「タクシープレイ」酔った男女を昂らせる変わった趣味
タクシーはお客様にとってプライベートのような空間である。
移動時間で次の仕事を確認したり、
空いた時間を電話に活用したり、
仕事帰りののんびりできる至福の時間にしたり。
使い方は様々だが、時には驚かされることもある。
金曜日の夜19時頃、
中目黒で男女が乗って来た。
スーツ姿の男と、カジュアルな装いの女。
金曜日といえば、一週間が終わり、ほとんどの仕事人がウキウキしていて
飲み屋街は人で溢れかえっている。
タクシーも、書き入れ時。
そんな金曜日の夕方に乗って来た男女。
中目黒で乗せた二人は、「渋谷の道玄坂上」へ行きたいと言ってきた。
道玄坂上の付近も、飲み屋はたくさんあり、
ラブホ街もすぐ近くにある。
このような流れはタクシーではよくある事。
何度も通っている道を、いつも通りお送りするだけ。
19時を回る頃だが、既に出来上がってる感満載の男は
女にちょっかいを出し始めた。
女「んふっ♪んふふっ」
女の笑い声が聞こえる。
二人して気分が良いのだろう、
仕事の話や、先ほどのお店の話、
合間合間に男がちょっかいを出しながら話をしている。
女「ちょっと~離れて~」
後ろの様子は見えないが、バックミラーに男が映らない様子から
膝枕でもしているのだろう。
金曜日の19時、車はまだ多くスムーズには進まない。
女「んふふっ、近い~♪」
相変わらずイチャイチャを楽しんでいる二人。
これくらいタクシーであればよくあることだ。
安全運転で渋谷の道玄坂上へ向かうが、
イチャイチャはまだ続く。
女「んふっ、んはっ、ふふふっ、も~」
男は話すことを辞め、本格的にイチャイチャを始めた。
女「んふっ、いやっ♪」
男「ん~?」
女「ん~、んふっ♪」
男「ふふっ」
女「んっ、、フー、ハー」
深呼吸をする女。
何か高まるモノを抑えている。
男は相変わらず無口だ。
見た訳でもなく、確信的なものはないが、
後ろでただイチャイチャしているんだろう。
そう自分に言い聞かせている。
道玄坂上へはもう信号二つぶんほど、
もう目と鼻の先。
さらに二人の時間は進む、
女「ん~、ンフッ、ンフフッ、長い~」
男「長い?」
女「いつもより時間、んふっ」
漏れている、二人が何をしているのかは漏れてきていた。
女は身体をモゾモゾさせる。
二人は私がいるのを忘れてしまっているのか、
知っていてあえてやっているのか、
そんな疑問が頭の中を彷徨っている。
女「んふっ」
男「もう少しだよ」
女「ながい~」
男「ほら、あそこもう見えてるから」
目的地もすぐそこ。
私「お客様~お止めする場所はどちらにいたしましょうか~?」
タイミングを見計らって声を掛けた
男「ん?あ~」
女「んふっ、やっぱりいつもより長い気がする」
男「え~あの信号を越えたとこで」
私「かしこまりました。」
ヒートアップしている二人に声を掛けたときに、
あることに気づいた。
香りが、、、
遂には香りが充満し始めた。
車内で。
私「(目的地まで待ってくれ~)」
香りが充満し始めたのは、まだ止まる信号の一つ手前の信号、
あと1分、いや30秒。
「(どうにか、車内に爪痕を残さないでくれー)」
祈る私をよそに、二人は最後まで楽しむ。
女「いつもより長い気がする」
男「いつもと同じ道だよ」
女「いや、いつもより長くて・・んっ」
「(いつも?常習犯。。。タクシープレイじゃねぇか!)」
二人は、お互いに高まっていたのではなく、
いつもやっていることらしい。
しかも同じコースで。
ふたりはタクシープレイを楽しんでいる。
二人を降ろして、汚れていないか後ろを確認。
幸い汚れてはいなかった。
何事もなかったかのように歩いていく二人だが、
男は自分のコートで軽く手を拭いていた。
モノ好きもいるものだ。。。
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