将棋 プロ挫折後1

高校時代、勉強以外にあったことを書こうと思う。

受験を除けば、当時俺が力を入れたのは将棋だった。
小6でやめたはずの将棋?
なぜまた将棋とめぐり合ってしまったのか、それを話そう。

私立高校に入学した俺は、高校生活に絶望しながらも毎日3年後の大学受験のために勉強に力を入れていた。
あれは一年の冬だった。
教室で将棋を指している二人を見つけた。
同じクラスのIとS。クラスの中で特に目立つこともなく、友達も少ない。とはいえIの方は違う意味で目立ってはいたが、二人ともことの詰まる所オタクだ。
特に興味があったわけじゃないが、教室でうるさく将棋なんかやられてたら嫌でも目に入る。正直、プロを諦めてから将棋なんか見たくもなくなっていたから少し苛立っていた。
俺「それ指したら負けるよ」
I「あぁー!本当だ!詰んだ!くそー!
初心者か。
I「キミ将棋わかるの?」
俺「まぁ、少しは。」
I「見た目によらず将棋できるのか!俺たち将棋部なんだ!放課後部活で指そうぜ!」
俺「絶対やだ。」
見た目によらずは一言余計だ。
一言盤面に口を出したら、一日中部活に誘われ続けた。
こいつうぜぇ、めんどくせぇ。
どんなに断っても誘ってくる。最終的には無理やり部室にまで連れてかれた。
仕方なく一局さすことにした。
I 「お前強いな!将棋部に入ろう!北里と杉本とも指してみて!あいつら強いから!」
正直Iは大したことなかった。高校生の部活なんてこの程度か。ぬるすぎる。Sとも指したが、こっちもIとさほど変わらなかった。
そして偉そうな奴が入ってきた。
北里「お、新入部員?」
I「北里!強いの連れてきたぞ!お前とどっちが強いかな!?」
北里「ほう、そんなに強いなら指してみたいものだ。」
言葉遣いといい、態度といい偉そうなやつ。この部活のボスか?
北里、俺「お願いします。」
北里は純粋な居飛車党。基本的な定跡は知っているようだ。なるほど、最初の二人よりは確実に格上。これでボスなら偉そうにしているわけだ。
だがぬるい。
形を知っているだけで将棋に深みがない。
北里「負けました」
S.I「おぉ!北里が負けた!もしかしたらうちで一番強いんじゃね?」
北里「俺が負けるなんて。キミどこで将棋習ったの?」
俺「居酒屋」
全員「は!?」
そんなとき扉が開いた。
ボーズ頭のサッカー少年が入ってきた。
杉本「よぉーっすー!何?新しい子!?」
やたらテンションが高かった。部室からところ間違えてんじゃねーのか?このボーズ。まぁでも嫌味な感じなテンションではなかったからスルーすることにした。
お願いします。
今日一日で何局指してるんだか。久しぶりすぎて頭まわんねー。まぁでもそんな大したことないから考えなくても余裕か。
振り飛車か、、、
当時は振り飛車より居飛車のほうが圧倒的に多かったから少々珍しかった。そんな俺も振り飛車党だったが、今回ここの部活では居飛車しか指さなかった。
北里もそうだったが、杉本も他の二人に比べたらしっかりした将棋を指す。この二人がライバルといったところか。
北里は固い指し方に対して、杉本は思い切りがいい将棋。しかも居飛車と振り飛車。正反対のタイプの二人。
だがぬるい。振り飛車で最も大事な捌きに輝きが無い。
俺は全勝した。
全員「杉本も負けた!?もう一局指そうよ!!」
迷惑なことこの上なかった。
将棋はもう嫌いなんだ。
一局だけのはずが、こんなに指すことになり早く帰りたいたかった。
いくら帰るといっても聞かないから仕方なく指してかえることにした。
俺「ただし条件がある。何面ある?」
「三面かな?」
俺「全部出せ。全員二枚落ちな。」
すぐに反感の声がでた。
「三面指しで全員二枚落ちだと!?いくらなんでもそんなことできるのか!?舐めるの大概にしろ!そんなに実力差があるとは思えん!入部希望だろ?生意気な!」
北里が一番怒っていたな。
俺「とりあえず指すぞ。文句は勝ってから言え。すぐにわからせてやるから。」
I、北里、杉本の3人が座った。
さぁて、久しぶりに本気でやるか。
結果は全勝。
二枚でも少ないと思っていたから、まぁ当然の結果ではあったが内心下手な将棋を指したと思った。
北里、杉本「こんなに実力差があるのか!?次は負けない。もう一回だ!
北里と杉本は負けず嫌いのようだった。
北里はかなり怒っていたが、杉本は教えてほしいという感じだった。全く性格まで違う二人だ。
そんなとき顧問の古郡という教師が入ってきた。
古郡「新しい部員ですか?」
部員「そうです!北里と杉本が二枚落ちで負けました!めっちゃ強いです!」
勝手に入れるな。
古郡「北里くんと杉本くんがねぇ。二枚落ちで負けるってことは、私と同じくらいかな?どこかの道場にでも通っているのかな?居飛車?振り飛車?
部員「居酒屋で習ったらしいです!居飛車党です!」
俺「いや、俺振り飛車党だから。」
部員「は!?だってお前今日ずっと居飛車だったやん!」
俺「べつに振り飛車をやらないなんて一言も言ってないし。振る必要が無かっただけだ。」
「それであんだけ強いんかよ!!」
そりゃ本気でこっちはプロを目指してましたから、、、とはいえず。
古郡「来週末、大会があるんですがでてみませんか?当日欠席分の枠が毎回少しは出るのでおそらく参加できると思います。」
俺「俺が大会?でませんよ。そもそも将棋やるつもりなかったし。部活だって入りませんよ。」
古郡「一度きりで構いません。部活にも入らなくて良いです。将棋部のためだと思って一度だけ出てもらせんか?」
俺「んー、まぁ一度だけなら。部活には入らないんだから、練習にも出ませんよ。」
古郡「構いません。大会にさえ出てもらえればそれ以外何も言いません。」
俺「んーじゃあ、今回だけなら。」
なんともうまく使われてる感があって、納得いかない点が多々あるけど、これっきりで切れるならまぁ仕方ないか。
なんともめんどーなことになってしまった。
当時は本気でやりたくなかった。
二度と将棋なんてやらない。
そう決めていたからこそ尚更だ。

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