安本豊360℃ 歌に憧れたサッカー少年 Vol.40 「プロローグ」

前話: 安本豊360℃ 歌に憧れたサッカー少年 Vol.39 「360°」

豊とタケシは、もう20年来の音楽仲間である。


地元の喫茶店Tree Topでスタートした、3回目のマンスリーライブ「屋内路上」に、豊はタケシを呼んだ。


ふとした思い付きだったが、豊は「屋内路上」を、本当に自分の自由にやっていこうと思っていたので、気のおけない友人と一緒に、自分自身が楽しむつもりだった。

 



2nd LEGの「回遊魚ツァー」で東京へ行ったとき、関西の名前も知らないユニットに、お客さんたちは何も既成の期待をしなかった。


豊たちは、活動休止を決めた後だったこともあり、ただ純粋に自分たち自身が演奏することを楽しめた。


それが、豊たちにとっても、お客さんたちにとっても、あのライブが素晴らしく楽しいものになった理由だろう…豊は、そう思っている。


「自分自身が楽しむこと」


もともとはそこからスタートしたはずだった。


流れにのって、意気揚々と進むうちに、いつの間にか、期待される自分を演じるようになって、そんな「当然のこと」を見失ってしまっていた。

 



2019123日 「360°」のCDはリリースされた。


豊は、タケシを、Tree Topでのマンスリーライブ「屋内路上」の準レギュラーとした。


ユニットではなく、ソロシンガーが2人で自由に進める屋内の路上ライブ…回を重ねるごとに、豊もタケシも、それがだんだん面白くなってきた。


この企画、Tree Topから持ち出そう…そんな話にも発展して、豊の地元から少し北に上ったタケシの地元でも、同じタイトルでライブをすることになった。


こうなったら、全国展開も面白いんちゃう?


タケシとそんな話が盛り上がり始めると、豊は、一時止めていたビールを、また飲み始めた。


「俺、最近CD発売したところなんですけど、なんかまた新しいアルバム、作りたくなってきたんですよねー。」


「屋内路上」のライブの中で、豊は、そんなことを話すようにもなった。


Tree Topのオーナーの橋渡しで、海沿いのレストランで「屋内路上」を企画することにもなった。


リンゴ農園で、酒蔵で…さまざまな話が持ち上がる。


新しい曲も作り始めた。

 



僕は、今、豊と一緒に歌っていて、とても楽しいと感じている。


豊を見ながら、微笑まずにはいられない。


可能性は、いつだって360°開けている。


ここからが、豊の新章のプロローグだと、僕は思う。



END

ストーリーをお読みいただき、ありがとうございます。ご覧いただいているサイト「STORYS.JP」は、誰もが自分らしいストーリーを歩めるきっかけ作りを目指しています。もし今のあなたが人生でうまくいかないことがあれば、STORYS.JP編集部に相談してみませんか? 次のバナーから人生相談を無料でお申し込みいただけます。

著者のKeiko Nishiumiさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。