①デング熱に一人旅の途中でかかり、死の淵をさまよう

前話: アフリカのスラム街へ、女ひとり飛び込んだ5ヵ月で見たこと
今日は タイで経験した 予想外のハプニング
「デング熱」にかかった時のことを 書いてみます。
 
一年半の間 ずっと旅をしていた時のこと。
東アフリカ → ヨーロッパ → 東ヨーロッパ → 西アジア → 東南アジア へと、
旅がだんだん終わりに近づいて日本に戻る日も近くなってきた頃。
タイに着いたときには、いったん胸をなで下ろした。
タイには 水や食べ物が豊富にあって、公共交通機関もかなり発達しているし、
物質的な豊かさと 快適さのあることが無条件に嬉しい。
また、女性一人の旅でも まとわりついてくる人がいないのも ストレスがなくていい。 
馴染みある仏教国で、人々が柔和なことも手伝って、
久しぶりに 緊張感をいくらか解ける環境だった。

一年半も旅をしていると、旅が日常になって慣れるものだけど、
 移動が続いたり、厳しい環境での滞在が長くなると、
肉体的にも精神的にも疲れが溜まってくる。 
そんな長旅の途中でタイを「休息の場所」として決め
静かな島へ行って 自然の中でゆっくり休むことに。 
 
島では、朝 自然に目覚めるまで寝て、ゆっくり朝ご飯を食べて、
宿のオーナーや旅仲間としゃべって、ヤシの林を散歩して、
お昼ご飯を食べて、気が向いたら海で泳いで、
旅仲間と一緒に夕食を食べに行って、
夜暗くなれば特にすることもないから早く寝る……
という健康的な生活を送ることができた。

心身ともにエネルギーチャージを終えたところで、また移動開始。
島から船に乗り、バスに乗って
バンコクへ着いたその夜、
風邪のような症状が出てきた。
次の日の予定は決まっていて、移動の手配で忙しくなるため、
早めに部屋へ戻って休むことに。

そして次の日、目覚めて 起き上がろうとすると、体が動かない。
トイレへ行きたいけれど、ベッドから起き上がれない。
え? おかしいな……
どうやら極度の疲労で、体が思うとおりに動かなくなっていることに気づく。

この時、バンコクに長居するつもりはなかったので、
荷物置き場をかねた寝場所として 適当に決めた安宿に泊っていて、
部屋にはエアコンはなく、トイレとシャワーは共同。
それが、
一晩明けて この絶不調。

どう考えても この体調で 外出は無理。
外出どころか トイレまで歩いていくのが困難。
折しも、昨日着いたばかりのバンコクで、友達も知り合いもいない。
  
部屋のベッドで グッタリしている間に朝から昼へと時間が移り、
最上階の私の部屋は太陽が照りつける屋根からの熱で
気温がどんどん上がり、とんでもない暑さになることが判明。
 ああ、うだる……
少しでも涼しい部屋に移りたい。
普段なら すぐに部屋か宿を替えているけど、今は体調が悪すぎる。
 自分の荷物をまとめることも、荷物を持ち上げることも、無理。
力が入らない。
 
  宿の老婆(女主人)に体調の悪いことを伝えるが、英語は通じず、
客の体調や都合など興味なし。
部屋の移動も、宿を変えることも、
一人では できない状態になってしまたので、
仕方なく 日中は高温になる自分の部屋からはい出して
階下にある 廊下の床でグッタリ伸びていた私……
 けれど 誰も私に話しかけてくる人はいなかったのは、もしかしたら、
クスリでもやってヘロヘロになっている怪しい人に見えたのかもしれない
 

極度の疲労に加えて、頭痛、関節の痛み、嘔吐、下痢がいっぺんに襲ってきた。

 水を飲んだだけで吐いてしまう、こんな症状は初めて。
一体、私の体はどうなったんだろう……

夜になり、暑さが和らいだ部屋に戻ってベッドで眠る。
明日は良くなっていますように……。

次の朝 目覚めてみると、体調はさらに悪化していて、起き上がれない。
関節の痛みがひどく、下痢と嘔吐で体の中は カラ状態。
疲労も限界。
何とか体が持ち直してくれることを願って、また一日 ぐったり寝込む。
 
 その日の夜、部屋に一人横たわって自分の手を見てみると、
赤い水玉模様が皮膚に出ている
 え??? 何これ!!!
細かな 赤い水玉模様が、右腕にも、左腕にも、体中に広がっている。
これは……皮下出血!

なぜ? 

全身に出る こんな 皮下出血は 見たことない。
いったい私は どんな病気にかかったの?
 
 
これから どんな症状になるのか、
未知の病状に 恐怖が湧いてくるし、体調は悪化する一方。
 死ぬのかな……私。 
誰も知らないこの街で、
誰も私がここにいることを知らず、
誰にも知られず このベッドの上で死ぬのかもしれない。
 

あまりの体調の悪さと、
未知の病気にかかった恐怖と、
孤独。
​夢うつつの状態で
ずっとベッドから起き上がれないでいる私。
数日して不審に思った宿の人が、カギを開けて部屋に入ってくる。
ベッドに横たわった遺体の私が発見される。
荷物の中からパスポートが見つかり、日本大使館へ連絡が行く。
日本大使館から日本の両親へ連絡が入り、私は冷凍にされて日本へ空輸。
日本へ戻った冷凍の私と 両親が面会する……


ああ、こういう時にあきらめたら、死ぬのかもしれない
いけない! 今ここで死んではいけない。 
生きて 日本に帰らなければ
   
次の日、5m 歩くごとに うずくまりながら 病院へ行き、
出された診断結果は
「デング熱」。
 
診察してくれたタイ人の男性医師は
「タイでは時々あることですよ。薬を出しておきますからね」
と明るい対応。
 
その明るさに救われながらも、
高熱、体の痛み、極度の疲労、嘔吐は変わらない。
体の中がカラになったため、下痢はなくなっているけれど。

本来なら すぐ入院するべきところ、
宿に残してきた自分の荷物などが気になり、
結局また宿へ戻った私
 
後で調べてみると、
デング熱にかかって死亡するケースも
あり、
すみやかな受診と処置が重要であったことを知る。
 
次回
 ②デング熱にかかって薬が効かず、〇〇で回復した実体験
につづく……


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