあこっちへどうぞ」

「はい」


通されたのはオフィスの中にあるMTGスペースだった。

「履歴書をもらっていい?」

「え、履歴書ですか?!」

「そう、だってキミ面接に来たんでしょ?」

「あ、いえ、御社で困っていることがあったらお手伝いをさせて頂こうかと」

「へ?だからアルバイトで雇ってほしいんでしょ?」

「あ、いやそういうのではなくて・・・」

「なに?どういうこと?」

「あの、お電話でもお伝えしたかと思うのですが、
独立をして今、いろんな方々に困っていることを聞いて回って、
その中で自分ができることがあればやらせて頂いていまして。」



「なにそれ?ボランティア?」


「いや、結果的に価値がないと思えば報酬を頂かなくても結構ですし、
価値を感じて頂ければ報酬を頂いたりしています。」



「なんだそりゃ?フリーターか?」



「いえ、フリーターとも違うんですが・・・・」



「なんかよくわからないなぁ!そんなことしてたら食ってけないぞ?
ちゃんとした仕事をしないと将来大変だぞー」



「あ、はい・・・」



「うちでアルバイトする気がないなら帰って」



「はい、すいませんでした。」



5分ほどで会社を後にすることとなった。


午前中の充実感からうって変わって、
一気にテンションが下がった。



『ぼろくそに言われたな。。。
相手はアルバイトの面接かと思ってなぁ。
電話口での伝え方が悪かったかな。。。』




それにしても、今のやり方を否定された気がして、
ひどく落ち込んだ。


たしかに、会社を辞めて何もスキルがない22歳と聞けば、
フリーターとしてバイトを探していると取られても無理ないなとも思った。


そして、傍から見れば
やっていることは日雇いのフリーターのようなものだ。



でも、フリーターと一緒のくくりになってしまうのは嫌だったし、
何とか「事業主」として仕事がしたかった。



「オレのやり方は大丈夫なのか?
これでもし何も方向性が見えなかったらどうしよう。」



またまた弱気の自分が顔を出し始めた。



でも、初仕事をさせてもらったおばあさんには感謝されて
おまけに報酬までもらえたのだ。



もう少し頑張ってみよう。




何とか気持ちを奮い立たせて、タウンページを見て電話をかけ続けた。



やはり疑われたり不思議がられるが、
50件に1件ほどはアポイントが取れ訪問できた。



整体院のビラ配り、
引っ越しの手伝い、
犬の散歩代行、
バーベキューの設置手伝い、
海岸のゴミ拾い、
買い物代行、
・・・・・


100種類以上の仕事をやった。

大変な仕事や比較的楽な仕事、色々と多種多様なことをしていった。



でも、この中で共通していることがあった。




1つ目は、報酬をくれなかった人はいないことだ。


多い少ないはあったが、
必ずみんな、お礼に報酬をくれた。



2つ目は、
「ありがとう」

という言葉をかけてくれることだ。


最初は変な人を見るかのようにしている人も、
最後はお礼を言ってくれる。




これは僕にとって大きな発見だった。



人の役に立つということは気持ちいいこと、
そして、金額は少なくても報酬をもらうことで
世の中に貢献している感があった。



これを続けていれば何かがわかっていくかもしれない。



そんなことを思い始めていた。







僕は引き続き、電話をかけてアポイントを取ることを続けていた。
今月で3ヶ月目だ。


今日訪問するのは、PCがよくわからないから手伝ってほしいという男性。


会社は表参道にあった。


以前、表参道の会社に行ったときに、
アルバイトの面接と勘違いされて、
色々とボロクソに言われて追い出された経験があったので、
何となく表参道に行くのに気分が乗らなかったが、
その会社まで地図を頼りに行った。



チャイムを押すと、60歳くらいの男性が出てきてくれた。


「あーどうもどうも初めまして!」


と笑顔でその男性は迎えてくれた。


僕も気分が若干下がっていることを悟られまいと、
「初めまして、宇田川と申します。突然のお電話にも関わらず有難うございます!」


と元気よく挨拶をした。


「とりあえずどうぞどうぞ」


と男性は社内に案内してくれた。



応接間のようなところに通されて座っていると、
アシスタントのような女性がお茶を出してくれた。

お礼を言って、しばらく座って待っていると、
先ほどの男性が笑顔で現れた。



「改めて初めまして、野田です。」


と名刺を丁寧に差し出してくれた。
そこには代表取締役社長と書いてあった。社長だ。



僕は思わず立ち上がって、
「あ、有難うございます!
すいません、名刺を作っていないもので、申し訳ありません。」


「いいよいいよ、まぁとにかく座って。
今22歳って言ってたよね?今は仕事は何をしているの?」



「はい、22歳です。
仕事は、お電話させて頂いたように、
何か困っていることがあって、それが自分にできそうであれば、
手伝わせて頂いております。」



「へー面白い活動しているんだね。それは何のために?」



「3か月前に会社を辞めまして、独立をしたんです。
でも、独立をしてみて、社会でどんなことが求められているのか、
一切わからないことに気づいて、まずはそれから理解しようと思い、
社会のニーズと言いますか、それを体当たりで勉強しているところです。」



「なるほど。面白いね!じゃあ今は調査中ってわけだ。」



「はい、世の中のニーズがわかっていけば、
その中で自分にもできそうなことがあったら事業にしてやりたいと思っています。」



「その考え方は素晴らしいね。
私はこの会社を26歳の時に立ち上げたんだ。
今年で35年目になるかな。
でも立ち上げた当初は、まさにキミみたいなことをしていたよ。」



「え、そうなんですか?
僕みたいなことってこんなことでしょうか?」



「こんなことって笑。そうだよ。
僕はデザインに興味があったからデザイン関係の仕事をしたいと思って
最初地方の小さいデザイン会社に20歳で就職したんだ。
最初のころは必死だったというのもあって、
一心不乱に仕事をしていたんだ。

でも3年くらい経った頃、ふと、
このままでいいのかな?
と思った。


というのも、もちろん地方が悪いわけではないんだけど、
お客さんも決まっているし、特に会社として新しいこともしないし、
毎日同じことの繰り返しだったんだ。


もっと広い世界を見てみたい、
もっと成長したいと思って、何かできないか探し始めたんだ。


そして24歳の時、東京で勝負したいと思った。それですぐに会社を辞めて東京に来たんだ。」



「へーそうなんですね!すごい決断ですね。」


「いや、大したことないよ、ははは。
でも、いきなり東京に来ても何をすればいいかわからない。
東京でデザイン会社を探して就職することも考えたんだけど、
自分がどこまでできるかこの東京で試してみたかったんだ。
だからそれこそ君と同じように、片っ端から会社を回ってデザイン関係の仕事がないか
聞いて回ってたよ。」



「そうなんですね!それがこんな大きな会社に成長させ、すごいですね。」



「まぁ40年も経てばね。
当時私がしたことは、電話もせずにいきなり訪問することをしていたんだ。
いきなり訪問するわけだから門前払いが当たり前だったよ。笑

それでも何十件何百件回っているうちに、
面白がってくれるもの好きの人もいてね、
ちょこちょこと仕事をもらい始めることができたんだ。


せっかくもらった仕事だからとにかく一生懸命やったね。
最初は値段関係なく仕事をしてたな。笑

それで徐々に信頼をしてもらい始めて、
大きな仕事も任せてもらえるようになったんだ。」



「そうなんですね!一緒にするのはおこがましいですが、
まさに野田さんの26歳の時の状況が今の自分に重なります。」



「そうだね。昔の自分を見ているようだよ。
あ、それはそうと、お願いしたいことがあるんだがいいかな?」

思い出したように野田さんは言った。



「はいもちろんです!そのためにお邪魔させて頂いたので!」



「私は今年で65歳になる。
いつ死んでもおかしくない年齢だ。

でもこの会社は存続させたい。

だから私がいつ死んでもこの会社が存続できるように、
何か残せないかと思ったんだ。


そして私が40年間でやってきたことを文書にまとめたいと思ったんだ。」



「いいですね」
僕は感心するように相槌をうった。



「しかしだ、手書きにすると紙が色あせていってしまったときに読めなくなってしまう。
そしてなくしてしまえば終わりだ。

でもPCを使ってデータとして残せばそのデータを消さない限り大丈夫だろう?」


「はい、そうですね。」



「でも私は老眼でPCをいじるのも一苦労なんだ。
だから、私が横で話すからそれを君がPCでタイピングしていってほしいんだ。」



僕は、この会社の歴史や野田さんのことを知りたくなっていたので、
余計に熱が入って答えた。

「そういうことですね!ぜひやらせてください。
PCは学生時代に使っていましたし、レポートなども書いていたので大丈夫です。」



「そうか、それではお願いしよう」




僕は野田さんの話を聞き、
時々相槌を打ちながら黙々とタイピングをしていった。






2時間ほどやっただろうか。


時計は19時を回っていた。




「ご苦労さん、そろそろお腹も減ったし今日はこれで終わりにしようか。
できれば、また来てやってほしいんだがどうだろう?」



「はいもちろんです!」



「おーありがとう。では今日はこの辺にして、
良かったら夜ご飯でも食べに行くか?」



「はい、ぜひお願いします!」

もっと野田さんから話を聞きたいのと、
独立してから3か月間で稼いだのはたったの3万円ほどだったので、
最近は一食200円くらいに抑えていたので、即答した。






野田さんは近くのお店に連れて行ってくれた。


そこはこじんまりとした洒落たイタリアンレストランだった。

お店のドアを開けると店員が寄ってきた。


「あー野田さんいらっしゃいませ!」



野田さんが笑顔で対応している。

行きつけのお店なのだろうか?



野田さんと僕が席に着くと、
さっきの店員が水を持ってきてくれた。

そして、
「今日はどんな感じにしましょう?」



と野田さんに聞いた。
「んーそうだな、今日は何か美味しいもの入ってる?」



「そうですね、今日は真鯛が入ってますね。
あとはメニューには載せてないのですが、朝に根菜類が獲れたので、
産地直送で送ってもらっていて、それをお出しできます。」


「おーいいね。それ出してもらってもいい?」


「かしこまりました。」




僕はこのやりとりを呆然と聞いていた。


「こんなやり取りができたらかっこいいな・・・」





「この店は10年前くらいから来てるんだよ。
比較的小さいお店だけど、シェフがイタリアで修行して
美味しい料理を出してくれるんだよね。」

あっけにとられた顔をしている僕に野田さんが優しく教えてくれた。



ちょっとすると店員が白ワインを持ってきて注いでくれた。



「じゃあ乾杯」


久しぶりのお酒だ。


ここ3か月間、お酒を一切飲んでいなかった。
毎日電話をしてアポイントを取り訪問する日々だった。



野田さんが
「宇田川君は何で独立したの?」


『あ、野田さんはちゃんと僕のことを独立として認めてくれている・・・・!』


以前、表参道の会社に行ったときに、
自尊心を折られたので、
「独立している宇田川君」と言ってくれたのは嬉しかった。
(結果はまだ出していないが・・・)




「そうですね、一番最初に独立を考えたのは大学生のころです。
ある人気の授業があって、
毎回毎回社会の第一線で活躍している人が登壇し、
講義をして、その後にディスカッションをするという内容でした。

その授業に出る前は、漠然と、
世の中の成功者と言われる人は、
大きい会社に入って早く出世した人だと思っていたんです。


でもその授業で呼ばれて話をしている人たちの経歴を見ると、
全くそんなことなく、
26歳までニートをやっていたとか、
30歳までに20個以上の転職をしたとか、
一般的にはダメだと言われているようなことをしている経歴の人がたくさんいました。


それに僕は驚き、その人たちの人生に興味を持つようになりました。

もっと知りたいと思う人は、
授業が終わった後に直接壇上まで行って名刺をもらい、
すぐに名刺に書いてあるアドレスに連絡をして5分でも10分でもいいから
会ってもらえないか打診しました。」


「ほーそうなんだ。そのころから宇田川君は行動力あったんだね、素晴らしい」



年齢が倍以上も離れていて、
どこの誰かもわからない僕の話を一生懸命の聞いてくれ、
おまけにほめてくれる野田さんに僕は感動していた。



「それでそれで?」
と野田さん。



「あ、はい!それで名刺に書いてあるアドレスに連絡して会いに行きました。
そこでその方の人生について話を聞きました。
破天荒な人生の方、強烈な目的をもって仕事をしている方、穏やかに自然体で日々を過ごしている方など様々でした。

そのような話を聞いていくうちに、

『人生、なんでもありなのかもしれない』

というような、なにかこう、
自分の固定概念がゆっくりとゆるくなっていくような感覚になったんです。」



「ほうそうなんだね。」
と野田さんは楽しそうに僕の話を聞いてくれている。





「はい、それでたまたまかもしれませんが、
その授業で話をしてくれる方々の大半が経営者だったんです。
どなたもイキイキとしており、自分らしい人生を送っていると感じたんです。
なので、その時に僕は経営者にあこがれ始めました。」



「そうなんだね、貴重な体験をしたね。
その経験が今の宇田川君の最初の動機なんだね。」




「はい。そんな感じです。」


自分でもここまで明確に言葉にしたことがなかったので、
改めて自分が思っていたことを再確認できた。



そして、こんなに自分がスラスラしゃべれるのも、
野田さんの聴き方がすごいからだと話し終わって感じた。




野田さんは、上記にも書いたが、
約40年も会社を続け、年商100億円の社長だ。


そんな社長から見ると
自分なんて足元にも及ばないはずだ。


それなのに僕の話を真剣に楽しそうに聞いてくれている。



僕はこのことに気づいて一人で感動していた。
それと同時に疑問にも思ったので、思い切って聞いてみた。



「野田さん、今ふと思ったことなんですが、
何で野田さんの足元にも及ばない僕をご飯に連れてきて頂いて、
おまけに野田さんからしてみたら大したことない僕の話を真剣に聞いてくれるんですか・・・?」



野田さんは面白いものを見るかのように僕を見て、ニヤッとした。

「はっはっは!なんだねその質問は笑。」


そしてすぐに野田さんは真剣な顔つきになった。
「宇田川君のことを大したことないなんて1ミリも思っていないよ?
そして人間関係に上も下もない、すごいもすごくないもない。
誰からも学ぶことはあるものだ。
僕は宇田川君から学ぶことが必ずある。
そして宇田川君は僕から学ぶこともあるだろう。
ただそれだけだよ。」

そういうと野田さんはグラスに入った白ワインを飲み干して、
店員さんに赤ワインを持ってくるように目配せをした。



僕は、ちょっと混乱して、
「そうなんですか!?
野田さんが僕から学ぶことなんてあるんでしょうか?
僕はスキルもお金も人脈も何もありません。
僕は何も持っていないと思うのですが。。。」



「そんなことは全くないよ。
よく、大人が赤ちゃんから学ぶという話はよくある。

赤ちゃんは言葉通り、まだ何も知らないし言葉もしゃべれない。
でも、その赤ちゃんを見た大人が純粋さや無邪気さ、笑顔の大切さなどを
学び思い出すきっかけをくれたりするだろう?

誰でも必ず何か相手に提供するものは持っているものだ。
だから誰からも学べるんだよ。
そうすると、人は謙虚になる、相手を尊重することができる。
そうすると人間関係が上手くいき、楽しくなってくるものだよ。」




僕は今までそんな考え方をしたことがなかったので、衝撃を受けた。



世間で言われる社会的に成功している人が上で、
そうでない人が下という価値観を無意識のうちに持っていたことに気づいた。



別にお金を持っている人が偉いわけではない。
権力や地位がある人が偉いわけではない。


そうではなく、皆人としてフラットで、
お互いに学びあうことができる。



僕は、野田さんからもっと話を聞きたいと思った。

続きのストーリーはこちら!

新卒7か月で会社辞めても、複数の会社オーナーになれた話⑥【大富豪編】

著者の康晴 宇田川さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。