将棋 プロ挫折後15

大会当日。団体戦の組み合わせの結果。宇高とは決勝まで当たらない組み合わせだった。

そして、やはりあの右四間使いも出てきた。


島田と沢村は個人戦で、俺だけが団体戦に出ることをかなり驚いていた。

この二人とは、大会以外でもその後交流があり、イベントや一般のアマ名人戦で応援し合いながら頑張ってきた戦友になっていた。


そして最後の戦いが始まった。

北里と杉本にとっては初めて本気で勝つことにこだわった戦い。緊張していた。


そして一回戦。


まさかの敗退だった。


緊張しすぎて手が震えた。

二人とも力が出しきれなかったようだ。


幸いにも、団体戦には歯医者復活戦があり、歯医者復活リーグで優勝すれば、決勝トーナメントに出れるシステムになっていた。


この先はもう一敗も許されない。

崖っぷち。

緊張しているとかいっている場合じゃない。


緊張の敗者復活戦一回戦。


またもやハプニングが起こる。


杉本の不正疑惑である。

盤面は杉本の大優勢。

あとは簡単な寄せのみの時に相手が対局時計を止め審判を読んだ。


持ち駒の歩をひっくり返したままもち、そのままと金の状態で打ってしまったものを、ひっくり返して打ち直したことに対する抗議であった。

確かに将棋は打ち直しは反則負けであるが、大会のルール上対局時計を押した段階で「指した」がこの時のルールであった。お互いの言い分はもっとも出会ったが相手の負けは一目瞭然だった。相手の顧問も乗っかってきたところで。


俺「この盤面を見ろ。もう詰んでいる。お前らの負けが決まっている局面だ。だから止めたんだろ?実力で勝てないから、そうでもしないと勝てないと思ったんだろ?」


相手の顧問「ルール違反だから、違反だといっているだけだ、勝てないなんて思っていない。まだこれならわからない局面だ。」


俺「じゃあ指せよ。杉本の圧勝だから。百歩譲って、指し直しなら認める。」


これで持ち時間はこのまま引き継いだままの尺直しが決まった。


そして杉本は立石流を使って見事圧勝。


北里も完勝し、全員勝利で吹っ切れた。


その後も快勝を続け、敗者復活リーグを勝ち、本戦まで進めた。


決勝トーナメントは準決勝と決勝の二回戦のみ。

そもそも高校が少ないから仕方にことではあるが、団体戦は初日で終わってしまう。


準決勝は栃木高校だった。


そして俺の不安は当たった。

北里の相手は居飛車党で相居飛車が避けられない。

杉本の相手は、前回俺が二回戦で下した、ベスト4にも入ったことのある三間党だった。


これは二人の真価が見られる戦い。

俺は早々に勝ちを決め、二人の対局を見守った。


局面はやはり

北里が相居飛車

杉本が相三間

の戦いになっていた。

二人とも局面は互角のまま最終盤まで進んだ。


どちらも、どっちが勝ってもおかしくない。


勝て!!!!

心の中でずっと叫んでいた。


杉本が少し劣勢になり始めてきていた。

だが相振りはここから、一手で大きく局面が変わる可能性がある空中戦だからこそ怖い将棋だ。

北里も必死で食らいついている。


そして、3間党が一瞬悪手を指したところを杉本は見逃さなかった。


杉本が勝った。

そして続くかのように北里もギリギリのところで勝ち切った。


二人とも各自自分の課題に打ち勝った瞬間だった。



うおおおおお!!!!


とうとう決勝まで進んだ。


相手はもちろん宇高。


俺たちは最初で最後、

「絶対に勝つぞお!!」

とエンジンを組み、昨日話した約束をもう一度話した。



勝って必ず全国へ行こう。

俺は絶対に負けない。

絶対に勝つから、お前らが優勝を決めろ!


そして最後の戦いに向かうのであった。

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