20歳目前の愛猫の死、理想的に見送れた話 ~看取りのプロが自分のペットとどう向き合ったのか~後編

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前話: 20歳目前の愛猫の死、理想的に見送れた話 ~看取りのプロが自分のペットとどう向き合ったのか~中編

 

体力がないのに、全力で尻尾をふる姿には、グッとくる(涙)。

 

手を握る度に、大きな幸せと深い愛を感じる。

 

とにかく、ありがとうしかない。この1週間、何時間手を握り続けたか。

 

もう、手足の先は冷たい。肉球の色も白くなってきている。血圧が下がってきている証拠、お迎えが近い証拠。

 

そんな中、ゆっくりゆっくり私のぬくもりを伝える。今日も呼吸しているミーシャちゃん

 

ありがとうしかない。


 

2018913日:日記より     

朝から、生気がなくて、だけど好きなご飯はガツガツ食べる。いつもよりは少なかったけど・・・・。

 

そして食べ終わるとグッタリ。昨夜は、天然カンパチを8切れくらい食べたのにな。

 

でも、美味しいカンパチを食べさせることが出来て良かった。

 

明日は、ホタテ貝柱のお刺身買ってくる予定だったけど、午後から呼吸が浅くなって、目の光が薄くなってきた。

 

私の胸の上に乗せて、一緒にお昼寝。少し嘔吐したら、便臭のする吐物で、少し苦しそう。

 

嘔吐した時、一度クッションに寝かしたけど、いよいよな感じがして再び私の胸の上に。

 

そして15時頃、私の胸の上で静かに息を引き取った。

 

それでもしばらく抱き続けた。ひとしきり抱いたら、クッションに戻して綺麗にブラッシングして、毛玉をカットして旅支度。

 

火葬の手配をして、明日の夜に来て貰うことにした。それまでは一緒。

 

あと10日で20歳、922日生まれだった。生後2ヶ月で我が家に来て、ずっと一緒だった。

 

私は18歳で実家を出たので地球上で誰よりも長く一緒に過ごしたミーシャちゃん。

 

私はミーシャがいなくて生きていけるのか?だけど、ミーシャと共に生きた想い出は残る。それを胸に生きていこう。

 

悲しんでも、生きていけなくなるのも、ミーシャは喜ばない。ミーシャと共にいた時のように、私らしく幸せに生きることを彼女は願っているだろうから。

 

明日は8時から夜7時まで外出予定だった。昨日は半日外出だった。

 

予定のない今日、ジムに行くつもりにしてたけど、股関節が痛くてゆっくりすることにした今日、ミーシャは逝った。

 

いつ逝くかのタイミングは、ミーシャが決める。私に見られたくなければ、私がいない時を狙うはず。

 

だけど今日、私がいる時に私の胸の上で逝った。

 

そのタイミングを選んでくれたことが嬉しい。1日お留守番するのは嫌だったんだろうな。

 

先週金曜日からは、外出はほとんどしないで、側にいつづけた。昨夜は美味しいカンパチを味わえた。良かった良かった。

 

涙は沢山出るけれど、完璧なタイミングだったなと思う。

 

ミーシャちゃん、沢山沢山ありがとう~


 

葬儀のこと     

 私は訪問看護をしていた時、いつも患者さんのご家族に「葬儀については早めに決めておうた方が良いですよ」とアドバイスをしてきた。

 

大切なお見送りを、バタバタと急いで決めるよりも、どう見送りたいのか落ち着いている時にゆっくり考える方が、良いお見送りが出来るから。

 

だけど、ミーシャのことについて調べることは介護に必死で忘れていた。当事者とは、そういうもんなんだなーと実感。

 

 色々検索をしながら、どう見送りたいのか、今後どんな形でお参りしたいのかを考えた。

 

ミーシャの思い出は心の中に残し、骨を目の前に残すのはあまりしたくなかった。

 

また、今後も今の所に住む予定はない為、近くに埋葬してもらうのはお参りに来るのが大変になるなと感じていた。

 

合同火葬と合同埋葬というサービスを見つけ、お願いすることにした。

 

 引き取りは翌日の夜だったので、ゆっくりとミーシャを綺麗にした。患者さんのエンゼルケア(死後の処置)と一緒で、身体を拭いて、丁寧にブラッシングをして何度も撫でた。

 

腐敗を防ぐ為に、アイスノンやドライアイスを置くように言われていたのだけど、どちらも家にはなかった。水を入れたペットボトルを凍らして、それをタオルで巻いて身体の周りに置いて冷やした。

 

 都内から引き取りに来てくれた若いお兄ちゃんは、私の看取りまでの話を優しく聞いてくれた。

 

:「あと10日で20歳だったんですよ。私の胸の上で亡くなりました(涙涙涙)」

 

お兄さん:「長生きしましたね。なかなか直接立ち会うことは出来ないので良かったですね。仕事に行っている間に亡くなっていたという話を良く聞きます」

 

:「はい、本当に良かったです(涙涙涙)」

 

お兄さん:「僕が知っている限りですが、26歳という猫ちゃんがいましたよ」

 

:「すごい・・・(あと6年生きれたのかー。でもこんなに痩せて寝たきりで6年だったら可哀そうだったから良いか・・・)(涙涙涙)」

 

 最後にひと泣きして、ミーシャをひとしきり抱きしめてお別れをした後、ずっと寝ていたクッションごと段ボールの中に入ってもらった。

 

 他の動物たちと合同火葬され、私とミーシャが以前住んでいた近くの、相模川のほとりで眠ることになった。

 

2018915日: 日記より     

涙がとまらない。

 

悔いや後悔は全くない、やりきった。

 

やれることは、全部やった。

 

だけど、悲しい。淋しい。わかっていたことだし、覚悟してた。

 

だけど、悲しい。淋しい。

 

大事な友人たちに、淋しい気持ちを吐露した。わかってくれて、ただただ聞いてくれて、ある人は会いに来てくれようとしたり、旅行に連れて行ってくれようとしたり、みんなが優しすぎて一段と涙が出る。

 

みんなの愛が、ミーシャの愛があまりにも大きすぎて、偉大すぎて、ありがたすぎて涙がとまらない。

 

世界で一番大事な存在だったと、そこまでの存在だったと、亡くなってからその大きさに気づいて涙がとまらない。

 

そんなミーシャちゃんと出会えて、本当に良かった。

 

明日火葬される。お気に入りのクッションに寝たまま業者さんが運んでくださり、また優しさに触れた。

 

お気に入りの緑のモフモフクッションと一緒で良かったね。

大きな悲しみや喪失感に気付いた今回、私は苦しいけどちゃんと悲しい淋しいを感じることを自分に許可した。

 

びっくりするくらい泣いた。電車の中でも大粒の涙を流したし、家では嗚咽がとまらず頭痛がするくらいだった。

 

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