Y Combinator Startup Schoolを通して学んだこと

先週expaty.coという海外ビジネスの知見と企業を繋ぐマーケットプレース的なサービスをローンチしました。このサービスを初めたきっかけはY Combinator Startup Schoolという有名なYコンのやっている本プログラムのPreプログラム的なオンラインプログラムがあり、それに参加したことです。ちょっと備忘録として感想を書いておきます。

SUSは10週間のプログラムで言語は当然英語、世界中から2万6千くらいのスタートアップチームが参加します。参加のバーは正直高くありません。たぶん、よっぽどのことがない限り参加することはできます。Yコンとして自社サービスのテストとブラッシュアップも兼ねているようで、オンラインMTGやフォーラムのツールの完成度はいまいちです。しかしながら、結果いうとかなりよくできた良いプログラムだと思います。

コンテンツのクウォリティはとても高いです。毎週アップされるYコンメンバーのレクチャービデオと比較的時間に都合が聞くグループディスカッション(5チーム前後の世界に散らばるスタートアップと自動的にマッチアップされる)、毎週の進捗アップデートを粛々と行っていきます。ある程度の根気は必要なので、結果どんどん抜けていきます。

参加費は無料で条件をすべてクリアすれば15K$のグラントが貰えます。気軽に参加できる部類のプログラムにしてはいい話だと思います。週トータル2時間くらいでできるので、仕事のペースづくりにもいいです。

特に役に立つのが毎週のグループディスカッションで時間帯によってはインドやパキスタン、マニラやシドニー等のチームと当たることもありますが、だいたいベルリンのチームと当たる率が最も高かったです。日本人は殆ど参加していないですが、面白いプログラムでどこでも参加できるのでやる価値ありです。

このプログラムを通して得た気づきがあるので書きます。

  1. メンバー構成はなんでもあり:ソロ起業家から5人くらいのファウンダーまで世の中で起業に取り組み人たちのスタイルは様々で、意外なことに半分がソロ起業家でした。僕の経験からすると5人は物事がすすまず、ビジネスとテックの2人が理想。プロダクトソリューションフィットまでは一人でもいいのかも?と思いました。(過去にいろいろ失敗もしてます)
  2. SEXYなアイデアに気をつける:ブロックチェーン、AI、IoTその他ヒューマニティでハイデザインでペイ・フォワードで…..僕も正直そういうの大好きでした。SUSやるまでは。そしてグループセッションでもキラキラのバズワードといけてそうな雰囲気を醸し出してるおしゃれな人たちがたまにいましたが、だいたいユーザー獲得も売上出てませんでした。セクシーは注意です。自己顕示欲とベンチャーの相性は実は悪いと思います。そして大体売上出してる人なりチームってのは至極地味で堅実なNiceな人たちでした。逆にセクシー技術やセクシーツールは成功してる人ほどだいたい後付です。本質的に良いアイデアはマニュアルやエクセルでも具現化できるものだと思いました。
  3. 売上を上げるが最も重要:当たり前ですが、YコンSUSでは売上出す、が基本コンセプトで、売るために何を作って何をするか?の行動をずっと試されます。これがすごく良いです。スタートアップの周辺ビジネスは世の中のインパクトとか、メディアと投資家の世界観が色濃く出てるのですが、当たり前ですが作った事業が売れて自立できてるのが最強であり、スケールをどうするかはその後の問題だと思います。まず売る。
  4. ”テック”スタートアップってのは、普通の人は実はもう無理:テックの技術ってもうGAFAMやBATHや、3年前までにICOで数百億あつめた企業が全部抑えてるので数人のベンチャーがAIやブロックチェーンで勝負するのは無理ってのが感覚的にわかりました。一番の問題はエンジニアはAIにしてもデータがないと勝負ができないので大手とやる方が圧倒的にいい仕事ができる事です。なんで良いエンジニアは基本皆大手にいます。逆に大手のテクノロジーをノンプログラミングで使えるプラットフォームがどんどん出てきているので、これから逆にツールを使いこなすノンテックの時代を感じました。
  5. 同じ内容でも話し方で相手の評価が全く変わる:グループセッションでは基本自分のビジネスの概要といま障害になってること、Q&Aを繰り返します。これを様々なメンバーと話しあい、数字とテキストでレビューするのですが、同じ内容を毎回はなしててもその時の説明の仕方とフェーズで反応が全く違うのですね。expatyのアイデアは最初はネガティブなフィードバックが多かったのですが、具体的なユーザ登録数やWebトラフィックの話、レベニューモデルの話を実行した事ベースで話すと、180度相手の反応が変わるんです。実行の力はすごいと思いました。

もともとSUSはCusalyというリーガルストレージサービスをCo Founderと一緒にブラッシュアップするためにはじめましたが、お互いそれぞれサイドプロジェクトもやってみてうまくいくか試してみようということでexpatyを始めました。そもそも最初はexpatyではなくDekitateという思いつきのアイデアを登録し、半分遊びでやっていました。なんでDekitateなのかは、Full NodeというCoワークスペースの受付のNY出身のお兄ちゃんが、英語スラングのFreshの意味でなんでもDekitateと言う口癖があり(本人はそれがCoolだと思っている)記憶に残っていたからです。インサイドセールスのAIというコンセプトでした。(それはそれで面白いアイデアだと思いますが)

Cusalyの反省点はIPFSという超ニッチテクニカルな技術をリーガルというこれまた内容も規制も難しいところをターゲットに展開しようとしたところです。当時はCoFounderも僕も新しい技術、セクシーな技術をベースにそれを使って新しい(そう見える)ビジネスをかんがえてみる思考回路があったのが否めません。

ソーシャルメディアのトラフィックと売れている、売れていないは別物です。ソーシャルで目立ってる人が儲かっているとは限らない。逆もしかり。ある程度現実を見る目が養われてきました。

いまは、ビジネスは顧客視点で欲しい物、使いたいもの、親しみやすくて共感できるもの、あるグループ(市場)にとって必要なもの、であることを確信しています。そのためには最先端の技術は必要ないし、Sexyである必要ないです。むしろ理髪店の1000円カット、QBハウスが売れるように、世の中のユーザはSexyなモノなど正直あまり求めていないのです。世の中のSexyアイデアは大手が余剰資金で話題作りでやり、メディアが消費する商品なんです。それが身を持ってわかりました。

Googleの売上もいまだ20年前のアドワーズ等広告製品だと思います。一着10万のマルタン・マルジェラの服よりユニクロの方が遥かに稼いでいます。でもなぜか多くの起業家はかっこつけようとしてしまう。愚直に顧客指向になれない。エゴが抜けない。エゴ抜きが必要です。(自分への戒め)

それこそSUSの言っている”Make something people want”それが商売だよなーと思います。そしてそれこそ言うは易し行うは難しで、使ってもらえるサービスをつくる、それこそが一番難しいのですが。

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