将棋 プロ挫折後12

お願いします。


対局が始まった。盤上その場いにる全ての人の目が注がれている中勝負は始まった。

振り駒の結果先手は俺


もちろん飛車を振る。

島田はもちろん右四間。


この時を待っていた。

右四間相手だと立石流は組めない。

がしかし、こいつとはハナから立石流で戦うつもりはなかった。

右四間の対策として、この時には新たに手に入れていたリッジブリッジ戦法もあったが、あえてそれは使わなかった。


こいつにはノーマルで勝つ。

そう決めていた。


実力勝負だ。


島田は右四間の持久戦、天守閣美濃

俺は頭の広い高美濃まで玉を囲い、カウンター狙いの将棋になった。


島田が攻める。

対して俺が大駒を裁く。

左辺は大きく捌ききった後、先に攻めの手をつけたのは島田だった。


俺が悪い局面。

先に飛車も成られ、食いつかれた。

と金も作られていた。



諦めてたまるか。

最後底歩で粘る道選んだ。


そしてその主張が通った。

ここだ

ここで攻めないともう勝機はない。


だが攻め筋が見つからない。

底歩でできたこの一瞬、空いての攻めが止まった瞬間。

攻めなくては。

でも攻め手が見つからない。


クソ


そんな時黒崎さんに言われたことを思い出した。


困った時こそ盤面を広く見ろ。

考えるな。

駒の動きをよく見るんだ。

駒が全部教えてくれる。



玉頭だ。


これしかない。見えた瞬間だった。

逆転の一手はこの攻めの中玉頭から突っ込んで行く。

これしかない。


迷わず玉頭に手をかけた。


端攻めも絡め、受けに受けた分駒も十分にある。

一気に玉頭に詰め寄った。


だが島田も攻める。

ギリギリの攻防。


そして、先に詰めろをかけた。

相手の王が次第に下がる。

王手、また王手と、一つずつ王が下段に落ちて行く。


「王は下段に落とせ」


格言通りである。

そして勝機が見えた。

とうとう島田追い詰め、寄せきった。


島田「負けました。」

涙ぐんだ負けましただった。


俺は島田に勝った。

そして島田の初の代表落ちが決まった。


この時今まで一度も見せなかった涙を島田は見せた。

いつなん時もトップを知り続けた男の悔し涙だった。

そして対局後の検討をすることもなくその場立ち去っていった。



勝った。



初めは実感が湧かなかったが、周囲は大歓声だった。

そして、顧問、杉本、北里、部員のみんなも大声で喜んでくれた。


一つ大きな目標を達成できたと同時に、ようやく胸をはって三強を名乗れるような気がした。

栃木で一番の振り飛車党になった瞬間だった。



やりきった。


そういう感覚を味わってしまった。



結局その後二日目は早々に初心者でもやらないような大ポカをし、別人のような将棋を指して負けてしまった。優勝したのは沢村。

県代表が決まり、島田との決着がついたこともあったせいか、順位にかかわらず満足感があり、後悔はなかった。


俺の戦いは終わった。


そう思った。


そして、最後俺のやるべきこと。


それは、次はこいつら杉本、北里の番だということだ。

























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