知らないうちに死にかけていたお話

物心ついてから両親に聞いた話ですが、僕は幼い頃に死にかけたらしい。徳島の海部町という漁村に生まれた僕は、周りの友達が全員そうだったように両親共働きで、小さい頃から一人で遊んでいた。近くにはお寺があってそこの小さな池に綺麗な鯉が数匹泳いでいた。そのお寺のすぐ横には裏山に続く登りの山道があり、畑を持っている近所の叔母さんはお寺の池を見下ろすようにその道を通って畑に通っていた。ある日、おばさんが畑仕事を終えてその道を下っていたら、下の方でバシャバシャと音がしたので何かと思って池の見える場所まで急ぐと、プカッと池に浮かんでいる子供を見つけた。大慌てで池まで走ってなんとかその子を助けたらしいのだが、それがこの僕だったわけです。そんな大事件にも関わらず、僕自身、その前後のことを全く覚えていないのです。もしかしたら本当に怖い記憶は、脳の中の鍵のかかった部屋に、勝手に仕舞い込んでしまうのかも知れませんね。

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