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ガソリンスタンド経営者だった夫がガンを患って木工作家になっちゃったお話

Image by Olia Gozha

このお話はタイトル通り、ガソリンスタンドとガスの会社を経営するお家に嫁いだはずが、後継者の夫がガンになり、廃業して木工作家になっていく様子を嫁の立場で綴るお話です。

我が家は今年で結婚20周年。

節目の記録として綴りたいと思います。


■結婚そして発病

わたしたちが結婚したのは1999年。

夫41歳、わたし23歳の18歳差。

夫が所属していた社団法人にわたしが事務職として勤めたことで出会いました。


ガソリンスタンドの経営者でありながら、多摩美術大学出身という経歴。

普段はつなぎの作業着を着て走り回ってるのに、端々に感じられる美的センスや技術、そして何より優れた描画力。

年齢差もあり、わたしにないものを持っている夫を凄いと思いました。

わたしの中では、いまでも夫は「いちばん絵の上手な人」ですが (これ言うと恥ずかしいから言わないでといわれます笑) 、若かったわたしには、それがとても魅力的に見えました。


当時、夫はガソリンスタンドスタンドとガスの会社の経営者。

夫の父が社長、夫は専務。

祖父の代から続く老舗でした。 


ガソリンスタンド業界がだいぶ厳しくなって、セルフのスタンドも出てきている頃でした。


会社は年々経営不振になっていて、夫は自社でありながら、長年にわたり古株の社員との折り合いが悪く、会社の将来に対して消極的でした。


夫の中では、いずれ近い将来ガソリンスタンドは閉めるという気持ちが固まっていました。


結婚の挨拶の際、わたしの母親に

「会社はいずれ閉めるかもしれません。苦労をかけるかもしれません。必ず幸せにするとは言えませんが、ふたりでいたら幸せでいられると思います」と言ったほどです。


隣で聞いていたわたしは、

え?幸せにするって言ってくれないの?と思いましたが(笑)


当時の夫の年齢を超えた今のわたしには、その夫の言葉の誠意さがわかります。


わたしの母親は夫より7つ年上。

そう、わたしより母との方が年齢が近い。


年齢の近いわたしの母に、わたしとの結婚の承諾を得るのはかなり言葉を選んだんだろうと思います。


それでも若かりしわたしは、なんとか夫にやる気を出して欲しい! と願っていました。夫の祖父が立ち上げて、夫の両親が守ってきた会社をわたしたちの代でも守りたい!と純粋に願っていたのです。 


2人の生活は、会社の事務所が入る小さなビルの4階、夫の暮らしていた部屋で始まりました。


階下には会社の事務所があり、社員が出入りする環境。


わたしは結婚したら夫の会社に入るものと思っていましたが、独身の頃から引き続き社団法人の事務職をしていました。


夫が苦しんでいた古株の社員との関係の中に、わたしを巻き込みたくないという配慮でした。


夫の両親は会社のビルと棟続きの家に住んでいて、2世帯住宅のような暮らし。


いろんな人がまわりにいる新婚生活でした。


結婚して9ヶ月の2000年6月。


夫がガンだとわかりました。


その年の春ごろから睾丸が大きくなってきていたものの、痛みもなにもなく数ヶ月放置していました。


やっぱり気になるんだよね、と夫が言うので、知り合いの内科のお医者さんに軽い気持ちで話したら、すぐ泌尿器科へいくよう勧められました。


その言葉に従い受診したら、約1週間後には総合病院の手術台の上にいたのです。


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